独断的映画感想文:裏切りのサーカス
日記:2013年8月某日
映画「裏切りのサーカス」を見る.
2011年.監督:トーマス・アルフレッドソン.
出演:ゲイリー・オールドマン(ジョージ・スマイリー),コリン・ファース(ビル・ヘイドン),トム・ハーディ(リッキー・ター),トビー・ジョーンズ(パーシー・アレリン),マーク・ストロング(ジム・プリドー), ベネディクト・カンバーバッチ(ピーター・ギラム), キアラン・ハインズ( ロイ・ブランド), キャシー・バーク( コニー・サックス), デヴィッド・デンシック(トビー・エスタヘイス),スティーヴン・グレアム(ジェリー・ウェスタービー),ジョン・ハート(コントロール),サイモン・マクバーニー(オリヴァー・レイコン),スヴェトラーナ・コドチェンコワ(イリーナ).
東西が熾烈な冷戦下にあった時代,英国諜報部(サーカス)はブタペストにおける諜報活動に失敗し諜報員を失う.この不祥事の責任を取って,トップの「コントロール」は右腕のスマイリーと共に職を辞す.その直後「コントロール」は病死する.
サーカスを指導することになった4名のトップはヘイドン,アレリン,ブランド,エスタヘイスの4名,ところがこの中に2重スパイがいるとの情報が入り,レイコン次官は自らがクビにしたスマイリーにその極秘調査を命じる.
一方アレリン達は寝返ったソ連スパイを利用した「ウィッチクラフト」作戦を展開し,得た情報を米国に送って英米の協力関係を強化しようと画策する….
ジョン・ル・カレの原作を映画化したスパイものだが,この物語は実際に起きた事件に基づいていると言う(映画のblog) .
さまざまなキャリアを持ち一筋縄ではいかない人物が集まった諜報部,そこに潜む二重スパイの摘発が緊張感を持って描かれる.この映画は親切な映画ではない.登場人物はそれほど多くないがそれぞれはファミリーネーム,ファーストネーム,暗号名,偽名で呼ばれる上,各々の人間関係も複雑だ.彼等の一部はゲイであるらしいが,こういう関係も日本人には馴染みが薄いだろう.しかし,一昔前は諜報部は一丸となって敵と戦ってきたのに(それはたびたび挿入される,諜報部のパーティーのシーンで示される),今は誰が敵かも分からないというスタッフの嘆きは,現代にも通じるようで印象深い.俳優はすっかり貫禄の出たゲイリー・オールドマンを初め,個性的な面々がそれぞれ存在感があって見応えがある.地味な展開ではあるが最後まで目の離せない映画.見て損はなし.★★★★(★5個が満点)
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