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2014年9月に作成された記事

2014/09/28

独断的映画感想文:博徒一代 血祭り不動

日記:2014年9月某日
映画「博徒一代 血祭り不動」を見る.Photo
1969年.監督:安田公義.
出演:市川雷蔵(桜田丈吉),近衛十四郎(小洗音次郎),亀井光代(お園),長谷川待子(お初),金田龍之介(北松市蔵),金内吉男(輪島勇一),石山健二郎(泉谷剛造),富田仲次郎(杉谷理三郎),田中三津子(お常),遠藤辰雄(大戸国五郎).
この映画は雷蔵の遺作である.
昭和初期の新津.丈吉は一匹狼の博徒,弟分の勇一がいる.義理により,とある親分に届ける金のため殺人を犯した丈吉,その一旦失われた金を見ず知らずの音二郎に融通して貰い義理は果たし,自首して服役する.
6年経って釈放され新津に来てみると,勇一は地元の大戸一家の代貸としていい顔になっていた.大戸一家が抹殺を企む北松一家の代貸が,折りしも出所してきた音二郎と知り,丈吉は勇一も気がかりで新津にとどまる.
ところが,勇一がしでかした不始末の責任を問い,大戸一家は兄貴分の丈吉に音二郎を殺す様命じたのだった.何よりも義理を大切にする丈吉は,止むなく音二郎のもとに赴く….
冷厳なやくざの掟と,そこに生きる人間の悲哀を描く.1969年という時代と雷蔵の病魔という背景があり,沈痛な色合いの映画となった.2
近衛十四郎と雷蔵のからみが何といっても魅力的.また敵対する大戸一家も,70年代の様な殺伐とした感じは無く,任侠の筋目は通しているところが納得できる
.弱さと傲慢さを併せ持つ勇一の人間像が,余りにも義理に縛られた丈吉と対比して印象深い.雷蔵の魅力と相俟って,見て損はない映画.
★★★☆(★5個が満点)
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2014/09/26

独断的映画感想文:清須会議

日記:2014年9月某日
映画「清須会議」を見る.1_2
2013年.監督:三谷幸喜.
出演:役所広司(柴田勝家),大泉洋(羽柴秀吉),小日向文世(丹羽長秀),佐藤浩市(池田恒興),妻夫木聡(織田信雄),浅野忠信(前田利家),寺島進(黒田官兵衛),でんでん(前田玄以),松山ケンイチ(堀秀政),伊勢谷友介(織田三十郎信包),鈴木京香(お市様),中谷美紀(寧),剛力彩芽(松姫),坂東巳之助(織田信孝),阿南健治(滝川一益),市川しんぺー(佐々成政),染谷将太(森蘭丸),篠井英介(織田信長),津島美羽(三法師),戸田恵子(なか),梶原善(小一郎),瀬戸カトリーヌ(小袖),近藤芳正(義兵衛),浅野和之(明智光秀),中村勘九郎(織田信忠),天海祐希(枝毛),西田敏行(更級六兵衛).
本能寺の変後いち早く明智軍を撃破した秀吉,一方信長の嫡男信忠は戦死し織田の跡目争いはそれぞれに宿老がついて決着がつかない.3
ここに清須で宿老達が集まって会議を開き,跡目相続を決定することになる.
当初,次男信雄を秀吉が支持,三男信孝を丹羽長秀・柴田勝家が支持したところ,信雄の余りのぱっぱらぱーぶりが明らかになる.
秀吉は官兵衛の知恵を借り,急遽宿老に池田恒興を引っ張り込むと共に,信忠の嫡子三法師を擁立して巻き返しを図る….
ご存知の歴史物語をこれでもかという豪華配役陣で描くなんちゃって時代劇.
信長が死に臨んでギャグをやるというおちゃらけでスタートした映画は,やや長めの138分ながらテンポ良く進行,まあ達者な役者をそれぞれ強烈なキャラの配役に当て込んで,それを見るだけで充分楽しい.
特に朴訥武闘派の権六勝家と,人を手足の様に使って策謀の限りを尽くす秀吉の対決が,さすがに見応えあり.でんでんの前田玄以なんかも渋くて良かった.4
官兵衛の寺島進はちょっと無理がある,鈴木京香のお市殿はちょっと気味悪い,等とそれぞれにおかしかった.
気楽に楽しめる三谷喜劇,後には何も残りません.
★★★(★5個が満点)
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2014/09/25

独断的映画感想文:LIFE!

日記:2014年9月某日
映画「LIFE!」を見る.1
2013年.監督:ベン・スティラー.
出演:ベン・スティラー(ウォルター・ミティ),クリステン・ウィグ(シェリル・メルホフ),アダム・スコット(テッド・ヘンドリックス),キャスリン・ハーン(オデッサ・ミティ),シャーリー・マクレーン(エドナ・ミティ),ショーン・ペン(ショーン・オコンネル),パットン・オズワルト(トッド),アドリアン・マルティネス(ヘルナンド).
ウォルターは,雑誌ライフの写真ネガを管理する部署に勤務する,経験16年のベテラン.2_3
時ところを選ばず妄想に耽る癖があるが,至ってマジメな冒険とは無縁な独身男性,老母と女優志望の妹がいる.
彼は最近入社したシェリルにSNSを通じてウィンク・ボタンを送ろうとするがうまくいかない.そのことで担当者のトッドとやり取りをして遅刻した朝,何とライフ/タイム社は買収され,ライフの休刊と猛烈なリストラが始まることとなる.
名カメラマン・ショーンが,ライフ最後の表紙を飾る写真のネガをウォルター宛送ってきたのだが,肝心の表紙に使う25番ネガだけが入っていない.期限までに何としてもネガを提出しなければならなくなったウォルターは,決然ショーンがいると見られるグリーンランドに向け出発する….5
ここから始まる大冒険,泥酔パイロットのヘリから氷の海に落とされるは,噴火するアイスランドの火山をかわして空港までスケボーで急行するは,ヒマラヤでユキヒョウを狙うショーンを探しだすは,血湧き肉躍る活劇が続く.
物語はハッピーエンド,しかも「青い鳥」を思い出させる様な寓話的な結末だ.この映画のラストシーン(それが同時に25番ネガの種明かしでもある)は忘れられないだろう.3
映画全体のとぼけたユーモア,時々挿入されるウォルターの妄想シーンなどが,絶妙なボケで観客を楽しませる.アイスランドやヒマラヤの映像は,映画の美しさに充ち満ちている.映画らしい映画,見て損は絶対なし.
★★★★(★5個が満点)
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2014/09/15

独断的映画感想文:ホビット 竜に奪われた王国

日記:2014年9月某日
映画「ホビット 竜に奪われた王国」を見る.1
2013年.監督:ピーター・ジャクソン.
出演:イアン・マッケラン(灰色のガンダルフ),マーティン・フリーマン(ビルボ・バギンズ),リチャード・アーミティッジ(トーリン・オーケンシールド),ベネディクト・カンバーバッチ(スマウグ),オーランド・ブルーム(レゴラス),エヴァンジェリン・リリー(タウリエル),リー・ペイス(スランドゥイル),ルーク・エヴァンス(バルド),スティーヴン・フライ(湖の町の統領).5
「ロード・オブ・ザ・リング」のピーター・ジャクソン監督が,その前日譚であるトールキンの『ホビットの冒険』を再び3部作として映画化.
ガンダルフやレゴラスといった「ロード・オブ・ザ・リング」と共通の登場人物も出てくるが,今回の主人公はホビットのビルボ.
竜に奪われた街の奪還を目指すドワーフの王子トーリンを支えて,決死の大活躍をするが,その得意技は「忍びの者」.4
物語の背景は「ロード・オブ・ザ・リング」と同じだし監督も一緒なので,いささか映画の雰囲気にはマンネリを感じるが(あの殺しても殺しても湧いて出る敵方の醜い兵士は何とかならんのかしら),ニューフェイス・タウリエルが強く美しい女性戦士を演じてなかなか素敵.更に,圧倒的な力を持つ「竜」のパフォーマンスが印象的だ.
その声を担当しているのがベネディクト・カンバーバッチという訳で,この辺が本作の一番の魅力だろう.2
結局は重厚な描写と物語の持つ力に引き込まれて2時間40分をあっという間に見た.見て損はなし.
★★★☆(★5個が満点)
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2014/09/10

独断的映画感想文:鬼平犯科帳劇場版

日記:2014年9月某日
BSで映画「鬼平犯科帳劇場版」を見る.1
1995年.監督:小野田嘉幹.
出演:中村吉右衛門(長谷川平蔵),岩下志麻(荒神のお豊),藤田まこと(白子の菊右衛門),石橋蓮司(沖源蔵),多岐川裕美(久栄),東根作寿英(辰蔵),久我陽子(清),梶芽衣子(おまさ),蟹江敬三(小房の粂八),世良公則(狐火の勇五郎),本田博太郎(吉五郎),平泉成(百蔵),遠藤憲一(文吉),峰岸徹(蛇の平十),高橋悦史(佐嶋忠介),神山繁(秋元源蔵),中村歌昇(岡村啓次郎),勝野洋(酒井祐助),尾美としのり(木村忠吾),綿引勝彦(大滝の五郎蔵),藤巻潤(五鉄の三次郎),江戸家猫八(相模の彦十),道場六三郎(天ぷら屋の親父).
火付け盗賊改め方の長官として「鬼の平蔵」と呼ばれる長谷川平蔵.
ある時狐火と名乗る急ぎばたらきの盗賊が現れ,押し込み先を皆殺しにする凶行を働く.狐火の勇五郎は密偵おまさのかっての恋人だった.
勇五郎は決して非道はしないと知るおまさは,江戸の街で勇五郎を見かける.やがて勇五郎と会ったおまさはその腕に抱かれ….
鬼平犯科帳シリーズ最盛期でかつオリジナルメンバーでの劇場版映画.
今は亡き江戸家猫八,高橋悦史(この時点で既に病を得,声が出ていないのが痛ましい),藤田まことが懐かしい.
脚本は幾つかの原作から構成されたもので,いささかつぎはぎ感は否めない.
この映画はむしろ俳優を味わう映画で,梶芽衣子の出来は出色,密偵の身でありながら昔の男に体を預け,平蔵の信頼との板挟みになる役を良く演じている.吉右衛門,岩下志麻の台詞術も堪能できる.吉右衛門のおまさへの一喝,岩下志麻の白子の菊右衛門への啖呵は,聞き応えあり.
独断と偏愛で★★★★(★5個が満点)
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2014/09/09

独断的映画感想文:居酒屋兆治

日記:2014年9月某日
映画「居酒屋兆治」を見る.1
1983年.監督:降旗康男.
出演:高倉健(藤野英治(兆治)),加藤登紀子(藤野茂子),大原麗子(神谷さよ),田中邦衛(岩下義治),伊丹十三(河原),左とん平(神谷久太郎),美里英二(井上),佐藤慶(吉野耕造),山谷初男(有田),河原さぶ(小寺),平田満(越智),池部良(堀江),小松政夫(秋本),石山雄大(沢井),細野晴臣(佐野),東野英治郎(松川),大滝秀治(相場先生),石野真子(相場多佳),小林稔侍(小関警部),三谷昇(中村巡査部長),佐野秀太郎(桐山少年),ちあきなおみ(峰子),好井ひとみ(ミーコ),水木薫(エミリー),中島唱子(河原洋子),立石涼子(秋本鈴子),片山満由美(岩下靖子),あき竹城(モツ屋),武田鉄矢(アベックの男),伊佐山ひろ子(アベックの女).2
函館のドック街近くでモツ煮込みの酒場兆治を営む藤野英治.高校時代はエースで甲子園を目指したが肩を痛め挫折,就職したドックでは首切り役の総務課長に抜擢され退職.その英治の初恋の女さよが夫と子供を置いて出奔したという….
原作・山口瞳,題字他デザイン・山藤正二,テーマ作詞作曲・加藤登紀子,主演・高倉健,大原麗子と来れば何を文句言うことがありましょう.もうこれだけでこの映画を愛さないではいられない.
健さん最盛期の降旗・高倉組を中心とした豪華出演陣を堪能するのみである.
映画の構成としては,英治とさよの悲恋物語として語り足りないところや,現代から見たときのさよの行動の不条理さが目立つかも知れない.さよの話と,函館の市井の人々の生活や居酒屋兆治の客の人生模様の描写とのバランスも,宜しくないかも知れない.4
しかし俳優とその演技が宜しい.
健さんがこれほどさまざまな表情を見せる映画はなかなかあるまい.大原麗子はただひたすら美しく切なく心を奪われる.伊丹十三の嫌らしさ,演技達者なちあきなおみと,からっペタな加藤登紀子との対比も面白い.
今は亡き大滝秀治の味のある演技はどうだ.そう言えば大滝,大原,伊丹の他東野英治郎,池部良も物故者である.カラオケマニアの青年社長の話はちょっと余計だけど,それ以外はそれぞれに楽しめるシーンが続く,この時代の佳作の一つと言いたい.3
独断と偏愛の★★★★(★5個が満点).
蛇足:ところで居酒屋の名前「兆治」は,言うまでもなく「まさかり投法」村田投手の「兆治」である.
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2014/09/04

独断的映画感想文:ブラインド・フィアー

日記:2014年9月某日
映画「ブラインド・フィアー」を見る.1
2012年.監督:ジョセフ・ルーベン.
出演:ミシェル・モナハン(サラ・フロスト),マイケル・キートン(ホランダー),バリー・スローン(チャド),アンドリュー・ウォーカー(ライアン).
アフガン戦争に従軍したカメラマンのサラは,自爆テロに遭い失明,3年後の現在は恋人ライアンと共に高級ペントハウスで暮らす.
大晦日に買い物に出たサラは,帰宅後ライアンが殺されているのに気付く.更に犯人は室内におり,組織からライアンが奪ったものを返せとサラに詰め寄る.6
犯人が仲間との連絡に気を取られている間にサラはカメラで犯人を殴り,必死の脱出を図るが….
犯人は二人組だった.ペントハウスの部屋とテラス,この閉じられた空間と犯人二人の不安定な人間関係,自身の持てる力の限りを使ったサラの悪戦苦闘が描かれる.
この映画の特徴は意外性の連続であろう.視力もキャリアも一気に失ったサラが以外にもリッチなペントハウス暮らし,ところが恋人ライアンは冒頭で殺されてしまう,サラがまさかの反撃で犯人から脱出,と思ったらもう一人の犯人に捕まる….2
短めの尺の中での意外性の連続で,最後まで持って行かれてしまう.後から良く考えると突っ込みどころは出てくるが,見ている間は引き込まれます.
それにしてもサラはタフな女性,武装した悪党2人を向こうに回して隙あらば反撃しようという根性は立派.
「暗くなるまで待って」の様に,盲目を武器にするという状況もないので,まさにガチの対決です.アメリカ女性恐るべし.4
★★★☆(★5個が満点)
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