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2015年2月に作成された記事

2015/02/17

番外:独断的歌舞伎感想文 二月大歌舞伎 夜の部 陣門 組打/神田祭/筆屋幸兵衛

日記:2015年2月某日
歌舞伎座の「二月大歌舞伎 夜の部」を見る.Kabukiza_201502f2_2
「一、一谷嫩軍記(いちのたにふたばぐんき) 陣門 組打」.出演:熊谷次郎直実(吉右衛門),熊谷小次郎直家/無官太夫敦盛(菊之助),玉織姫(芝雀).「二、神田祭(かんだまつり)」.出演:鳶頭(菊五郎),芸者(時蔵),同(芝雀),同(高麗蔵),同(梅枝),同(児太郎).「三、水天宮利生深川(すいてんぐうめぐみのふかがわ) 筆屋幸兵衛 浄瑠璃『風狂川辺の芽柳』」.出演:船津幸兵衛(幸四郎),萩原妻おむら(魁春),車夫三五郎(錦之助),娘お雪(児太郎),娘お霜(金太郎),代言人茂栗安蔵(権十郎),巡査民尾保守(友右衛門),金貸金兵衛(彦三郎).
陣門・組打は吉右衛門の芝居に酔う.菊之助の敦盛も凜として良かった.平山武者所末重は吉之助が演じ,口跡良く悪役度も適切.これに絡む馬がまた名演技だった.
神田祭は軽めの踊り,要するに鳶頭が持てて持てて困るという結構なお話の様で.柴のぶ,京妙等踊りの達人が回りを固め,時蔵・芝雀が美しい.個人的にはやはり梅枝が好き.
筆屋幸兵衛は幸四郎自家薬籠中のもの,今回も感銘を受けた.
しかし何と言っても悲惨な前置きが長すぎる.これがあっての大団円ということは分かっていても,やや持て余してしまう.Img_17082_3
久しぶりに見る魁春のご新造が好ましい.金太郎のお霜は可愛く健気で涙を誘う.児太郎のお雪はすっぴんで演じるとちょっと可哀想である.錦之助が相変わらずユーティリティープレーヤーの面目躍如,良い仕事をしてます.
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2015/02/13

独断的映画感想文:パーソナル・ソング

日記:2015年2月某日
映画「パーソナル・ソング」を見る.2
2014年.監督:マイケル・ロサト=ベネット.ドキュメンタリーである.
かってIT業界で働いていたソーシャルワーカーのダン・コーエン,彼のアイディアで認知症患者に若い日好きだった音楽を聴いて貰うと,劇的な変化が起きた.
94才のヘンリーは認知症で殆ど会話も成り立たなかったが,好きな音楽を聴いて自分も歌い出し,昔の記憶が甦ってそれを話し出した.他にも若き日の音楽を聴いて踊り出すもの,感情が甦り微笑みを浮かべるもの,逆に過剰な感情がコントロールされ穏やかになる人等々,音楽による劇的な反応が紹介される….
人間の脳にはさまざまな回路があるらしい.3
認知症によって閉ざされてしまった回路の他にも,音楽による刺激で別な回路が動き出したとしか思えない,これらの反応だった.
ダン・コーエンはこれらの症例を撮影していく一方,音楽療法の効果を訴え,音楽を聴かせるための補助金の支給を求めて苦闘する.アメリカで膨大な数に上る認知症患者と,彼等を介護する更に大勢の介護人達.その多くの人に希望を与える映画である.
それにしても,患者に元気を与える音楽は50年代のものが大勢だったのに,映画の中盤ではビートルズも流れてきて,ビートルズ世代がもはや認知症世代なのかと,いささかがっくりした次第.1
認知症になる前から音楽を楽しみ,人生を楽しむのが良さそうである.
★★★☆(★5個が満点)
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番外:独断的歌舞伎感想文 壽初春大歌舞伎 夜の部

日記:2015年1月某日
歌舞伎「壽初春大歌舞伎 夜の部」を見る.遅ればせながらの感想.Img_20012
「一、番町皿屋敷(ばんちょうさらやしき)」.出演:青山播磨(吉右衛門),腰元お菊(芝雀),並木長吉(桂三),奴権次(吉之助),柴田十太夫(橘三郎),放駒四郎兵衛(染五郎),渋川後家真弓(東蔵).
「二、女暫(おんなしばらく)」.出演:巴御前(玉三郎),蒲冠者範頼(歌六),清水冠者義高(錦之助),女鯰若菜(七之助),茶後見(團子),手塚太郎(弘太郎),紅梅姫(梅丸),家老根井行親(橘三郎),局唐糸(笑也),成田五郎(男女蔵),轟坊震斎(又五郎),舞台番辰次(吉右衛門).
「三、猿翁十種の内 黒塚(くろづか)」.出演:老女岩手実は安達原の鬼女(猿之助),山伏大和坊(門之助),強力太郎吾(寿猿),山伏讃岐坊(男女蔵),阿闍梨祐慶(勘九郎).
「番長皿屋敷」は新歌舞伎,1時間ほどの芝居は最後の15分ほどで一気に緊迫する.吉右衛門と芝雀の火の出るような台詞の応酬が,流石に見応えあり.青山播磨の怒りと悲哀,お菊が播磨の手にかかる決心をするに至る過程が,心に残る.
「女暫」は玉三郎を堪能する芝居.蒲の冠者範頼の暴政に殴り込みをかける巴御前という設定の女性版「暫」,型通りの進行だが玉三郎の巴御前は何とも美しい.見どころは幕外の引っ込みで,吉右衛門が舞台番という設定で引っ込みの仕方を伝授,その通りに玉三郎が演じて引っ込むということでお客さんは大喜び.これはやはり1階席で見たいですね.
「黒塚」は猿之助充実の舞台.安達ヶ原の老女・岩手が,一夜の宿を貸した阿闍梨に仏の道を説かれ,心の闇が晴れたと阿闍梨のため薪を取りに山へ入る.すすきの原で童の様に月に踊る老女.しかし留守中奥の部屋を見た強力は死骸の山を見つけ,正体を悟られたと知った岩手は鬼女となった.その童の心と,鬼女の怒り・哀しみの対比に胸を打たれる.舞台装置の月下の薄の原も美しく,大薩摩の連れ弾きを始め音楽にも迫力あり.何といっても猿之助の身体能力のすばらしさは感銘的,まさに猿之助ならではの踊りであった.月の中で影を踏み踊る演出は,1階からはどう見えるのかしら,これは3階席の方が満足できるのでは?
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