番外:独断的歌舞伎感想文 秀山祭九月大歌舞伎 昼の部
日記:2014年9月某日
歌舞伎座へ.「秀山祭九月大歌舞伎 昼の部」を見る.
「一、鬼一法眼三略巻(きいちほうげんさんりゃくのまき) 菊畑」.出演:吉岡鬼一法眼(歌六),虎蔵実は源牛若丸(染五郎),皆鶴姫(米吉),腰元白菊(歌女之丞),笠原湛海(歌昇),智恵内実は吉岡鬼三太(松緑).「二、隅田川続俤(すみだがわごにちのおもかげ) 法界坊」.出演:聖天町法界坊(吉右衛門),おくみ(芝雀),手代要助(錦之助),野分姫(児太郎),五百平(隼人),丁稚長太(玉太郎),大阪屋源右衛門(橘三郎),代官牛島大蔵(由次郎),おらく(秀太郎),道具屋甚三(仁左衛門).「浄瑠璃 双面水照月(ふたおもてみずにてるつき)」.出演:法界坊の霊/野分姫の霊(吉右衛門),渡し守おしづ(又五郎),手代要助実は松若丸(錦之助),おくみ(芝雀).
菊畑は松禄が元気なのと米吉がきれいなのでまずは満足,歌昇の湛海は意外なキャスティングだった.
未だに勘三郎版が忘れられない法界坊は,吉右衛門版が落ち着いた滑稽味で思いがけず印象に残る舞台となった.
吉右衛門が大奮闘でフットワーク良く法界坊を演じる.こうなると吉之助の番頭がもう少しあくどい色合いでも良かったのではないかと思われる(何といっても勘三郎版の亀蔵の番頭は,破壊的な笑いを取っていたから).
「双面水照月(ふたおもてみずにてるつき)」の法界坊・野分姫の合体霊は,勘三郎版の顔を塗り分けた合体霊より,表情と所作で演じ分ける吉右衛門版の方が一日の長があると感じる.こう見てくると法界坊もいろいろやりようがあって実に面白い.さすがに秀山祭と感銘を受けた舞台であった.
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