番外:独断的歌舞伎感想文:歌舞伎座六月大歌舞伎 蘭平物狂
日記:2014年6月某日
「歌舞伎座六月大歌舞伎 一、倭仮名在原系図 蘭平物狂(らんぺいものぐるい)」を見る.
三代目尾上左近 初舞台.
出演:奴蘭平実は伴義雄(松緑),女房おりく実は音人妻明石(時蔵),水無瀬御前(菊之助),一子繁蔵(初舞台左近),壬生与茂作実は大江音人(團蔵),在原行平(菊五郎).
松緑の祖父(二代松緑)が復活上演したこの芝居で,松緑の息子藤間大河が,その祖父辰之助,父松緑と同様に尾上左近を襲名.
息子の襲名に気合い充分の松禄が素晴らしい.
第1場は在原の行平に仕える奴蘭平・一子繁蔵が出てきて,蘭平が白刃を見ると意識を失い妙なことを口走るという「もの狂い」の紹介.この場はいささかだれて眠気に襲われた.
ところが第2場の幕が開くと,もう蘭平は正体を現して行平邸で剣を振り回して暴れて居るどころか,既に深手を負って顔は血に染まっている.誠に唐突な展開で.筋もへったくれもありはしない.
しかしそんなことはまあどうでも良いので,後は30名に及ぶ捕り手と蘭平の手に汗握る大立ち回りがみもの.
花道での梯子乗り,次々に屋根から石灯籠に転げ落ちてくる捕り手たち等々,見応えある大殺陣の後,主人公等が揃って見得を切る幕切れは,拍手喝采.
ここで尾上左近襲名の口上がある.
菊五郎に庇護されてここまでになった尾上松緑・左近を思うと感慨深いものがあった.
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