« 2014年5月 | トップページ | 2014年7月 »

2014年6月に作成された記事

2014/06/21

独断的映画感想文:WOOD JOB!(ウッジョブ)~神去なあなあ日常~

日記:2014年6月某日
映画「WOOD JOB!(ウッジョブ)~神去なあなあ日常~」を見る.Wood_job1
2014年.監督:矢口史靖.
出演:染谷将太(平野勇気),長澤まさみ(石井直紀),伊藤英明(飯田ヨキ),優香(飯田みき),西田尚美(中村祐子),マキタスポーツ(田辺巌),有福正志(小山三郎),田中要次(指導員B),近藤芳正(林業組合・専務),光石研(中村清一),柄本明(山根利郎).Wood_job2
大学受験に失敗,おまけに彼女には振られ行く当てもなく高校を卒業する羽目になった平野勇気は,ふと見たポスターの美人モデルに惹かれ林業研修生になることに.三重県の研修センターで1ヶ月の初期研修を何とか終え,山奥のそのまた奥の神去村で中村林業での研修生活が始まる.
この村には問題の美人モデル石井直紀が保育所の先生をしていたが,勇気は飯田ヨキ先輩の家に下宿し,彼と田辺巌,小山三郎等からなる濃いメンバーの班でしごかれる.機会を窺っては脱走を図る勇気だったが,次第に林業の奥深さ,地元の生活の豊かさを理解していく….
三浦しおんの原作を映画化.Wood_job5
原作に真っ向から取り組んだ映画で,林業の1年をしっかり描いている(冬はさすがにかなり省略されているが).
染谷昇太の演ずる勇気が,軟弱で調子の良い性格ながら,素直さと勇敢さで魅力的である.
伊藤英明がマッチョのコメディはかくありたいという好演,海猿俳優が見事な山猿ぶりを発揮する軽トラック飛び乗りシーンは圧巻である.
同じ班の各班員も誠にうってつけのメンバーが揃って楽しい.長澤まさみ,優香,西田尚美の女優陣も見応えあり.
親方中村社長の息子山太役の升水柚希君は,西田尚美に豪快にぶっ飛ばされ泣く泣き方が実に良い,阿部サダオそっくりの子役.シゲばあちゃん役の小野敦子さんは米寿近いそうで,山太とのカップリングシーンは予測不能だったとか.Wood_job4飯田ヨキと平野勇気の,30メートル近い杉の木の上のシーンも見応えがある(特撮ではありません).
物語の面白さは原作で保証付き,見て損はない映画.
★★★★(★5個が満点)
にほんブログ村 映画ブログへ
にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ
ブログランキング・にほんブログ村へ
人気ブログランキングへ

| コメント (0) | トラックバック (2)

独断的映画感想文:エリジウム

日記:2014年6月某日
映画「エリジウム」を見る.1
2013年.監督:ニール・ブロムカンプ.
出演:マット・デイモン(マックス・ダ・コスタ),ジョディ・フォスター(デラコート高官),シャールト・コプリー(クルーガー),アリシー・ブラガ(フレイ),ディエゴ・ルナ(フリオ),ワグネル・モウラ(スパイダー),ウィリアム・フィクトナー(ジョン・カーライル),ファラン・タヒール(パテル大臣),ブランドン・オーレ(ドレイク),ジョシュ・ブラッカー(クロウ),エマ・トレンブレイ(マチルダ),ホセ・パブロ・カンティージョ(サンドロ).
2154年,地球は汚染され,富裕層は地上400キロの軌道を周回する宇宙ステーション「エリジウム」に暮らす.
地球は貧困のまま放置され,最新のロボットとIT技術が地球市民を完全に奴隷化していた.一方エリジウムでは医療が発達し,全市民の家庭にあらゆる病気を一瞬で診断し治療するポッドが完備していた.3
地球で難病に陥ったものは密航組織に依頼して,偽のIDを腕に刻印しエリジウムに向かう.着地後,逮捕され強制送還されるまでの間に一般家庭に潜り込んでポッドの治療を受けることができれば病気は完治する.
しかし彼等の前にはエリジウムの防衛長官デラコートが立ちはだかり,容赦なく密航シャトルの撃墜を指揮していた.
孤児院育ちのマックスは,ロボット製造工場で働く労働者,或る日設備の不具合が原因で高線量の放射線を浴びてしまう.
会社は彼の余命を5日間と診断し,解雇した.助かる道はエリジウムに行くしかない.マックスは旧知の密航組織のボスに依頼しエリジウムへの密航を図るが….7
SFとしてはむしろ古典的な設定の世界であろう.
エリジウムの幸せな市民の描写を見て何となく竹中平蔵教授を思い出してしまった.竹中さんの理想世界がまさにエリジウムであることは間違いない.
その前提には逃げ場の全くない地獄である,地球世界の奴隷労働がある.
マックスが密航の交換条件として請け負った誘拐の相手はエリジウムのリセット情報を持ったカーライルであり,一方彼はエリジウムでクーデターを企てるデラコートのキーマンでもあった.
密航組織とデラコートの私兵とのカーライルを巡る争奪戦の果てに,エリジウムを舞台としたクライマックスに至る.2
映画の結末はある意味でのハッピーエンド,納得のいくものでその物語には感銘を受けた.
俳優はマット・デイモン,シャールト・コプリーが好演.
映画としての出来は良い.ただ,見た後の気分は,こういう世界に向かって竹中さん達は我が国を進めていくのだと思い知らされ,暗澹たるものであった.少なくとも僕はエリジウムに行ける人間ではない.
★★★★(★5個が満点)
にほんブログ村 映画ブログへ
にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ
ブログランキング・にほんブログ村へ
人気ブログランキングへ

| コメント (0) | トラックバック (0)

2014/06/20

独断的映画感想文:コン・ティキ

日記:2014年6月某日
映画「コン・ティキ」を見る.4
2012年.監督:ヨアヒム・ローニング.
出演:ポール・スヴェーレ・ヴァルハイム・ハーゲン(トール・ヘイエルダール),アンドレス・バースモ・クリスティアンセン(ヘルマン・ワツィンゲル),ヤーコプ・オフテブロ(トルステイン・ロービー),トビアス・ザンテルマン(クヌート・ハウグランド),オッド=マグヌス・ウィリアムソン(エリック・ヘッセルベルグ),グスタフ・スカルスガルド(ベングト・ダニエルソン),アグネス・キッテルセン(リヴ・ヘイエルダール).2
子供の時に世界的ベストセラーとなり,うちの本棚にもあって愛読した「コン・ティキ号漂流記」の映画化である.
1947年,若きノルウェーの人類学者・トール・ヘイエルダールは,謎とされていたポリネシア人の起源は,ペルーから筏で海流に乗って8000キロを旅した人々である,という仮説を立てた.
それを証明するため,インカ時代のやり方で筏を建造,資金とクルーを募ってポリネシア目指し勇躍ペルーを出港,100日余りの後に南太平洋ポリネシアのツアモツ諸島のラロイア環礁に漂着する….
第二次大戦直後の完全なアナログの時代,スマホ一つからGPSが利用できる現代では想像を絶する状況下の冒険物語である.3
とにかく,無線機以外には近代機器を一切使用せず広大な太平洋での筏漂流に挑む,その冒険家精神に圧倒される.
さまざまな漂流中の苦難が描かれる.冷蔵庫セールスマンから転身したヘルマン・ワツィンゲルの恐怖と,それに対し自分を信じろとのみ言い放つ信念のかたまりヘイエルダールとの軋轢は,物語の一つの頂点となる.
その一方で筏上の小屋に男6人が寝起きし,大量の書物に読みふけり,ギターをかき鳴らしながら漂流していく,そのどこか突き抜けた暢気さも印象的だ.
無線機やタイプライターは嵐が来たときなどはどう守っていたのかしら.1
子供の頃あこがれた漂流記に夢中になり,見終わった後改めて自分の周りを見回し随分遠くに来てしまったなと思う,そういう映画でもあった.一見の価値あり.
★★★☆(★5個が満点)
にほんブログ村 映画ブログへ
にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ
ブログランキング・にほんブログ村へ
人気ブログランキングへ

| コメント (0) | トラックバック (0)

番外:独断的歌舞伎感想文:歌舞伎座六月大歌舞伎 蘭平物狂

日記:2014年6月某日
「歌舞伎座六月大歌舞伎 一、倭仮名在原系図 蘭平物狂(らんぺいものぐるい)」を見る.Kabukiza_201406poster1000
三代目尾上左近 初舞台.
出演:奴蘭平実は伴義雄(松緑),女房おりく実は音人妻明石(時蔵),水無瀬御前(菊之助),一子繁蔵(初舞台左近),壬生与茂作実は大江音人(團蔵),在原行平(菊五郎).
松緑の祖父(二代松緑)が復活上演したこの芝居で,松緑の息子藤間大河が,その祖父辰之助,父松緑と同様に尾上左近を襲名.
息子の襲名に気合い充分の松禄が素晴らしい.
第1場は在原の行平に仕える奴蘭平・一子繁蔵が出てきて,蘭平が白刃を見ると意識を失い妙なことを口走るという「もの狂い」の紹介.この場はいささかだれて眠気に襲われた.
ところが第2場の幕が開くと,もう蘭平は正体を現して行平邸で剣を振り回して暴れて居るどころか,既に深手を負って顔は血に染まっている.誠に唐突な展開で.筋もへったくれもありはしない.
しかしそんなことはまあどうでも良いので,後は30名に及ぶ捕り手と蘭平の手に汗握る大立ち回りがみもの.
花道での梯子乗り,次々に屋根から石灯籠に転げ落ちてくる捕り手たち等々,見応えある大殺陣の後,主人公等が揃って見得を切る幕切れは,拍手喝采.
ここで尾上左近襲名の口上がある.
菊五郎に庇護されてここまでになった尾上松緑・左近を思うと感慨深いものがあった.
にほんブログ村 映画ブログへ
にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ
ブログランキング・にほんブログ村へ
人気ブログランキングへ

| コメント (0) | トラックバック (0)

2014/06/16

独断的映画感想文:武士の献立

日記:2014年6月6日(金)
映画「武士の献立」を見る.2
2013年.監督:朝原雄三.
出演:上戸彩(舟木春),高良健吾(舟木安信),余貴美子(舟木満),西田敏行(舟木伝内),夏川結衣(お貞の方~真如院),成海璃子(今井佐代),柄本佑(今井定之進),緒形直人(大槻伝蔵),鹿賀丈史(前田土佐守直躬).
春は料理屋の娘,加賀藩の江戸屋敷に女中奉公に上がっている.家と両親を火事で失った春は一度嫁に行くが,気が強いとの理由で離縁され,またお屋敷に戻ってきた.
この春の料理の腕に感じ入った加賀藩の料理方・舟木伝内は,息子の嫁に是非にと所望,春は金沢の舟木家へ嫁に入る.3
夫の安信は兄の死で嫡子となったものの,剣の腕を磨くのに熱心で料理の方は覚束ず熱意もない.春は夫に料理で勝負を申し込み見事に勝利,安信もようやく料理に本気で向き合う様になるが….
料理映画と思いきや,お家騒動が起こりそれとの関わりで安信と春との間に軋轢が生じたりと,話しがあちこちするのが少々気ぜわしい.
折角,能登地方を食材捜して夫婦力を合わせ旅をするのだから,その結果が最後のクライマックスに結びついて料理映画として盛り上がっていって欲しかった.1
春を演じる上戸彩はやはりアイドル系,頑張ってはいるが自称「古狸」という風には到底見えず,ミスキャスト.といっても営業的にはこの人が主役なんだろうから,どうすりゃ良かったんでしょうかね.
映画にとどめを刺したのは,Charaのエンディングテーマか.何とかまとめてきた映画の雰囲気を一撃でぶち壊す衝撃の乱入でした.「山桜」の一青窈のエンディングテーマに匹敵するぶち壊し方には呆然.これも営業の都合ですかね.4
良かったのは西田敏行.高良健吾も青臭い青年武士ぶりが良かった.
★★☆(★5個が満点)
にほんブログ村 映画ブログへ
にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ
ブログランキング・にほんブログ村へ
人気ブログランキングへ

| コメント (1) | トラックバック (0)

2014/06/05

独断的映画感想文:陽だまりの彼女

日記:2014年5月某日
映画「陽だまりの彼女」を見る.2
2013年.監督:三木孝浩.
出演:松本潤,(奥田浩介),上野樹里(渡来真緒),玉山鉄二(新藤春樹),大倉孝二(田中進),谷村美月(峯岸ゆり),菅田将暉(奥田翔太),北村匠海(中学生の奥田浩介),葵わかな(中学生の渡来真緒),小籔千豊(杉原部長),西田尚美(奥田祥江),とよた真帆(梶原玲子),木内みどり(渡来真由子),塩見三省(渡来幸三),夏木マリ(大下).
浩介はさしたる目的もなく広告代理店に勤めるサラリーマン.ところがある日訪れたクライアント先で,中学時代の同級生真緒と再会する.
中学時代は出来が悪くいじめられっ子だった真緒を,浩介は公然とかばっていた.今見る真緒は見違える様に美しくばりばりのキャリアウーマン.3
真緒と組んで仕事をすることになった浩介は,俄然大張り切り,仕事を成功させ真緒とも付き合う様になるが,真緒にはちょっと変わった秘密があった….
ファンタジーと言うよりはメルヘンといった感じのロマンス.
これもコミックが原作で,ほんわかしたスッピンのぼさぼさ髪のヒロインを上野樹里が演じる.「のだめ」以来の当たり役という感じだが,上野樹里はこういう役しかできないのか.
物語自体もあまりに浮き世離れしていて,違和感があった.塩見三省が真緒の秘密を深刻に語ったときは難病ものかと思ったが,そうではなかったのだ.1
主演の二人は可愛いし微笑ましいし好感度は高いが,物語が「所詮漫画」というレベルで大人の映画とは言えない.もう一ひねり欲しかった.
★★★(★5つが満点)
にほんブログ村 映画ブログへ
にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ
ブログランキング・にほんブログ村へ
人気ブログランキングへ

| コメント (1) | トラックバック (0)

番外:独断的歌舞伎感想文:明治座五月花形歌舞伎 夜の部 伊達の十役

日記:2014年5月某日
「明治座五月花形歌舞伎 夜の部」を見る.Meijiza20140525
「慙紅葉汗顔見勢(はじもみじあせのかおみせ) 三代猿之助四十八撰の内 伊達の十役(だてのじゅうやく) 市川染五郎十役早替り宙乗り相勤め申し候」.
発端 稲村ヶ崎の場.序 幕 鎌倉花水橋の場,大磯廓三浦屋の場,三浦屋奥座敷の場.二幕目 滑川宝蔵寺土橋堤の場.三幕目 足利家奥殿の場,同  床下の場.四幕目 山名館奥書院の場,問註所門前の場,同  白洲の場.
出演:口上,仁木弾正,絹川与右衛門,赤松満祐,足利頼兼,土手の道哲,高尾太夫,腰元 累,乳人政岡,荒獅子男之助,細川勝元(市川染五郎),沖の井(市川高麗蔵),渡辺民部之助(中村亀鶴),京潟姫(中村壱太郎),山中鹿之助(中村種之助),新造薄雲(中村米吉),新造小紫(大谷廣太郎),笹野才蔵(中村隼人),松島(中村児太郎),大江図幸鬼貫(中村吉之助),渡辺外記左衛門(松本錦吾),山名持豊(大谷桂三),三浦屋女房松代(坂東竹三郎),八汐(中村歌六),栄御前(片岡秀太郎).
15年ぶりに見る「伊達の十役」.前回は先代猿之助の1999年7月歌舞伎座であった.まことに時の経つのは早いもの.
染五郎の十役は若々しく溌剌としている.早変わりの鮮やかさは素晴らしい.また三幕目に落ち着いて演じた乳人政岡はしみじみと,入れ替わった仁木弾正は憎々しく見応えがあった.
十役のうちでは土手の道哲がやはり一番リラックスして演じられる様だ.
3階席の花道の上方に座っていたので,宙乗りの仁木弾正は真っ直ぐ自分を目指して空中を上ってくる.何とも言えない良い気分であった.気持ち良く見終わって終は了20:45.
にほんブログ村 映画ブログへ
にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ
ブログランキング・にほんブログ村へ
人気ブログランキングへ

| コメント (0) | トラックバック (0)

« 2014年5月 | トップページ | 2014年7月 »