番外:独断的歌舞伎感想文 阿古屋/髪結新三
日記:2015年10月某日
歌舞伎座へ.「十月大歌舞伎 夜の部」を見る.
「一、壇浦兜軍記(だんのうらかぶとぐんき) 阿古屋」.出演:遊君阿古屋(玉三郎),岩永左衛門(亀三郎),榛沢六郎(功一),秩父庄司重忠(菊之助).
「二、 二世尾上松緑二十七回忌追善狂言 梅雨小袖昔八丈(つゆこそでむかしはちじょう) 髪結新三 序 幕 白子屋見世先の場,永代橋川端の場.二幕目 富吉町新三内の場,家主長兵衛内の場,元の新三内の場,大 詰 深川閻魔堂橋の場」.出演:髪結新三(松緑),白子屋手代忠七(時蔵),下剃勝奴(亀寿),お熊(梅枝),丁稚長松(左近),家主女房おかく(右之助),車力善八(秀調),弥太五郎源七(團蔵),後家お常(秀太郎),家主長兵衛(左團次),加賀屋藤兵衛(仁左衛門),肴売新吉(菊五郎).
阿古屋はとにかく玉三郎が素晴らしい.特に琴は絶品,竹本の太棹との絡みがいちばん美しかったのも琴であろう.
胡弓の響きも捨て難い.三味線は玉三郎の三味線と伴奏とのからみがちょっと判りにくかった.
この演奏をじっと受けている菊之助がまた綺麗.口跡も力強く,最後の見得は一幅の絵のようであった.
松緑の髪結い新三はまさに待ちかねた配役.2年前には三津五郎の新三で下剃勝奴を勤めていたのが思い出される.
今回は気っぷ良くおかしみもある新三をたっぷり楽しめた.付き合ってくれた左團次も力が抜けて素晴らしい.魚屋で出てきた菊五郎の呼び声がひっくり返っているのも愛嬌である.
もともと好きな髪結い新三,松緑がもっと磨き上げて当代の当たり役にして欲しいところである.
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