独断的映画感想文:流れる
日記:2014年12月某日
映画「流れる」を見る.
1956年.監督:成瀬巳喜男.
出演:田中絹代(梨花(女中)),山田五十鈴(つた奴(芸妓)),高峰秀子(勝代(つた奴の娘)),中北千枝子(米子(つた奴の妹)),松山なつ子(不二子(米子の娘)),杉村春子(染香(芸妓)),岡田茉莉子(なゝ子(芸妓)),泉千代(なみ江(芸妓)),賀原夏子(おとよ(つた奴の姉)),栗島すみ子(お浜(水野の女将)),宮口精二(鋸山(なみ江の伯父)),仲谷昇(佐伯(お浜の甥)),加東大介(高木(米子の前夫)),竜岡晋(村松).
夫と子供を相次いで亡くした梨花は,紹介を得て置屋の「つたの家」に住み込みの女中として入る.
つたの屋は傾きかかった置屋で,主人のつた奴の他染香,な々子,なみ江が芸妓でいるが,つた奴の出戻りの妹米子と娘勝代は無為徒食の居候である.
つた奴は腹違いの姉おとよに借金を抱える.朋輩と口論の末辞めたなみ江の叔父が乗り込んできて,虐待だと因縁をつけ脅迫する.
そのそれぞれを解決する才覚もなく,ただ当面の相手を丸め込み後は人を頼ろうとするつた奴.映画は知恵もあり世間を承知している梨花の視点を中心に,つたの屋を巡る人物の浮き沈みを描いていく.
実力派女優の共演がこの映画の売りだが,2時間足らずの尺の中でそれぞれの女優が配役の個性をきっちりと描き出している点が実に見応えあり.
特に印象に残るのは,杉村春子の染香と栗島すみ子のお浜であろう.
また,終盤で梨花の見守る中,連れ弾きを披露する山田五十鈴と杉村春子の三味線の技量は,誠に素晴らしい.
若き岡田茉莉子と高峰秀子の美しさも印象に残る.
この時代を代表すると同時に,よき時代の日本映画として記憶すべき映画.
★★★★(★5個が満点)
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