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2015年1月に作成された記事

2015/01/23

独断的映画感想文:二十四の瞳 デジタルリマスター版

日記:2015年1月某日
映画「二十四の瞳 デジタルリマスター版」を見る.Photo
1954年.監督:木下惠介.
出演:高峰秀子(大石久子),天本英世(大石久子の夫),夏川静江(久子の母),笠智衆(分教場の男先生),浦辺粂子(男先生の奥さん),明石潮(校長先生),高橋豊子(小林先生),小林十九二(松江の父),草香田鶴子(松江の母),清川虹子(よろずやのおかみ),高原駿雄(加部小ツルの父),浪花千栄子(飯屋のかみさん),田村高廣(岡田磯吉),三浦礼(竹下竹一),渡辺四郎(竹下竹一(本校時代)),戸井田康国(徳田吉次),大槻義一(森岡正),清水龍雄(相沢仁太),月丘夢路(香川マスノ),篠原都代子(西口ミサ子),井川邦子(川本松江),小林トシ子(山石早苗),永井美子(片桐コトエ).
小豆島の岬の分校に,師範学校出たての大石先生がおなご先生として赴任してくる.対岸から自転車に洋装で毎日出勤してくる彼女に地元の親たちは途惑うが,毎日歌を歌い楽しく学ぶ子供達は,大石先生が大好きになる.
ところがある日,大石先生は生徒の掘った落とし穴に落ちて大怪我をする….という壺井栄原作の物語.
昭和3年から21年にいたる,小豆島の12人の生徒達と大石先生の物語を描く.
冒頭の子供達が歌いながら道を歩いてくるシーンで,早くも涙腺がうるむ.バックの山の斜面に点々と墓標が建っているのが見えるからだ.
15年戦争直前から始まるこの物語は,戦争と貧困に翻弄される子供達の物語でもある.
赤ちゃんの誕生を待ち焦がれていた松江,しかし母は産褥で急死し,生まれた妹は乳がなく空しく死に,本人は高松に奉公に出される.
また18で大阪に奉公に出た片桐コトエは肺病にかかって暇を出され,実家の納屋で無念の病死をする.
5人の男子のうち3人は戦死,1名は戦傷で失明する.痛ましい物語である.
一方,この映画は全編子供達の歌で彩られた映画でもある.
七つの子,春の小川,汽車ぽっぽ,村の鍛冶屋,浜辺の歌等々,この映画の音楽は殆どがこれらの唱歌で,子供達の楽しい気持ち哀しい気持ちを,雄弁に物語る.
俳優もそれぞれに熱演,2時間半を超える長編だがあっという間に見た.
戦後映画の頂点を形づくる傑作の一つ.
★★★★☆(★5個で満点)
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2015/01/22

独断的映画感想文:私の男

日記:2015年1月某日
映画「私の男」を見る.0
2013年.監督:熊切和嘉.音楽:ジム・オルーク.
出演:浅野忠信(腐野淳悟),二階堂ふみ(腐野花),モロ師岡(田岡),河井青葉(大塩小町),山田望叶(花(10歳)),三浦誠己(美郎の先輩),三浦貴大(大輔),広岡由里子(タクシー会社の事務員),安藤玉恵(小町の先輩),吉村実子(老婆),高良健吾(尾崎美郎),藤竜也(大塩).4
映画の冒頭,ぶつかりきしむ音を立てる流氷の海から,氷の上へ花が這い上がってくる.満足そうな笑み.
場面は変わって,津波に襲われた奥尻の村で一人生き延び夜の海岸を歩く10才の花.
花はこの津波で家族を失い,紋別の有力者・大塩の承認のもと,遠縁の青年・淳悟の養女となってここに暮らすこととなる.
淳悟は花が生まれる前に,父が従兄弟同士である花の生家で一夏暮らしたことがあった.
淳悟の家族ももういない.淳悟には家族を持ちたいという強い希求があった.5
淳悟の恋人小町はやがて淳悟と離れ東京に出る.大塩は淳悟と花の只ならない関係に気付くが….
最初から強い緊張感が維持される,着地点の見えない凄惨なドラマが印象的だ.
淳悟との関係に一歩もひるむことなく,どんどん美しくなっていく花.花との強い絆を求めながら転落していく淳悟.それぞれを演じる二階堂ふみと浅野忠信の,強烈な演技に引き込まれる.2
モロ師岡,河井青葉,藤竜也等の演技も素晴らしい.
ジム・オルークの音楽も素敵な出来映え.一見の価値あり.
★★★★(★5個が満点)
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2015/01/18

独断的映画感想文:ダブルボーダー

日記:2015年1月某日
映画「ダブルボーダー」を見る.Photo_2
1987年.監督:ウォルター・ヒル.
出演:ニック・ノルティ,パワーズ・ブース,リップ・トーン,マイケル・アイアンサイド,マリア・コンチータ・アロンゾ,クランシー・ブラウン,ウィリアム・フォーサイス,マット・マルハーン.
メキシコとの国境の町でレンジャーを務めるジャックは,かっての親友キャッシュが作り上げた麻薬王国と対峙している.キャッシュは,ジャックの愛人サリタの最初の男でもあった.
そこにハケット率いる軍の特殊部隊がキャッシュの殲滅を狙って絡んでくるが,ハケットの目的は実は別のところにあった….
女を巡る男対決かと思ったら妙に特殊部隊が絡んできて,またこの特殊部隊の動きは良く分からず,プロットは滅茶苦茶といった方が良い.
三者三つ巴の戦いというには緻密さがいまいち,男女の物語とするには男たちの女に対する考えが全く表現されていない.という訳で消化不良な映画だが,アクションに引っ張られて最期まで見ました.
ドンパチは確かに面白い.軍の特殊部隊といううさんくさい連中の結末も,まあ納得のいくものであった.
濃い役者が揃っているのも見応えがある.若いニック・ノルティ,マイケル・アイアンサイドが良かった.
★★★☆(★5個が満点)
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独断的映画感想文:昔々、アナトリアで

日記:2015年1月某日
映画「昔々、アナトリアで」を見る.Photo
2011年.監督:ヌリ・ビルゲ・ジェイラン.
出演:ムハンメト・ウズネル,イルマズアルドアン,タネル・ビルセル,アーメット・ムンターズ・タイラン,フィラット・タニシュ,アルジャン・ケサル.
製作国トルコ/ボスニア・ヘルツェゴヴィナという異色作.ゆったりとした時間の流れ,長回しを多用し台詞の少ない画面,いかにも映画らしい映画である.
映画の冒頭,夕暮れの緩やかに重なり合う丘を巡る道路を,遠くからやって来る警察車輌3台を撮る長いシーンは,大いに魅力的.
但し,150分という長尺で途中はいささか持て余した.以下ネタバレあります.
内容は男が友人を殺害してその死体を某所に埋め,逮捕されてその死体を探して警察官とあちこちを探し歩くというのが前半.酔った挙げ句の犯行なので場所が判らず,担当警部と検察官は夜っぴて捜索に付き合う羽目になる.死体が見つかり検視が終わるまでが後半.これ以外のドラマが起きる訳ではない.
但し話の途中で犯人が凶行に及んだ事情の一端が明らかになり,検察官の妻の死の背景が語られ,警部の直情径行さと家庭の事情が明らかになる.
この様に,登場人物とその会話はそれぞれに魅力的だが,現代日本人である僕としては,この映画の時間の流れに同調するのはいささか難しかった.映画的魅力との間で葛藤する映画.
★★★(★5個が満点)
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