独断的映画感想文:博徒一代 血祭り不動
日記:2014年9月某日
映画「博徒一代 血祭り不動」を見る.
1969年.監督:安田公義.
出演:市川雷蔵(桜田丈吉),近衛十四郎(小洗音次郎),亀井光代(お園),長谷川待子(お初),金田龍之介(北松市蔵),金内吉男(輪島勇一),石山健二郎(泉谷剛造),富田仲次郎(杉谷理三郎),田中三津子(お常),遠藤辰雄(大戸国五郎).
この映画は雷蔵の遺作である.
昭和初期の新津.丈吉は一匹狼の博徒,弟分の勇一がいる.義理により,とある親分に届ける金のため殺人を犯した丈吉,その一旦失われた金を見ず知らずの音二郎に融通して貰い義理は果たし,自首して服役する.
6年経って釈放され新津に来てみると,勇一は地元の大戸一家の代貸としていい顔になっていた.大戸一家が抹殺を企む北松一家の代貸が,折りしも出所してきた音二郎と知り,丈吉は勇一も気がかりで新津にとどまる.
ところが,勇一がしでかした不始末の責任を問い,大戸一家は兄貴分の丈吉に音二郎を殺す様命じたのだった.何よりも義理を大切にする丈吉は,止むなく音二郎のもとに赴く….
冷厳なやくざの掟と,そこに生きる人間の悲哀を描く.1969年という時代と雷蔵の病魔という背景があり,沈痛な色合いの映画となった.
近衛十四郎と雷蔵のからみが何といっても魅力的.また敵対する大戸一家も,70年代の様な殺伐とした感じは無く,任侠の筋目は通しているところが納得できる
.弱さと傲慢さを併せ持つ勇一の人間像が,余りにも義理に縛られた丈吉と対比して印象深い.雷蔵の魅力と相俟って,見て損はない映画.
★★★☆(★5個が満点)
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