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2015年8月に作成された記事

2015/08/30

独断的映画感想文:日本のいちばん長い日

日記:2015年8月某日
映画「日本のいちばん長い日」を見る.1
2015年.原作:半藤一利.監督・脚本:原田眞人.
出演:阿南惟幾(陸軍大臣)-役所広司,昭和天皇-本木雅弘,鈴木貫太郎(首相)-山崎努,迫水久常(内閣書記官長)-堤真一,畑中健二(陸軍少佐) - 松坂桃李,木戸幸一(内大臣)-矢島健一,平沼騏一郎(枢密院議長)-金内喜久夫,藤田尚徳(侍従長)-麿赤兒,保科武子(女官長)-宮本裕子,米内光政(海軍大臣)-中村育二,東郷茂徳(外務大臣)-近童弐吉,下村宏(情報局総裁)-久保酎吉,梅津美治郎(陸軍参謀総長)-井之上隆志,森赳(近衛師団長)-高橋耕次郎,東条英機(陸軍大将、元首相)-中嶋しゅう,杉山元(元帥、前陸軍大臣)-川中健次郎,吉積正雄(軍務局長)-桂憲一,荒尾興功(陸軍大佐)-田中美央,井田正孝(陸軍中佐)-大場泰正,竹下正彦(陸軍中佐、阿南陸軍大臣の義弟)-関口晴雄,豊田副武(海軍軍令部総長)-井上肇,大西瀧治郎(海軍軍令部次長)-嵐芳三郎,岡田啓介(海軍大将、元首相)-吉澤健,阿南綾子(阿南陸軍大臣の妻)-神野三鈴,阿南喜美子(阿南陸軍大臣の次女)-蓮佛美沙子,鈴木たか(鈴木首相夫人)-西山知佐,鈴木一(首相秘書官、鈴木首相の長男)-小松和重,保木令子(NHK放送局員)-戸田恵梨香(特別出演),絹子(陸軍大臣官邸の女中)-キムラ緑子.2
48年ぶりにリメイクされた,太平洋戦争の終戦を巡る映画.終戦の年の4月,鈴木貫太郎内閣発足時から8月15日にいたる経緯を描く.
15年続いた戦争は既に常態化し,それを止めるためには,既に国土は廃墟と化し敗北は明白となってなお,ここに描かれる異常な努力が必要だった事を示す物語.
この映画の基本的観点は,第1に昭和20年4月,ドイツ降伏直前に組織された鈴木貫太郎内閣が,昭和天皇の意志としては終戦内閣であったということ,第2に鈴木貫太郎・阿南惟幾は前者が侍従長だったときに後者は侍従武官であり,天皇との3者の間に人間的信頼関係があったということ,第3に降伏という事態にこの国を持っていく過程で阿南が陸軍を統制するために果たした役割を評価するということとなろう.4
映画は緊張感高く,テンポ良く,しかも歴史に対する重厚な立ち位置を維持した作品として,高く評価できる.
特に阿南については,陸軍を統括するものとして本土決戦論を主張しながら,天皇の聖断に際してはそれを全面的に受け入れ,終戦のための手配を行った上で自決している.この8月の混乱の中での阿南の行動を中心に,映画は戦争を止めるということのダイナミズムを,必要十分に描いているだろう.3
俳優は多くのキャストを演劇界から登用しており,多数の登場人物が破綻無く演出されている.特に東条英機役の中嶋しゅうは,鬼気迫る演技で戦争を始めた首相の狂気を描き切った.
役所広司,山崎努,本木雅弘は文句なしの演技.あまりに多い登場人物に対し,人物紹介のテロップを付けてもらえたら良かったのだが.
戦争ということを記念する上で欠かせない作品.★★★★☆(★5個が満点)5
P.S. 15年間続けた戦争は,既に国家の建前上も経済上も止められないものになっていた.では原発はどうか.半世紀に亘って原発の利権をむさぼって来た原子力ムラからは,一人といえども阿南が出てくることなど期待できないのか.
我こそはという者は名乗り出よ.
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2015/08/27

独断的映画感想文:エクスペンダブルズ3 ワールドミッション

日記:2015年8月某日
映画「エクスペンダブルズ3 ワールドミッション」を見る.4_2
2014年.監督:パトリック・ヒューズ.
出演:シルベスター・スタローン(Barney Ross),ハリソン・フォード(Max Drummer),メル・ギブソン(Conrad Stonebanks),ジェイソン・ステイサム(Lee Christmas),ジェット・リー(Yin Yang),ドルフ・ラングレン(Gunner Jensen),ウェズリー・スナイプス(Doc),アントニオ・バンデラス(Galgo),アーノルド・シュワルツェネッガー(Trench),ランディ・クートゥア(Toll Road),テリー・クルーズ(Caesar),ケルシー・グラマー(Bonaparte).
このシリーズも3作目.2_2
Barney率いる傭兵軍団エクスペンダブルズ,冒頭,独裁者風の国に捕まっていたDocを奪還するヘリコプター作戦でまず挨拶代わり.
続いてMaxの指示で大物武器商人の捕獲に向かうが,その正体はかってエクスペンダブルズを共に創設したStonebanksだった.Stonebanksの為に僚友が重傷を負い辛うじて脱出したエクスペンダブルズ,Barneyは軍団の老化を悟って新しいスタッフを集め,再度Stonebanksに闘いを挑む.
最新のIT技術を駆使した作戦で見事Stonebanksを逮捕したかと思えたが….3_2
まあとにかく豪華なメンバー,歌舞伎で言えば團十郎,猿之助,菊五郎,愛之助等々が顔を合わせた感じ.
こうなると欠点すらが魅力に変わる.殆ど台詞がしゃべれない(?)スタローンは寡黙な英雄に見えるし,彼との対比でシュワちゃんのどうでも良い台詞が聞き応えがある.
一方,ぺらぺら喋りまくるバンデラスは,デンジャラスのノッチそっくりで愛嬌がある.これは別の魅せ方か.
とにかくこの映画の魅力はきら星の俳優達を,それぞれの折り合いやスケジュールもあるだろうに,まあ旨く使いこなしているところ.それぞれが魅力を発揮して爆発的なアクションシーンをとりまとめているのには,毎回ながら感心する.1_2
見てて楽しく,後の楽屋落ち話で2度美味しい(ネット上のレビューにはこの手の話題満載である),好調シリーズ第3作.見て損はなし.
ところで作戦成功しての打ち上げでカラオケに出てくるのが,ニール・ヤングの名曲「Old Man」.これを若手スタッフが歌ってはしゃぐという幕切れだが,この歌がこう使われるとは,年はとりたくないものであるな.
★★★☆(★5個が満点)
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独断的映画感想文:おじいちゃんの里帰り

日記:2015年8月某日
映画「おじいちゃんの里帰り」を見る.1
2011年.監督:ヤセミン・サムデレリ.
出演:ヴェダット・エリンチン(Huseyin),ラファエル・コスーリス(Cenk Yilmaz),ファーリ・オーゲン・ヤルディム(Huseyin),アイリン・テザイル(Canan).
1960年代半ばにトルコからドイツへ出稼ぎに来た労働者フセイン.やがて家族も呼び寄せドイツに根付いたフセイン一家だった.
しかし45年後,フセインはトルコの故郷に家を買ったと言いだし,休暇に皆でその家を見に行こうと言う.家族それぞれが反対するもフセインは聞かず,一族ははるばるトルコに里帰りすることになる.3
その道中,退屈した孫のチェンクがせがんで同じく孫のカナンが話して聞かせるお祖父ちゃんと一家の半生記を交え,トルコに向かう旅行風景を描く映画.
この映画の魅力は,何と言ってもフセイン一家の暖かさだ.頑固で言い出したら聞かないフセインも,奥さんのファトマには頭が上がらない.息子や娘はそれぞれに悩みを抱えているが,ぶつぶつ言いながらもフセインのために一緒に旅に出る.
孫のカナンは妊娠していて彼氏はイギリス人,母のレイラにも言い出せず一人悩んでいるが,母も祖父母もカナンを受け入れる.2
トルコ人でイスラム教徒のフセイン一家であるにも拘わらず,心から共感できその労り合いに感動するのは,彼等の暖かい家族愛ならではのことだろう.
映画らしい趣向を随所に織り交ぜた物語の展開も,大いに楽しめる.心温まり,しんみりと泣かされる家族映画の傑作.4
映画の最後でドイツ人が言っていた言葉が印象に残る.「労働力を迎えたつもりが,来たのは人間だった」.
★★★★☆(★5個が満点)
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2015/08/24

独断的映画感想文:フューリー

日記:2015年8月某日
映画「フューリー」を見る.0
2014年.監督:デビッド・エアー.
出演:ブラッド・ピット(Don Collier 'Wardaddy'),シャイア・ラブーフ(Boyd Swan 'Bible'),ローガン・ラーマン(Norman Ellison),マイケル・ペーニャ(Trini Garcia 'Gordo'),ジョン・バーンサル(Grady Travis 'Coon-Ass'),スコット・イーストウッド(Sergeant Miles),ゼイヴィア・サミュエル(Lt. Parker),ジェイソン・アイザックス(Captain Waggoner),ケヴィン・ヴァンス(Sergeant Peterson),アナマリア・マリンカ(Irma),アリツィア・フォン・リットベルク(Emma).2
“フューリー”と名付けたシャーマンM4中戦車で百戦錬磨の戦車長ドン・コリアー軍曹(通称ウォー・ダディ)は,ある作戦で只1輌生き残るが,部下の副操縦士を失う.
補充に配属された副操縦士ノーマンは,招集8週目の新兵で,戦車に乗るのは初めて.ドンはノーマンを伴い,部下の「バイブル」,「ゴルド」,「クーン・アス」と共に次の作戦に向かう….
壮烈な戦車戦を描く戦争映画.しかし描いているのは戦車戦だけでなく戦争の総体だ.
戦車隊が進む沿道に,少年や女性が電柱から吊され死んでいる.SS(ナチスの突撃隊)が,志願を拒んだドイツ少年やその親を殺したのだ.1
街を占拠すると,ドンは降伏したドイツ軍将兵の中からSSを引きずり出し,容赦なく射殺する.ノーマンにも射殺を命じるがノーマンはあくまでも拒むのだ(上官の命令は天皇の命令だとされた日本軍で,この様なことがあり得ただろうか?!).
しかしそのノーマンも,敵の少年兵を見逃したことで同僚戦車を撃破され,敵兵と見れば躊躇なく引き金を引く様になる.前線から戻ってくるトラックは,友軍の死体を満載し,その遺体の損傷は目を背ける程に酷たらしい.
終盤,ドンの戦車は決死の任務を自ら引き受け,ドイツのSS大隊に闘いを挑む.長い戦争を生き抜いてきて,戦争終結を目前にしてこの様な闘いに臨む彼等の胸中は,どの様なものだろうか?9
戦車隊の同僚個々の描写が印象的で,演ずるブラッド・ピットほか一同の演技が素晴らしい.
荒削りだが後に残る映画である.
★★★★(★5個が満点)
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2015/08/12

独断的映画感想文:蜩ノ記

日記:2015年8月某日
映画「蜩ノ記」を見る.0
2014年.監督:小泉堯史.
出演:役所広司(戸田秋谷),岡田准一(壇野庄三郎),堀北真希(戸田薫),原田美枝子(戸田織江),青木崇高(水上信吾),寺島しのぶ(松吟尼(お由の方)),三船史郎(大殿・兼通),井川比佐志(慶仙和尚),串田和美(中根兵右衛門).吉田晴登(戸田郁太郎).
祐筆の壇野庄三郎は城中で諍いに巻き込まれ刃傷に及ぶ.悪くすれば切腹というところを,家老・中根兵右衛門の計らいで幽閉中の戸田秋谷の監視役を命じられる.1
戸田秋谷は先の大殿の側室と通じた罪で切腹を命じられたが,その知識を惜しまれ10年の執行猶予となり,その間城主の家譜編纂に携わっている人物である.
庄三郎は戸田家に寄宿して秋谷と生活を共にし,その人柄に惹かれると同時に,側室との密通が別の事件を隠蔽するための事実無根の出来事であることを知る….
物語は,お家のために大殿の命に服し命も名誉も捨てる覚悟の戸田秋谷,利権を守り農民から収奪するためには手段を選ばない武家官僚,武士の一分を通そうとする庄三郎と秋谷の嫡子・郁太郎のそれぞれの動きを追い,終盤へ至る.4
この映画で何より好感が持てるのは,登場人物それぞれの折り目正しい所作,穏やかな振る舞い,しかし義のためには命をかける決然たる行動であろう.
役者はいずれも好調で,役所・岡田が鉄板の演技,堀北・原田・寺島がそれぞれの情感溢れる芝居で素晴らしい.青木崇高はちょっと太りすぎているが好感が持てる.串田和美はやや貧相な家老だが難しい役どころをバランス良く演じた.
家譜を編纂する戸田は,「歴史は鏡(鑑)である」と繰り返す.大殿の命に服し命を差し出す戸田が,正しい歴史を知るために敢えて事を構え家老と対決する.3
現代の官僚諸君は,この映画を恥ずかしさを感じずに見られるだろうか??
時代劇として手応え充分,見て損はなし.
★★★★(★5個が満点)
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2015/08/11

独断的映画感想文:イグジット・スルー・ザ・ギフト・ショップ

日記:2015年8月某日
映画「イグジット・スルー・ザ・ギフト・ショップ」を見る.0
2010年.監督:バンクシー.
出演:ティエリー・グエッタ,スペース・インベーダー,シェパード・フェアリー,バンクシー.
街頭に型紙を使った落書きをしたり,美術館に自作の絵をいつの間にか展示していたりという活動で有名な覆面芸術家・バンクシーによる一風変わったドキュメント.
ロスの撮影マニア・ティエリ-は,従兄弟がスペース・インベーダーのアートを夜な夜な街頭に貼り付ける活動をしているのを撮影して,それにはまってしまう.以来,ティエリーは街頭で落書きを行う無数の芸術家の活動を,撮り続けた.1
そして偶然のチャンスから,敬愛するバンクシーの活動を撮影する機会に恵まれ,以来二人は知己となる.
ティエリーは,バンクシーに勧められショーを開くことになるが,バンクシー自身のショーの成功に刺激されたティエリーは,自らをMister.Brain.Wash(洗脳男:MBW)と名乗り,暴走を開始する….
この顛末をティエリー自身の撮った映像,ティエリーへのインタビュー映像,バンクシーのスタッフが撮影したティエリーの映像等から構成したのがこのドキュメントである.2
最初はごく普通のドキュメントだったこの映画,ティエリーがMBWとして暴走していくあたりから,あたかもフィクションを見ている様な奇妙な感覚に包まれていく.
というのは,ティエリーは芸術家としては全くの素人なのに,ティエリーが口で説明してスタッフがコピーと切り貼りで制作していく様な大量の作品群が,MBWの作品として飛ぶ様に売れ,ショーの売り上げは100万ドルを超えるという結果となるからだ.4
信じられない様なMBWの成功を,対象者自身の映像を使って覆面芸術家バンクシーが皮肉一杯に描いていくという,フィクションとしても滅多にお目にかかれない複雑な構成が,観客を翻弄する.
この面白さは,なかなか伝え難い.見て頂く他はない,一見の価値あり.
★★★★(★5個が満点)
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2015/08/07

独断的映画感想文:海街diary

日記:2015年8月某日
映画「海街diary」を見る.Diary1
2015年.監督:是枝裕和.
出演:綾瀬はるか(香田幸),長澤まさみ(香田佳乃),夏帆(香田千佳),広瀬すず(浅野すず),加瀬亮(坂下美海),鈴木亮平(井上泰之),池田貴史(浜田三蔵),坂口健太郎(藤井朋章),前田旺志郎(尾崎風太),キムラ緑子(高野日出子),樹木希林(菊池史代),リリー・フランキー(福田仙一),風吹ジュン(二ノ宮さち子),堤真一(椎名和也),大竹しのぶ(佐々木都).Diary2
幸田家の3姉妹に父の訃報が届いた.
3姉妹は鎌倉の古い家に住む.父は15年前にその家を出奔,不倫相手との生活に入った.やがて母は再婚したが,3姉妹を置いて北海道の相手の家に嫁いだ.
3姉妹は祖父母と大叔母の元で成人したが,祖父母は既に亡い.
山形での父の葬儀に参列した彼女らを出迎えたのは,異母妹の中学生・すずだった.すずの母は既に病没,3姉妹はすずに鎌倉の家に来る様勧める.かくして4姉妹となった彼女らの生活がスタートする….
設定の複雑さに比べ,4姉妹の鎌倉での生活は平穏・平凡である.Diary3
すずはしっかり者で素直,地元のサッカーチームに加入し,友達もできた
幸は家長としての責任感を持つ腕利きの看護師だが,恋人は既婚の同僚医師である(つまり不倫).
佳乃は地元金融機関に勤めるが,酒癖悪く男運がない22才.
千佳は地元スポーツ用品店に勤めるほんわかした19才,同じくほんわかした店長とほのぼのした関係にある.
この4姉妹のキャスティングが,映画成功の最大のポイントであろう.この配役を得て,観客は美しい古都鎌倉を舞台とした4姉妹の息づき・成長を見守ることができる.Diary4
中盤,祖母の法事に久しぶりに帰ってきた母と4姉妹の関係が,物語に波乱をもたらすが,それはすずと3姉妹との関係を更に深め彼女たちの成長を促す結果となる.
亡き父のことを「優しいだけで駄目な人だった」と評していた幸が,「駄目だったけど優しいお父さんだったね」と語る様になる,そのことが彼女たちの成長を象徴しているだろう.
俳優は4姉妹それぞれが好演,樹木希林はこの人にしかできない存在感ある大叔母を演じた.前田旺志郎くんが健闘.鎌倉の四季を描く映像も美しい.Diary7
心休まる,素敵な映画.見て損はなし.
★★★★(★5個が満点)
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2015/08/02

独断的映画感想文:祇園の姉妹

日記:2015年8月1日
映画「祇園の姉妹」を見る.1_3
1936年.監督:溝口健二.
出演:山田五十鈴(おもちゃ),梅村蓉子(梅吉),志賀廼家弁慶(古沢新兵衛),久野和子(おえみ),大倉文男(聚楽堂),深見泰三(木村保),進藤英太郎(工藤三五郎),いわま櫻子(おまさ),林家染之助(定吉),葵令子(梅龍),橘光造(立花),三枡源女(おはん).
映画の冒頭,倒産した商家の座敷で家財・骨董を競り売りしている男達.奥の座敷では主人が番頭に別れを告げている.
実家に帰ることになっている奥さんが,主人古沢に肩身が狭いの面目がないのと文句を言い始めると,逆ギレした古沢はそのまま家を飛び出してしまう.
古沢が向かった先はパトロンであった祇園の芸妓・梅吉の家で,上がり込んだ主人はそのまま居着いてしまう.
梅吉は恩義になった方だからとそのまま古沢の世話を続けるが,妹のおもちゃは姉のあまりのお人好しさに呆れ,古沢追い出しを画策する….2_3
1936年の作品.若々しい山田五十鈴に目を見張る.当時18歳だが芝居は達者なものである.
物語は,お人好しの梅吉も口八丁手八丁のおもちゃも,共に男にひどい目に遭わされるというものだが,オープニングの音楽(斬新なポップス調でびっくりする)も,エンディングも共に明るい軽快なもので,この映画が「喜劇」と位置づけられていることを伺わせる.この辺は時代を感じるところである.
映画はテンポ良い会話劇が中心で,人物が京都の長い路地を移動していく度に物語が切り替わるという展開も面白い.
山田五十鈴の快演も含め,一見の価値あり.
京都の繁華街も,ネオンで目立つのは「マツダランプ」「マツダ眞空管」くらいという状況で,この時代の映画の記録としての意義も感じられる.
★★★☆(★5個が満点)
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独断的映画感想文:虹をつかむ男

日記:2015年8月某日
映画「虹をつかむ男」を見る.1
1996年.監督:山田洋次.出演:西田敏行(白銀活男),吉岡秀隆(平山亮),田中裕子(十成八重子),田中邦衛(常さん),すまけい(和尚),柳沢慎吾(郵便局員・赤羽),松金よね子(薬屋のおかみ・鏡子),神戸浩(弁当屋・茂),鶴田忍(吉井巡査),倍賞千恵子(平山春子),前田吟(平山章),佐藤仁美(平山咲枝),永瀬正敏(安徳先生),柄本明(斉藤課長),下絛正巳(村長),笹野高史(十成修次郎),宮下順子(十成かおり),三崎千恵子(親族代表),山田スミ子お遍路のおばさん),上島竜兵(オデオン座に雇われる男).
平山亮は就職に失敗し父親と喧嘩,家を飛び出し気ままに旅をしている.
徳島の小さな街に辿り着いた亮は,その街の小さな映画館「オデオン座」でアルバイトとして働き始める.
社長の活男は無類の映画好きながら,経営の才はなく借金の山を抱えている.活男の同級生の妹八重子は,実家で喫茶店を開いている未亡人,活男は彼女に恋心を抱いているが言い出せない.
土曜の夜の名画座企画に街の映画好きは協力を惜しまないのだが….2
渥美清を追悼した山田洋次監督の作品,映画そのものへのオマージュと言えるシーンをちりばめた心温まるコメディ.
一つ一つのシーンに監督の思い入れが感じられ,俳優も熱演,良い雰囲気の映画に仕上がった.田中裕子の独白には心を打たれる.下条正巳や柄本明のエピソードには泣かされた.
見て損はなし.
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