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2013/08/08

独断的映画感想文:襤褸の旗

日記:2013年8月某日
映画「襤褸の旗」を見る.1
1974年.監督:吉村公三郎.
配役:三國連太郎(田中正造),荒木道子(田中正造の妻カツ),田村亮(佐竹和三郎),西田敏行(多々良治平),原泉(ヨネ),辻萬長(一ノ瀬宗八),浜村純(宗六),佳那晃子(タキ),草野大悟(南佐十),中村敦夫(幸徳秋水),菅野忠彦(木下尚江),和泉敬子(杉本[火華]子),信欣三(斎藤巡査),志村喬(古河市兵衛).
1900年2月13日未明,諸処の寺の鐘が乱打され農民が続々と雲龍寺に集結する.夜明けに彼等は徒党を組んで東京めがけて押し出す.足尾鉱毒反対闘争の第4回押し出し,世に言う川又事件の発生である.
この日国会では田中正造の質問演説があり,押し出しはそれに合わせて決行されたが,利根川の川俣で警官隊と衝突,農民はちりぢりとなり,(映画では)東京の田中事務所に到達したのは多々良治平1名であった.
その時田中正造は,議会で足尾鉱毒事件と官憲の弾圧に対し,火の出るような演説を行ったが,首相山県有朋は質問の意味不明として答えることすらしなかった.
その後田中は無政府主義者・幸徳秋水の起草した直訴状を持って天皇直訴を行う等,孤軍奮闘の戦いを続けるが,政府は鉱毒反対運動の拠点谷中村を,鉱毒沈殿のための遊水池設置を名目として廃村とするという弾圧を仕掛けてくる….3_2
三國連太郎入魂の演技で綴る,田中正造伝・足尾鉱毒事件顛末の物語である.
映画全編にわたる強い緊張感は,この映画が製作された時代の三里塚空港反対闘争を強く意識した結果もあるだろうが,今この映画を見る我々の,3/11福島原子力災害を経験した意識に依るのかも知れない.
誠に今の政府は110年前の明治政府と何ら変わるところはなく,企業利益を擁護し官憲は私利私欲に汲々とし人民に対しては情け容赦がない.そのことを心底から思い起こさせる映画である.
俳優は懐かしい面々がそれぞれに好演・熱演,個人的には田中正造を尾行し続ける斎藤巡査役の信欣三がお気に入り.
映画の構成としては直訴が前半の一つの山場であるべきところ,さほどではないシーンだったのがやや期待はずれだった(まあ描き方は難しいでしょうが).2_2
しかし終局の谷中村強制代執行のシーンは強く印象に残った.一見の価値ある映画.★★★☆(★5個が満点)
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