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2015/09/29

番外:独断的歌舞伎感想文 秀山祭九月大歌舞伎 夜の部

日記:2015年9月某日
歌舞伎座,秀山祭夜の部は,「通し狂言 伽羅先代萩(めいぼくせんだいはぎ)」.Kabukiza_09sendaihagi
出演は〈花水橋〉:足利頼兼(梅玉),絹川谷蔵(又五郎).〈竹の間〉乳人政岡(玉三郎),沖の井(菊之助),小槙(児太郎),八汐(歌六).〈御殿〉乳人政岡(玉三郎),沖の井(菊之助),小槙(児太郎),栄御前(吉弥),八汐(歌六).〈床下〉仁木弾正(吉右衛門),荒獅子男之助(松緑).〈対決・刃傷〉仁木弾正(吉右衛門),細川勝元(染五郎),渡辺民部(歌昇),山中鹿之介(種之助),大江鬼貫(由次郎),山名宗全(友右衛門),渡辺外記左衛門(歌六).
「竹の間」までの幕を含めた通しを見るのは初めてである.
「花水橋」では又五郎の,いかにもこの人らしい型を正統に生かした見得が素晴らしい.
「竹の間」では政岡に濡れ衣を着せて罪に落とそうという八汐に対し,沖の井が火の出るような弁舌で八汐を退け,鶴千代の助けもあって政岡の防衛に成功するところは印象的.
今まで沖の井という人物像は今ひとつ判らなかったが,この場面を見ることで印象が鮮明になる.
「御殿」では極めて長い時間を取ってまま炊きを演じるが,子役達の演技と政岡の時に笑いを誘う対応もあって,全く長さを感じさせない.千松殺害の場面では,冷静と見える政岡は,千松から目をそらし舞台に背を向けている沖の井の顔を凝視していることが判る.榮御前の注視にさらされながらも,政岡は沖の井を支えに冷静を保っていることが,「竹の間」の描写を踏まえて観客には伝わってくる.
そして皆が去った後で千松の遺骸に取りすがり悲嘆にくれる政岡.玉三郎の政岡は決して強靱さを前面に出さず,むしろ情にあふれた政岡である.まま炊きでの長時間の描写が,ここでの政岡の悲しみを説得性のあるものにする.母親としての政岡の感情の爆発に,涙を禁じ得ない.
後半は吉右衛門の弾正を楽しんだ.歌六が八汐から外記左衞門に変わって奮闘するのは予想外の喜びであった.
終わって,まさにこの通し狂言に圧倒されて劇場を出る.今年の秀山祭は見応えに満ちた昼夜であった.
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