独断的映画感想文:セッション
日記:2015年9月某日
映画「セッション」を見る.
2014年.監督:デイミアン・チャゼル.
出演:マイルズ・テラー(Andrew),J・K・シモンズ(Fletcher),ポール・ライザー(Jim),メリッサ・ブノワ(Nicole),オースティン・ストウェル(Ryan),ネイト・ラング(Carl).
ドラマーとしての成功を夢見て全米でも一流のシェイファー音楽院に入学したアンドリュー.ある夜フレッチャー教授が彼の練習スタジオに顔を出す.
数日後,アンドリューの属するグループのレッスンに顔を出したフレッチャーは,全員の音をチェックした後,アンドリューに自分の指導するバンドに移る様命じた.
その初日,異常な緊張で始まるレッスン,新人ドラマーとして紹介されたアンドリューは,フレッチャーから演奏を楽しめと優しく声をかけられるが,その直後から凄まじいフレッチャーのしごきが始まる….
自分の思い通りのスタープレイヤーを生み出すことに執念をかけるフレッチャーと,フレッチャーを倒してでもスターへの道を歩もうとするアンドリューの,狂気じみた闘いを描く映画.
この映画は,ジャズを楽しむ映画でもなければ,スター誕生映画でもない.両者の凄まじい闘いを描くサスペンスと言って良い.
しかしそれにも係わらず,最終局面での「キャラバン」の演奏の迫力は胸に迫る.最高のパフォーマンスによって生み出された音楽が,両者に一瞬の共感をもたらしたからである.
ここでの選曲が,ドラムソロからスタートしドラムスが曲を支配する「キャラバン」であることは,誠にこの場面にふさわしい.
ところで,アンドリューが目標とするバディ・リッチのビッグバンドの来日演奏を,僕はNHKの白黒TVで見た記憶がある.
最後の曲のドラムソロで,彼はこの映画であったように左のスティックを取り落とした.しかしすぐに拾い上げ,更に火の出るようなソロを叩きまくった.映画のアンドリューの「キャラバン」を見て,僕はその時のバディ・リッチを思い出したのだった.
アンドリュー役のマイルズ・テラー,フレッチャー役のJ・K・シモンズは共に最高の演技,一見の価値ある映画.
★★★★(★5個が満点)
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