独断的映画感想文:世界にひとつのプレイブック
日記:2013年8月某日
映画「世界にひとつのプレイブック」を見る.
原題:SILVER LININGS PLAYBOOK.
2012年.監督:デヴィッド・O・ラッセル.
出演:ブラッドリー・クーパー(パット),ジェニファー・ローレンス(ティファニー),ロバート・デ・ニーロ(パット・シニア),ジャッキー・ウィーヴァー(ドロレス),クリス・タッカー(ダニー),アヌパム・カー(パテル),ジョン・オーティス(ロニー),シェー・ウィガム(ジェイク),ジュリア・スタイルズ(ヴェロニカ),ポール・ハーマン(ランディ),ダッシュ・ミホク(キーオ),ブレア・ビー(ニッキ).
パットは愛妻ニッキが自宅で同僚と浮気していた現場に遭遇,その男を殴って以来精神の変調をきたし仕事も失って入院中.
母親が奔走して退院できるが,妻との結婚のビデオを捜して夜中に大騒ぎを演じたりと精神は本調子でなく,おまけに妻への接近禁止令が裁判所から出ている.
隣人のディナーに招かれたパットはその家の奥さんの妹・ティファニーと出会うが,彼女も最近夫を事故で亡くし,同僚全てと寝るなど精神が不安定な状態だった.
ティファニーはパットと付き合おうとするが,ニッキに執心するパットは歯牙にもかけない.するとティファニーはニッキにパットの手紙を渡す代わりに,2人でダンスコンテストに挑戦しようと持ちかけ,パットはそれを受け入れて練習に励むことになる….
パットの家は父親はアメフトのファン,試合に賭けて一攫千金を狙っている.パットが横で見ていると賭に勝つというジンクスがあって父親は一緒にTV観戦をしようと懇願するが,パットはなかなか受け入れない.
この父親もちょっと普通とは違うと思えるが,とにかく映画冒頭のパットとティファニーのとんがり方は見ていて痛々しい.
周囲の人間の協力もあってダンスの練習に没頭するようになって,二人の様子は次第に落ち着いていくのだが,今度は父親が賭けに失敗して全財産を失う危機に直面する.最後の賭とダンスコンテストが映画のクライマックスとなるのだが….
全てを失ったと見える男女の,再生のラブストーリー.
隣人同僚を中心とする登場人物達は,何を生業としているのか不明な人たちばかりだが,彼等相互のつきあいの濃さは半端ではない.
母親の無償の愛,父親との関係の再構築を含め,この濃い関係がパットを次第に立ち直らせていく.
自分のニッキへの愛情が只の執着だと気付く一方,ティファニーとの関係が見えてくるパット.スクエアではないが暖かい物語は観客を魅了するだろう(そう言えば映画の中でかかっていたジャズはデイブ・ブルーベックの「アンスクエア・ダンス」だった).
この間好調の主演2人が素晴らしい.
父親・母親の両名も見応えあり(父親デ・ニーロがパットに詫びるシーンには泣かされる.母親ジャッキー・ウィーヴァーは「アニマル・キングダム」とは打って変わったキャラクターでの名演).
原題のSILVER LININGSは「銀の裏地」という意味,EVERY CLOUD HAS A SILVER LINING. と言えば『すべての雲には銀の裏地がある。』→『どんな困難な状況でも必ず希望の光はある。』という意味だそうな(ブログ『大好き海外ドラマ&恋して外国映画』).PLAYBOOKには脚本(集)の意味の他,アメフトのフォーメーションブックの意味もある.本作にふさわしい題名と言えよう.後味良く見て損のない映画.
★★★★(★5個が満点)
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