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2013年9月に作成された記事

2013/09/29

独断的映画感想文:LOOPER/ルーパー

日記:2013年9月某日
映画「LOOPER/ルーパー」を見る.Looper6
2012年.監督:ライアン・ジョンソン.
出演:ジョセフ・ゴードン=レヴィット(ヤング・ジョー)、ブルース・ウィリス(オールド・ジョー)、エミリー・ブラント(サラ)、ポール・ダノ(セス)、ノア・セガン(キッド・ブルー)、パイパー・ペラーボ(スージー)、ジェフ・ダニエルズ(エイブ),ピアース・ガニォン(シド),シュイ・チン(オールド・ジョーの妻),ギャレット・ディラハント(ジェシー).
2044年.ジョーはルーパーとして稼いでいる.
ルーパーとは,30年後の未来世界からタイムマシンで送られてくる人間を処刑する殺人業務だ.未来世界ではタイムマシンが発明されていたが,使用は禁止され使うのはもっぱら非合法な悪事目的.この世界では殺人捜査は完璧なため,犯罪組織は標的を捕らえ,30年前に送り込んで抹殺するというシステムを考え出した.
犠牲者は拘束され決められた時刻・場所に出現,待ち構えたルーパーが即座に射殺し死体を始末する.犠牲者は背中に銀の延べ棒を貼り付けているので,これがルーパーの報酬となる.Looper2
時には金の延べ棒を貼り付けた犠牲者が現れるが,これは30年後のルーパー自身で,自身を射殺したルーパーは引退し,30年の余生を送ることになる.親友のセスは自身の射殺に失敗し,無残な最期を遂げた.
荒稼ぎしていたジョー,ところがある日処刑場所に送られてきたのは30年後の自分だった.しかもそのオールド・ジョーは拘束されていなかった.一瞬の隙を突かれ彼を取り逃がしたヤング・ジョーは,オールド・ジョーを射殺する以外に生き延びる道はない.一方オールド・ジョーはある標的を捜して30年前に舞い戻ったのだった….
タイムマシンと念動力を絡めた近未来SFものだが,複雑なプロットとど派手なアクション,更に母子の愛憎関係がテーマとされる印象深いドラマとなった.Looper3
以前は同一時空間内に同一人物がいてはならない等とタイムパラドックスの禁止事項がやかましく,それがプロットの制約となっていたが,今回の作品はそんなこたあお構いなし,物語優先で突っ走るのがいっそ気持ち良い.
またブルース・ウィリスが強いのなんのって,ヤング・ジョーが今ひとつひ弱な悪党なのに比べ,オールド・ジョーは一人で犯罪組織を全滅させてしまう迫力(組織が弱すぎるのか?),これも痛快なり.
テンポが速いのであれよあれよと見てしまうが,後で考えてなるほどと思い当たることが出てくるのも面白い(例えばヤング・セスが取り逃がしたオールド・セスの,悲惨な最期の恐ろしさ).Looper7
舞台となる2044年は何とも荒廃した世界で,先進科学の恩恵を受けられるのは全く一部の市民のみ.やたらどこにでも張ってある太陽光パネルと一部の情報機器以外は,一般人はむしろ現在より遅れた生活を強いられているようだ.これも物語の背景としてリアル感を醸成している.
★★★☆(★5個が満点)
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2013/09/25

独断的映画感想文:リンカーン

日記:2013年9月某日
映画「リンカーン」を見る.1
2012年.監督:スティーヴン・スピルバーグ.
出演:ダニエル・デイ=ルイス(エイブラハム・リンカーン),サリー・フィールド(メアリー・トッド・リンカーン),デヴィッド・ストラザーン(ウィリアム・スワード),ジョセフ・ゴードン=レヴィット(ロバート・リンカーン),ジェームズ・スペイダー(W.N.ビルボ),ハル・ホルブルック(ブレストン・ブレア),トミー・リー・ジョーンズ(タデウス・スティーブンス).
1864年,南北戦争の帰趨はようやく定まりつつあったが,未だ両軍の戦闘で多くの若者が命を落としていた.
この時,リンカーンは戦争のそもそもの目的である奴隷制の廃止が,1862年9月の「奴隷解放宣言」のみでは法的に不充分だと考え,終戦前に合衆国憲法修正第13条の成立を何としても行おうと考えていた.
この改正無しには,終戦後南部諸州が連邦に復帰しても,奴隷制廃止を法的に強制することは不可能と考えたからである.
憲法修正の成立は,南部諸州に戦争継続を諦めさせる効果がある一方,戦況は既に北軍の圧倒的優位にあり,南軍が降伏すれば憲法修正の成立を必要としないという世論の流れへの怖れもあった.3
リンカーンは1865年1月末日を以て憲法改正を行いたいと考えていたが,議会には奴隷制維持を主張する民主党初め,人種差別の根本的廃止を訴える共和党過激派,南部との融和を訴える共和党穏健派が存在し,リンカーンの課題は,共和党の団結と民主党の切り崩しにあった.
リンカーンは穏健派の要望を入れて南部使節団との秘密交渉に当たる許可を出す一方,南部との一切の妥協を否定して過激派に譲歩を迫り,更に民主党の落選議員で3月に任期切れが迫っている者達へ,公職への就任をちらつかせて切り崩すというロビイストの活動も承認した.妻や息子との南北戦争を巡る激しい葛藤にも直面しつつ,運命の1月31日が迫ってくる….
政治的手練手管の限りを尽くして憲法改正に心血を注ぐリンカーンの姿を描く,重厚な歴史ドラマ.ダニエル・デイ=ルイスの演ずるリンカーンの魅力に圧倒される.
閣僚の逡巡,苛立ちを押さえつつ,時には若い実務者に自ら声をかけ,時には重要メンバーを叱咤激励する.リンカーンという特異な個性のリアルな再現に,映画は成功しているだろう.4
国民の圧倒的支持を得て再選されたリンカーンは,自己の政治生命のみを考えれば,この様な強引な政治運営で奴隷解放を確立する必要は無かった.彼は理想の貫徹のために自らの死期を早めたと言える.
映画は憲法修正第13条の成立を巡る当時の政治的軍事的状況とリンカーンの活動をスリリングに描き,しかもそのなかで奴隷解放という一つの理想が実現する産みの苦しみを描いて,強い印象を残すものとなった.
★★★★(★5個が満点)
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2013/09/24

独断的映画感想文:ブラッド・シンプル

日記:2013年9月某日
映画「ブラッド・シンプル」を見る.1
1984年,監督:ジョエル・コーエン.
出演:ジョン・ゲッツ,フランシス・マクドーマンド,ダン・ヘダヤ,サム=アート・ウィリアムズ,M・エメット・ウォルシュ.
ジョエル(監督・共同脚本)とイーサン(製作・共同脚本)のコーエン兄弟のデビュー作であり,フランシス・マクドーマンドの映画デビュー作でもある.
酒場のオーナーが従業員レイと自分の妻アビーの浮気を疑い,その証拠を掴んだ私立探偵に二人の殺害を依頼する.3
ところが探偵はオーナーを裏切り,二人を殺したというニセ写真を持ち込んだ挙げ句オーナーを射殺,オーナーが開けたままの金庫から金を強奪して逃亡する.
その後にたまたま来たレイは.現場に残された銃から犯人はアビーだと誤解,オーナーの死体を始末しようとして,実は未だ息のあったオーナーを殺して埋めるという羽目に陥る….
偶然や誤解から思いもかけない展開となるコーエン映画の,まさにスタートにふさわしいサスペンス映画の傑作.
この映画に未だないものと言えば,とぼけたユーモアということになろうが,若いフランシス・マクドーマンドが魅力的である.2
ラスト15分の思いがけない展開が素晴らしい.こういう結末になるとは誰も予想できないのでは?
★★★★(★5個が満点)
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2013/09/15

独断的映画感想文:ウィンターズ・ボーン

日記:2013年9月某日
映画「ウィンターズ・ボーン」を見る.5
2010年.監督:デブラ・グラニック.
出演:ジェニファー・ローレンス(リー・ドリー),ジョン・ホークス(ティアドロップ・ドリー),シェリル・リー(エイプリル),デイル・ディッキー(メラブ),ギャレット・ディラハント(バスキン保安官),ローレン・スウィーツァー(ゲイル),アイザイア・ストーン(ソニー・ドリー),アシュリー・トンプソン(アシュリー・ドリー),ケヴィン・ブレズナハン(リトル・アーサー).
アメリカ中西部ミズーリ州のオザーク高原,貧しい村に住むリーは幼い弟と妹を抱え家事を勤める17才の少女.父は失踪し母は心を病んでしまった.
父はヤクの密売に連座して保釈中の身である.出廷しないと保釈金は没収され,その借金の担保に入っている家と森は人手に渡る.
リーは家族の世話をしながら必死に父の行方を捜すが,やがて父は一族のタブーに触れることがあって行方不明となり,父の行方を捜すリーの行動自体も一族の嫌うところとなっていることが判ってくる.
しかしリーは屈せずにあくまで父の行方を訪ねるのだが….
ドリー家はヤクの密造と売買に関わっている一族である.4
この映画は,その反骨の一族の血を共有するリー自身が,不屈の闘志と智恵と勇気で,自身の家と家族を守り抜く経過を描くドラマである.
この映画は犯罪を告発するという映画ではない.興味深いのは,映画のスタンスは正邪善悪を基準としておらず,リーの味方か敵かというその一点で物語を記述していく.リーの味方は食料を都合してくれる隣家の夫婦,友人のエイプリル,叔父のティアドロップ等で,あとは一族,保安官を含め皆リーの敵となる.
彼等はあるいはリーを丸め込もうとし或いはリーを暴力で押さえ込もうとするが,リーは味方の支援を受けて屈せずに立ち向かっていく.その行動は観客の心を動かすであろう.3
リーの絶望的な戦いが続く前半は重苦しいが,ティアドロップがリーの保護を宣言する辺りから希望の光がほの見えてくる.
つい最近「世界にひとつのプレイブック」で見たばかりの,主演のジェニファー・ローレンスが魅力的.
★★★★(★5個が満点)
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番外:独断的歌舞伎感想文:不知火検校/馬盗人

日記:2013年9月某日
新橋演舞場で「九月大歌舞伎夜の部」を見る.Shinbashi_201309_f3
「沖津浪闇不知火 不知火検校(しらぬいけんぎょう)」松本幸四郎悪の華相勤め申し候.浜町河岸より横山町の往来まで.
配役:按摩富の市後に二代目検校(幸四郎),奥方浪江(魁春),指物師房五郎(翫雀),生首の次郎後に手引の幸吉(橋之助),湯島おはん(孝太郎),丹治弟玉太郎(亀鶴),若旦那豊次郎(巳之助),娘おしづ(壱太郎),富之助(玉太郎),魚売富五郎(錦吾),初代検校(桂三),因果者師勘次(由次郎),夜鷹宿おつま(高麗蔵),鳥羽屋丹治(彌十郎),岩瀬藤十郎(友右衛門),母おもと(秀太郎),寺社奉行石坂喜内(左團次).
詐欺から泥棒から人殺しまで,手段を選ばず悪事を働き検校にまで上り詰めた富の市の一代を描く.昭和35年に十七代目中村勘三郎主演で初演された新作もので台詞は聞きやすいが,下座音楽や幸四郎の三味線弾き語りなどで,如何にも歌舞伎らしい雰囲気を備えている.
幸四郎が存在感ある悪役を怪演.
「馬盗人(うまぬすびと)」
出演:ならず者悪太(翫雀),ならず者すね三(巳之助),百姓六兵衛(橋之助).
こちらは悪人2人とお人好しの百姓,それと買われてきた馬が4つ巴になって踊る傑作舞踊.
馬の踊りが達者で大向こうから声がかかっていた.三津五郎の病休でならず者悪太を翫雀が勤めているが,三津五郎が元気になったら是非彼の踊りで見てみたいものである.
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2013/09/10

独断的映画感想文:オレンジと太陽

日記:2013年9月某日
映画「オレンジと太陽」を見る.2_2
2010年.監督:ジム・ローチ.
出演:エミリー・ワトソン(マーガレット・ハンフリーズ),デヴィッド・ウェナム(レン),ヒューゴ・ウィーヴィング(ジャック).
1986年,英国ノッティンガム.ソーシャルワーカーのマーガレット・ハンフリーズは,豪州からやってきたシャーロットの訪問を受ける.
幼いとき豪州に送られた彼女は,自分の出自を求めて,微かに記憶にあるノッティンガムでの調査を彼女に託す.子供のみで豪州に渡ったという彼女の話に,そのような違法行為はない筈,と考えたマーガレットは,しかし自分が主催する養子出身の成人のケアの会で,ニッキーという女性から昔別れたきりになっていた弟と最近再会したという話を聞く.
その弟ジャックも幼少時に単独で豪州に送られた一人だった.
シャーロットは親が生存しているのに孤児院に収容され,そこから豪州に送られた,又親には養子に出したという虚偽が伝えられていた.マーガレットは調査に乗り出すが,やがて英国・豪州の両政府が行った組織的違法行為が明らかになり始める….
映画では,マーガレットが上司の協力により公的資金を受け,この児童移民の実態調査と親探しを続ける活動を描く.Photo
彼女の活動は児童移民に関わった教会やその周辺の団体の利益を損ねる結果となり,マーガレットは言われ無き誹謗中傷を受けたり,脅迫や嫌がらせに直面する.又移民達の受けた仕打ちに心理的ショックを受けたマーガレットは,心的外傷後ストレス障害にも苦しむこととなる.何よりもこの活動に従事して,彼女自身の家庭が崩壊の危機に瀕することになる.
映画はその過程の一つ一つを丁寧に淡々と描いていく.
エミリー・ワトソンの演技が素晴らしい.また移民達を演じる俳優達が皆心にしみる演技を披露する.一見の価値ある映画.
映画の終盤,マーガレットの家族も豪州にやってきて,移民達との夏のクリスマスパーティーを楽しむ.移民の女性からプレゼントをもらい,「あなた方は何かプレゼントを用意したの?」と聞かれたマーガレットの息子が,「ママをあげたよ」と答えたシーンが印象に残る.
★★★★(★5個が満点)
なお,児童移民についてのWikipediaの記載は以下の通り:児童移民とは、養護施設の子供たちを長い間イギリス連邦の旧植民地に移住させた事業。作中におけるオーストラリアでは収容施設での重労働、暴力、性的虐待がはびこったが、教会により長く隠されてきた。児童移民の数は13万人を上回ると推計され、2009年11月にオーストラリア首相が、2010年2月にイギリス首相が事実を認め、正式に謝罪をしている。マーガレット・ハンフリーズは原作の印税をもとに基金を設立し、現在も児童移民だった人々の家族を探す活動を続けている。
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独断的映画感想文:脳男

日記:2013年9月某日
映画「脳男」を見る.0
2013年.監督:瀧本智行.
出演:生田斗真(鈴木一郎(入陶大威)),松雪泰子(鷲谷真梨子),江口洋介(茶屋刑事),二階堂ふみ(緑川紀尚),太田莉菜(水沢ゆりあ),大和田健介(広野),染谷将太(志村),甲本雅裕(空身),光石研(黒田雄高),小澤征悦(伊能),石橋蓮司(藍沢),夏八木勲(入陶倫行).
自分の乗り損ねたバスが発車直後に大爆発を起こすという体験をした精神分析医・鷲谷真梨子.連続爆破犯の幾度目かの犯行であった.
僅かな手掛かりを追ってその捜査を続ける茶屋・広野両刑事は,踏み込んだ廃工場が爆破犯のアジト,大爆発が起こり広野は負傷するが,茶屋は倒れていた鈴木一郎を逮捕する.4_2
ところが鈴木一郎は奇妙な反応を示す男だった.茶屋は鈴木の精神鑑定を鷲谷に依頼する.
調べた結果は,鈴木一郎は卓越した身体能力と知能を持ちながら,感情と痛みの感覚を生まれつき持たないという,驚くべきものだった….
物語は鈴木一郎と真の爆弾犯・緑川/水沢のコンビ,茶屋・広野両刑事と鷲谷真梨子を巻き込む熾烈な闘争へと展開していく.
いささか荒っぽい映画で,爆弾犯・緑川/水沢はとにかく人を殺しまくるし(観客が共感できる幾人かもいとも簡単に殺されていく),粗暴さと口汚さ以外にはなんの取り柄もない茶屋刑事は無駄に暴れまくるし,鷲谷真梨子(松雪泰子様)は人生の絶望の淵に立たされるしで,もう少し何とかならないかと思うこと多し.2
しかし映画全体のテンポは良く,生田,松雪,二階堂の好演は見応えがある.
映画の結末とそれに続くエピローグは,印象に残った.エンドロールにフルコーラス流れるキング・クリムゾンの『21世紀のスキッツォイド・マン』は,見事な選曲と言えよう.
見て損はなし.
★★★☆(★5個が満点)
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2013/09/07

独断的映画感想文:モンスターズクラブ

日記:2013年9月某日
映画「モンスターズクラブ」を見る.3
2011年.監督:豊田利晃.
出演:瑛太(垣内良一),窪塚洋介(垣内ユキ(兄)),KenKen(垣内ケンタ(弟)),草刈麻有(垣内ミカナ(妹)),ピュ~ぴる(P),松田美由紀(垣内ユリエ(母)),國村隼(垣内セイジロウ(父)).
垣内良一は山奥の別荘に一人住み,世間とは接触を断って暮らしている.仕事と言えば地下室で爆弾を作り,それを企業経営者や大学教授に小包爆弾として送りつけることだけ.
彼がそれをする理由は,冒頭彼の独白で全て明らかにされてしまうので,それ自体は(理解は困難だが)謎ではない.2
彼の家族は自殺や事故で死に絶え,今は高校生の妹が一人,街中で暮らすだけである.極めてストイックに山中で暮らす彼のもとに,家族の亡霊や正体不明の怪物Pが訪れてくる….
アメリカの爆弾犯ユナ・ボマーをモデルとした爆弾犯の物語.
独白と家族(及びその亡霊)との対話という極めて内向きの構成で,警察の手が伸びるまでのサスペンスという要素も皆無,どう見れば良いのかほとほと困惑する映画である.
主人公を含め共感できる人物も殆どいない(強いて言えば長兄で自殺したユキくらいか),残念な映画.何故こういう映画を作ろうとしたのか,その意図すら不明である.4
題名の意味も不明,「モンスターズ・クラブ」とはこの映画を作った人々のことではないのか?
点数無し.
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