番外:独断的歌舞伎感想文:鳳凰祭四月大歌舞伎昼の部
日記:2014年4月某日
鳳凰祭四月大歌舞伎昼の部を幕見で見る.見たのは歌舞伎座新開場一周年記念と銘打った「一、壽春鳳凰祭(いわうはるこびきのにぎわい)」.出演:女御(時蔵),女御(扇雀),大臣(橋之助),大臣(錦之助),女御(梅枝),同 (新悟),大臣(萬太郎),同 (隼人),従者(進之介),帝 (我當).
「二、鎌倉三代記(かまくらさんだいき) 絹川村閑居の場」.出演:佐々木高綱(幸四郎),時姫(魁春),母長門(歌江),おくる(歌女之丞),富田六郎(桂三),三浦之助義村(梅玉).
「三、壽靱猿(ことぶきうつぼざる)」.鳴滝八幡宮の場.出演:猿曳寿太夫(三津五郎),奴橘平(巳之助),女大名三芳野(又五郎).
壽春鳳凰祭は華やかにして荘重な格調高い踊りで,それぞれの出演者が個性を生かし踊る.音楽も素敵.
鎌倉三代記は一幕一場の芝居だが,それにしては長すぎる.しかも途中は殆どが時姫と三浦之助の,出口の見えない嘆きの台詞の交換で,いささか退屈した.この一幕の後,時姫に全てを託して登場人物はことごとく死んでしまうらしい.どうも救いのない芝居である.
さて本命の靫猿.大名の代参で八幡宮にやってきた女大名と奴,無事参拝を終え帰ろうというところに迷い込んできた小猿.大名から靫に使う猿の毛皮を捜してこいと依頼されていた女大名は,しめたと小猿を取り押さえるが,猿曳きに断らなければならない.そこに追いついてきた猿曳き,女大名の命令に仰天しますが,止むなく小猿を打ち殺そうとする.小猿は主人の剣幕に謝って見せたり芸を見せたり一生懸命,その姿に女大名も遂に小猿を諦める,というご存知の物語.それを踊る三津五郎の体の動きの自在なこと.芯はぶれずに滑る様に跳ぶ様に踊る姿は,誠に舞うとはこういうことを云うのかと感服した次第である.見ているだけで心が和む,こんな気分になるのは三津五郎ならではのこと.是非今後も元気で踊りを見せて欲しいものだ.
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