独断的映画感想文:さよなら渓谷
日記:2014年2月8日
映画「さよなら渓谷」を見る.
2013年.監督:大森立嗣.
出演:出演:真木よう子(かなこ),大西信満(尾崎俊介),鈴木杏(週刊誌記者・小林杏奈),井浦新,新井浩文,木野花,鶴田真由(渡辺の妻),大森南朋(週刊誌記者・渡辺).
アパートの一室で日中から愛し合う男女,そこに戸を叩く音がする.訪ねてきたのは隣家の母親,宅配便が届くから受け取ってくれと伝言し去って行く.彼等の住む棟割りアパートの外は報道陣でごった返し,そこにパトカーが到着.隣家の母親は4歳の我が子を殺した容疑で逮捕され連行される.こういう冒頭で始まる映画.
男女は製材所で働く尾崎と介護施設で働く妻かなこ.うまくいっている様に見える2人だが,やがて尾崎は隣家の母親と浮気していた容疑で逮捕される.
警察にそれを供述したのはかなこである.
尾崎はかって大学野球部のエースだったが途中退部し,就職先も突然辞めている.もとラグビーの全日本選手で体を壊し,今は週刊誌の記者をしている渡辺は尾崎に興味を持ち,同僚の小林と共に尾崎の過去を調べ始めるが….
映画の骨格はこの尾崎とかなこの関係の再生のドラマである.
しかしその関係は尾崎の致命的な過ちによりスタートし,特異な経過を辿って現在に至っている.その謎が渡辺・小林の取材により浮かび上がってくるのである.
物語の終盤に明らかにされる尾崎とかなこの放浪の過程は,凄まじい緊張感を持った美しい映像として印象的だ.
映画の中で渡辺が抱えていた問題は解決に至るが,尾崎とかなこの関係は再生に至らない.しかし観客は再生への希望を感じてこの映画を見終わるだろう.
寡黙な尾崎を演じた大西信満,感情のほとばしる激しい台詞術の真木よう子,挫折したやるせない中年男を演じた大森南朋が印象的.
脇役では新井浩文,鶴田真由が良かった.見て損はなし.
追記:平本正宏の音楽は良かった.また,椎名林檎作詞作曲・真木よう子歌唱のエンディングテーマは,秀逸.
★★★★(★5個が満点)
人気ブログランキングへ
固定リンク
| コメント (0)
| トラックバック (0)
最近のコメント