独断的映画感想文:昭和残侠伝 吼えろ唐獅子
日記:2014年4月某日
映画「昭和残侠伝 吼えろ唐獅子」を見る.
1971年.監督:佐伯清.
出演:高倉健,池部良,鶴田浩二,松方弘樹,松原智恵子,小林稔侍,由利徹.
昭和初期.前橋の黒田組に客分として身を置いた花田秀治郎は,黒田組の若い者・風間文三と共に対立する川勝組を襲う.
文三はほとぼりを冷ますため金沢に行くが,黒田組組長の女おみのが文三の後を追う.おみのは文三と恋仲だったが無理矢理組長の女にされたのだった.
組長は文三とおみのを追って金沢へ,花田も組長の意を受けて,意に沿わぬ働きを強いられる….
昭和残侠伝シリーズの8作目,箸にも棒にもかからない駄作である.
やくざ映画絶頂期の1970年代を40年隔てると,評価はこの様に変わってしまうものか.
物語は,仁義の筋を愚直なまでに墨守する花田と彼に与する重吉,三州政治,これに対する黒田組組長等の闘争にある.
今この映画を見ると,花田は(如何に高倉健が演じているとは言え)ただの人斬りである.仁義に厚く人情を併せ持つのではあろうが,客分として転がり込んでその組の親分の指示通り殺しをし,既に殺した数は数知れない.最後には真情ある厚誼を交わした三州を命じられて襲い,ひるがえって義理ある筈の黒田組組長への殴り込みを敢行して組を壊滅させる.
一方その黒田組組長は,自分の女が愛人を追って出奔したのに対し,縄張りも稼業も放擲して一家を挙げて追跡し,果ては異国の地で一家壊滅の憂き目に遭うという愚か者である.
相対するそのどちらにも全く感情移入することは出来ない.こんな馬鹿な話があるか,というのが見た後の感想である.
それにもかかわらず,高倉健の魅力には抗し難い.このスターあればこそ,この様な駄作が映画として成り立っている.それ以外評価すべき点はない.
★☆(★5個が満点)
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