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2015/10/22

独断的映画感想文:キャプテン・フィリップス

日記:2015年10月某日
映画「キャプテン・フィリップス」を見る.1
2013年.監督:ポール・グリーングラス.
出演:トム・ハンクス(リチャード・フィリップス),バーカッド・アブディ(ムセ),バーカッド・アブディラーマン(ビラル),ファイサル・アメッド(ナジェ),マハト・M・アリ(エルミ).
2009年に起きた,ソマリア沖の海賊襲撃事件の記録に基づく映画.
米国バーモントの自宅から妻に送られて出発した船長フィリップス,オマーンに着いた彼は貨物船マークス・アラバマ号に乗り込み,サラーサ港からケニアのモンパサを目指す.
4月6日,船は2隻の海賊船に襲われるが,アラバマ号の巧みな操舵術と,偽通信で「空軍出動」を演じたことが奏効し,海賊船は引き返した.2
しかし翌日再度襲ってきたムセ率いる4人のグループは,アラバマ号の防御をかいくぐり遂に舷側にかけた梯子から船内に乗り込む.フィリップス等幹部は船橋に残り乗組員を機関室に退避させ,海賊達との交渉が始まる….
この後舞台は,アラバマ号の救難ボートでフィリップスを人質に逃亡する海賊達と,出動したアメリカ海軍との息詰まる駆け引きに移る.
映画はソマリア海賊,アメリカ海軍の双方を良く描き緊張感は高い.3
ソマリア海賊にあっては,ムセの卓越した判断力と指導力が魅力的だ.一方,フリップスの優れたリーダーシップ,沈着冷静な指揮指導も印象的だ.トム・ハンクスの熱演はこの映画の成功の主要因であろう.
しかし僕はこの映画が好きにはなれない.
フィリップスは良く訓練された,この海域を航行する船の船長だ.海賊に襲われた後何がどのように展開するか,正確に知っていた(教えられていた)に違いない.
自分が人質になったとき,彼は既に米海軍が出動すること,最終的には狙撃部隊が海賊全員を射殺することまで判っていた筈だ.余裕があったときには,フリップスは年少のビラルの怪我を手当てしてやりながら,このままでは死んでしまうと警告もしている.
米海軍を目の当たりにしたときフィリップスが叫んだのは,救命艇で自分が座っている座席の番号だった.狙撃に巻き込まれることを少しでも避けようと考えたからだ.
それでも,米軍が人質に金を払うより敵の制圧を優先することを知っている彼は,時間の経過と共に次第に恐慌に陥っていったのではないだろうか.4
ソマリアでは海賊に何年も捕らえられていた人質の話も聞くことがある.軍が出動して洋上で奪還されたフィリップスの様な例は,稀少なケースなのであろう.
軍が出動するに値する人とは,どういう人なのだろうか?私やあなたはそういう人の中に入っているだろうか?それとも無視される側なのだろうか?
湯川遥奈さんと後藤健二さんは,我が政府の判断では無視される方に入っていたようだ.
★★★(★5個が満点)
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