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2014年3月に作成された記事

2014/03/30

独断的映画感想文:旅立ちの島唄 ~十五の春~

日記:2014年3月某日
映画「旅立ちの島唄 ~十五の春~」を見る.0
2012年,監督:吉田康弘.
キャスト:三吉彩花(仲里優奈),大竹しのぶ(仲里明美),小林薫(仲里利治),早織(仲里美奈),立石涼子(瑠璃子).
沖縄本島から360キロ,南大東島はサトウキビの島.
島には高校がなく,中学生は15歳の春に島を出て高校に進学する.仲里優奈は島の民謡を歌う「ボロジノ娘」のリーダーを卒業する先輩から引き継いだ.3
優奈はお父と二人島に暮らすが,兄と姉は島を出て進学,お母も島を出て2年になる.優奈は高校進学の準備や,島唄の練習に忙しい.
そこへ姉の美奈が娘を連れて突然帰ってきた.夫との間に何かあったらしい.
優奈は一大スポーツイベント・南北親善競技大会で,北大東島から来た健斗と知り合い文通を始める.観光イベント出演のため那覇にやってきた優奈は久しぶりに母と会うが,母には新しい恋人が居た….
15歳の少女には重すぎる離島の現実と人間関係が,家族の情愛や淡い初恋を通じて丹念に描かれる.自分なりの答を出そうと懸命に行動する優奈を見守る島人の優しさが,胸にしみる映画である.2
俳優では,快作「グッモーエビアン」で能年玲奈と共演した三吉彩花が,初主演ながら好演.彼女が最後にフルコーラスを歌う別れの歌「アバヨーイ」には,涙を禁じ得ない.
一見の価値あり.★★★★(★5個が満点)4
ところで南大東島は北大東島と共に珊瑚礁が隆起して出来た絶海の孤島,発見者にちなみ欧米ではボロジノ諸島と呼ばれている.
平たい島で最高高度は75メートルしかなく,良港に恵まれず大型船は接岸できない.こういう映画なくしてはそのような状況も知ることは無かったかも知れない.
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2014/03/23

独断的映画感想文:はじまりのみち

日記:2014年3月某日
映画「はじまりのみち」を見る.7
2013年.監督:原恵一.音楽:富貴晴美.
出演:加瀬亮(木下惠介(正吉)),田中裕子(木下たま),ユースケ・サンタマリア(木下敏三),濱田岳(便利屋),斉木しげる(木下周吉),光石研(庄平),濱田マリ(こまん),山下リオ(木下作代),藤村聖子(木下芳子),松岡茉優(やゑ子),相楽樹(義子),宮崎あおい(学校の先生),大杉漣(松竹・城戸四郎).5松竹映画監督の木下惠介は,「陸軍」のラストシーンが軍官僚の不興を買い,企画が進行中だった次回作から降ろされる.
失意の木下は辞表を提出,浜松の実家に帰って脳溢血を療養中の母の介護に専念する.
しかし戦局の悪化で浜松にも危険が迫る.木下はリヤカー2台に母と荷物を積み込み,兄と便利屋の3人で山越えの疎開を試みるが….
木下惠介の監督としての再生と,母子の愛情を描く物語.
物語の背景には戦争という過酷で悪意に満ちた状況があるが,映画で描かれるのは周囲の人々の優しさ,母との絆,便利屋青年のしたたかで率直な真情等で,登場人物には悪人は誰も居ない.4
彼等との交流の中で再び映画作りに立ち上がろうとする木下の姿が,感動的である.観客としてはここで,木下青年に励ましの声援を送らないでは居られない.
また,映画中では「陸軍」の最終シーンが,ノーカットで収録されている.これにも涙を禁じ得ない.
劇中では他にも「カルメン故郷に帰る」「二十四の瞳」「喜びも悲しみも幾歳月」「楢山節考」等の木下作品が紹介されるが,改めて木下惠介監督の力を思わずに居られない.1
俳優では加瀬亮,濱田岳,田中裕子が素晴らしい.富貴晴美の音楽も出色の出来.見て損はなし.
★★★★(★5個が満点)
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2014/03/16

独断的映画感想文:ホワイトハウス・ダウン

日記:2014年3月某日
映画「ホワイトハウス・ダウン」を見る.1
2013年.監督:ローランド・エメリッヒ.
出演:チャニング・テイタム(ジョン・ケイル),ジェイミー・フォックス(ジェームズ・ソイヤー大統領),マギー・ギレンホール(キャロル・フィナティ特別警護官),ジェイソン・クラーク(エミール・ステンツ),リチャード・ジェンキンス(イーライ・ラフェルソン),ジョーイ・キング(エミリー・ケイル),ジェームズ・ウッズ(マーティン・ウォーカー).
下院議長のボディーガードを務めるジョン・ケイルは,大統領とホワイトハウスの熱烈なファンである娘のエミリーと共に,大統領特別警護官の面接を受けるためホワイトハウスを訪れる.2_3
旧知の警護官キャロルの面接を受けるが敢えなく不合格,止むなく娘と共にホワイトハウスツアーに参加することになる.
ところがホワイトハウス内で突如大爆発が起こり,大統領は警護官マーティンの裏切りにより拉致されようとするが,そこに遭遇したジョンに救われ,2人は外への脱出を図る.
一方人質になったエミリーは犯人達の映像を盗み撮りして自分のブログに送信,公開する.大統領の生死不明という事態に副大統領が大統領職を引き継ぎ,犯人攻撃のため人質もろともホワイトハウス爆撃を命じるが,犯人達はハッキングによりミサイル発射ボタンを作動させた….3_2
なかなかに迫力のある映画である.
「自由世界の盟主」アメリカ大統領が窮地に陥ると共に,核のボタンは誰の手に落ちるのか,マーティンの黒幕は誰か,発射されたミサイルはどうなるか等々,息もつかせぬスピーディーな展開の中数々のテーマが浮かんでは展開する.
ジョンの大車輪の活躍も見どころだが,エミリーの活躍や大統領自身の奮闘も見応えあり.誰が敵で誰が味方か,最後まで判らない混沌としたストーリーが面白い.一見の価値あり.4
★★★★(★5個が満点)
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独断的映画感想文:ローン・レンジャー

日記:2014年3月某日
映画「ローン・レンジャー」を見る.2_2
2013年,監督:ゴア・ヴァービンスキー.
出演:ジョニー・デップ(トント),アーミー・ハマー(ローン・レンジャー(ジョン・リード)),トム・ウィルキンソン(レイサム・コール),ウィリアム・フィクトナー(ブッチ・キャヴェンディッシュ),バリー・ペッパー(キャプテン・フラー),ヘレナ・ボナム=カーター(レッド・ハリントン),ジェームズ・バッジ・デール(ダン・リード),ルース・ウィルソン(レベッカ・リード).
1933年のこと,ローン・レンジャーのマスクをした少年が見世物小屋に入ると,老トントの人形が声をかけてくる.人形は少年を相手に1867年の自分とローン・レンジャーの物語を話し始める….という妙な設定で始まる映画.
ジョン・リードは法律の勉強を終え,故郷へ検事として帰ってくるが,同じ列車で護送されていたブッチを部下達が奪還する騒ぎに巻き込まれる.
ジョンの兄ダンはレンジャーとして隊員と共にブッチ再逮捕に乗りだし,ジョンも同行するが,案内人の裏切りでブッチ一味に待ち伏せされ,隊は全滅する.
ジョンはトントに救われブッチを追うが,コマンチ族の襲撃の噂が流れ,ダンの妻と息子が危機に瀕する….
長い長い意味の良く分からない前置き部分と,「ウィリアム・テル序曲」に乗ってアクションの展開するラスト30分からなる退屈な映画.Photo
ローン・レンジャー前史と言った方が良いビギニング物だが,必然性がどこにあるのかと言いたくなるようなエピソードがだらだらと続く前置きは,白馬シルバーとジョニー・デップのトントのとぼけた演技がなければ,とても最後まで見通せないだろう.
ラスト30分はまあ面白かったけど,2度見たいとは到底思えません.ヒマで仕方のないジョニデファンにお勧め.★★☆(★5個が満点)
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独断的映画感想文:小さいおうち

日記:2014年2月某日
ピカデリーで映画「小さいおうち」を見る.0
2013年.監督:山田洋次.音楽:久石譲.
出演:松たか子(平井時子),黒木華(布宮タキ),片岡孝太郎(平井雅樹),吉岡秀隆(板倉正治),妻夫木聡(荒井健史),倍賞千恵子(布宮タキ(平成)),橋爪功(小中先生),吉行和子(小中夫人),室井滋(貞子),中嶋朋子(松岡睦子),林家正蔵(治療師),ラサール石井(柳社長),あき竹城(カネ),松金よね子(花輪の叔母),螢雪次朗(酒屋のおやじ),市川福太郎(平井恭一(少年期)),秋山聡(平井恭一(幼年期)),笹野高史(花輪和夫),小林稔侍(荒井軍治),夏川結衣(荒井康子),木村文乃(ユキ),米倉斉加年(平井恭一(平成)).
一人暮らしの老人布宮タキが死んだ.3
孫の健史は彼女が書く「自叙伝」を楽しみにしていたのだが,それは彼宛に残された缶の中にあった.そこに綴られたタキの女中奉公時代の物語.
昭和11年,山形の田舎から東京に出たタキは,小説家の家で1年間の女中見習いを経た後,東京郊外のモダンな赤い屋根の住宅に住む,平井家に奉公することになる.
おもちゃ会社の重役のご主人雅樹,若い奥様時子は優しく,一人息子の恭一もタキになついた.順調に奉公を続けるタキ,一方日本は南京陥落で希望を見出したにもかかわらず日中戦争の解決はいっこうに見通せず,物資の欠乏と戦死者の増大は,市民生活にも暗い影となりつつあった.
そんな中,おもちゃ会社のデザイナー板倉が平井家を訪れる様になり,時子は平井に好意を持つ様になる….
戦争で全てが破滅するまでの平井家とタキを描く小さなおうちの物語である.2
物語の中心は時子と彼女を慕うタキ,またその二人と親しい板倉の3人.小さなおうちの昭和らしい市民生活が,戦争に向かって進んでいく中,展開される恋愛事件がどういう結果となるか.
俳優陣では松たか子,黒木華が見応えあり.片岡孝太郎も良かった.
でも孝太郎が現代劇で好演すると,歌舞伎の女形役での孝太郎に違和感が生じるのはどうしたものか.
淡々とした描写のなかに見応えある映画.見て損はなし.★★★☆
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