独断的映画感想文:おじいちゃんの里帰り
日記:2015年8月某日
映画「おじいちゃんの里帰り」を見る.
2011年.監督:ヤセミン・サムデレリ.
出演:ヴェダット・エリンチン(Huseyin),ラファエル・コスーリス(Cenk Yilmaz),ファーリ・オーゲン・ヤルディム(Huseyin),アイリン・テザイル(Canan).
1960年代半ばにトルコからドイツへ出稼ぎに来た労働者フセイン.やがて家族も呼び寄せドイツに根付いたフセイン一家だった.
しかし45年後,フセインはトルコの故郷に家を買ったと言いだし,休暇に皆でその家を見に行こうと言う.家族それぞれが反対するもフセインは聞かず,一族ははるばるトルコに里帰りすることになる.
その道中,退屈した孫のチェンクがせがんで同じく孫のカナンが話して聞かせるお祖父ちゃんと一家の半生記を交え,トルコに向かう旅行風景を描く映画.
この映画の魅力は,何と言ってもフセイン一家の暖かさだ.頑固で言い出したら聞かないフセインも,奥さんのファトマには頭が上がらない.息子や娘はそれぞれに悩みを抱えているが,ぶつぶつ言いながらもフセインのために一緒に旅に出る.
孫のカナンは妊娠していて彼氏はイギリス人,母のレイラにも言い出せず一人悩んでいるが,母も祖父母もカナンを受け入れる.
トルコ人でイスラム教徒のフセイン一家であるにも拘わらず,心から共感できその労り合いに感動するのは,彼等の暖かい家族愛ならではのことだろう.
映画らしい趣向を随所に織り交ぜた物語の展開も,大いに楽しめる.心温まり,しんみりと泣かされる家族映画の傑作.
映画の最後でドイツ人が言っていた言葉が印象に残る.「労働力を迎えたつもりが,来たのは人間だった」.
★★★★☆(★5個が満点)
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