独断的映画感想文:居酒屋兆治
日記:2014年9月某日
映画「居酒屋兆治」を見る.
1983年.監督:降旗康男.
出演:高倉健(藤野英治(兆治)),加藤登紀子(藤野茂子),大原麗子(神谷さよ),田中邦衛(岩下義治),伊丹十三(河原),左とん平(神谷久太郎),美里英二(井上),佐藤慶(吉野耕造),山谷初男(有田),河原さぶ(小寺),平田満(越智),池部良(堀江),小松政夫(秋本),石山雄大(沢井),細野晴臣(佐野),東野英治郎(松川),大滝秀治(相場先生),石野真子(相場多佳),小林稔侍(小関警部),三谷昇(中村巡査部長),佐野秀太郎(桐山少年),ちあきなおみ(峰子),好井ひとみ(ミーコ),水木薫(エミリー),中島唱子(河原洋子),立石涼子(秋本鈴子),片山満由美(岩下靖子),あき竹城(モツ屋),武田鉄矢(アベックの男),伊佐山ひろ子(アベックの女).
函館のドック街近くでモツ煮込みの酒場兆治を営む藤野英治.高校時代はエースで甲子園を目指したが肩を痛め挫折,就職したドックでは首切り役の総務課長に抜擢され退職.その英治の初恋の女さよが夫と子供を置いて出奔したという….
原作・山口瞳,題字他デザイン・山藤正二,テーマ作詞作曲・加藤登紀子,主演・高倉健,大原麗子と来れば何を文句言うことがありましょう.もうこれだけでこの映画を愛さないではいられない.
健さん最盛期の降旗・高倉組を中心とした豪華出演陣を堪能するのみである.
映画の構成としては,英治とさよの悲恋物語として語り足りないところや,現代から見たときのさよの行動の不条理さが目立つかも知れない.さよの話と,函館の市井の人々の生活や居酒屋兆治の客の人生模様の描写とのバランスも,宜しくないかも知れない.
しかし俳優とその演技が宜しい.
健さんがこれほどさまざまな表情を見せる映画はなかなかあるまい.大原麗子はただひたすら美しく切なく心を奪われる.伊丹十三の嫌らしさ,演技達者なちあきなおみと,からっペタな加藤登紀子との対比も面白い.
今は亡き大滝秀治の味のある演技はどうだ.そう言えば大滝,大原,伊丹の他東野英治郎,池部良も物故者である.カラオケマニアの青年社長の話はちょっと余計だけど,それ以外はそれぞれに楽しめるシーンが続く,この時代の佳作の一つと言いたい.
独断と偏愛の★★★★(★5個が満点).
蛇足:ところで居酒屋の名前「兆治」は,言うまでもなく「まさかり投法」村田投手の「兆治」である.
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