番外:独断的歌舞伎感想文:吉例顔見世大歌舞伎 仮名手本忠臣蔵
日記:2013年11月某日
歌舞伎座新開場柿葺落 吉例顔見世大歌舞伎「通し狂言 仮名手本忠臣蔵(かなでほんちゅうしんぐら)」を見る.
大序 鶴ヶ岡社頭兜改めの場・三段目 足利館門前進物の場・同 松の間刃傷の場:
塩冶判官(菊五郎),高師直(左團次),足利直義(七之助),鷺坂伴内(松之助),顔世御前(芝雀),桃井若狭之助(梅玉).
四段目 扇ヶ谷塩冶判官切腹の場・ 同 表門城明渡しの場:
塩冶判官(菊五郎),石堂右馬之丞(左團次),薬師寺次郎左衛門(歌六),富森助右衛門(松江),矢間重太郎(男女蔵),岡野新右衛門(亀三郎),織部安兵衛(亀寿),木村岡右衛門(萬太郎),小汐田又之丞(種之助),大鷲文吾(米吉),斧九太夫(橘三郎),奥田定右衛門(宗之助),大星力弥(梅枝),顔世御前(芝雀),原郷右衛門(東蔵),大星由良之助(吉右衛門).
浄瑠璃 道行旅路の花聟:
早野勘平(梅玉),鷺坂伴内(團蔵),腰元おかる(時蔵).
忠臣蔵を通しで見るのは初めてである.
始まりの人形の口上での全役者紹介に続き,鶴岡八幡宮での高師直と桃井若狭之助の確執,顔世御前への横恋慕等も初見.
何と言っても昼の部の見せ場は判官切腹の場であろう.
菊五郎の切腹に至る身の処し方が美しい.駆けつけた由良の助の「委細」の一言で主君の無念を全て飲み込んだ瞬間,役つきの若侍一同を掌握した瞬間,そして無人となった屋敷を立ち去るときの辺り憚らぬ嗚咽が,胸にしみる.
女形では判官に香を手向ける顔世御前の芝雀が,一言の台詞もなく只悲嘆にくれているその消え入りそうな美しさが絶品であった.
さすがに忠臣蔵と感銘を受けた次第.来月も同じ演し物を見るのが楽しみである.
3:45終演.
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