独断的映画感想文:日記:ブランカニエベス
日記:2015年6月某日
映画「ブランカニエベス」を見る.
2012年.監督:パブロ・ベルヘル.
出演:マリベル・ベルドゥ(エンカルナ),ダニエル・ヒメネス・カチョ(アントニオ・ビヤルタ),アンヘラ・モリーナ(ドン・コンチャ),マカレナ・ガルシア(カルメン),ソフィア・オリア(カルメン少女時代).
ブランカニエベスは白雪姫のこと.
名闘牛士にして大富豪のアントニオは,思わぬアクシデントから闘牛で瀕死の重傷を負う.観戦中の身重の妻カルメンは産気づき,女児を産み落とすがそのまま息絶える.
四肢マヒとなったアントニオは看病に尽くした看護師エンカルナと結婚,女児は母の名を取ってカルメンと名付けられ,母同様フラメンコの名手である祖母に育てられる.
祖母の死と共にエンカルナに引き取られたカルメン,しかし既にアントニオを虐待していたエンカルナは,彼女を下女としてこき使った.
或る日父と巡り会ったカルメンは,エンカルナの留守中に父に闘牛の手ほどきを受け幸せな時を過ごす.しかしそれもエンカルナに発覚し,カルメンは罰として唯一の親友・雄鶏のぺぺの肉を夕食に食べさせられる.
やがて父が亡くなり(エンカルナの謀殺),カルメンも森でエンカルナの情人に襲われる.瀕死のところを彼女はこびとの闘牛士一座に救われ,記憶を失ったまま「白雪姫」と名付けられ共に巡業の旅に出る.
やがて闘牛士としてデビューした彼女はたちまち人気者となり,興行師と契約して父と同じセビリヤの闘牛場に出ることになるが….
モノクロ・サイレントで描かれるダークファンタジーの名にふさわしい物語.
最小限に表示される台詞にはその分想像力をかき立てられ,白黒の光と影を描く映像は物語りに素晴らしい彩りを与える.映画らしい見応えに富む作品.
更に大人の童話らしい,残酷なドラマの展開と悲劇的終末も心に残る.
ラストシーンは様々な受け取り方があるだろうが,メジャー闘牛士としてのデビューという輝かしい栄光の後に,この様な悲哀が待っていようとは.本当の魔法使いはこの人だったのか,と思い至った次第である.
一見の価値ある映画.
★★★★(★5個が満点)
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