番外:独断的歌舞伎感想文:七月大歌舞伎 夜の部 天守物語/修禅寺物語
日記:2014年7月某日
歌舞伎「七月大歌舞伎 夜の部」を見る.
「一、猿翁十種の内 悪太郎(あくたろう)」.出演:悪太郎(市川右近),修行者智蓮坊(猿弥),太郎冠者(弘太郎),伯父安木松之丞(亀鶴).「二、修禅寺物語(しゅぜんじものがたり)」.出演:夜叉王(中車),源頼家(月乃助),修禅寺の僧(寿猿),妹娘楓(春猿),姉娘桂(笑三郎),春彦(亀鶴).「三、天守物語(てんしゅものがたり)」.出演:天守夫人富姫(玉三郎),姫川図書之助(海老蔵),舌長姥(門之助),薄(吉弥),亀姫(尾上右近),朱の盤坊(猿弥),山隅九平(市川右近),小田原修理(中車),近江之丞桃六(我當).
夜の部は何と言っても天守物語である.
玉三郎,海老蔵,門之助,我當の配役は,既に出来上がった舞台の安心感を与える.今回は尾上右近の亀姫が美しく華やかで心を奪われた.
これに対する玉三郎も文句なしの美しさ,鏡花の怪しい異形の世界を存分に味わうことが出来た.終演後拍手鳴り止まず2度のカーテンコール.
狂言仕立ての「悪太郎」は市川右近の酔っ払い悪太郎の芝居が面白く,にこりともしない猿弥の修行僧との対照が妙である.
「修善寺物語」は中車の夜叉王が熱演だが,終盤の,娘が死に瀕し主君が滅びんとする最中に己の打った面にただひたすら見入る夜叉王の狂気が,舞台演出上もっとクローズアップできれば良かったというのが感想.
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