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2015/11/24

独断的映画感想文:百円の恋

日記:2015年11月某日
映画「百円の恋」を見る.0
2014年.監督:武正晴.
出演:安藤サクラ(斎藤一子),新井浩文(狩野祐二),稲川実代子(母・斎藤佳子),早織(斎藤二三子),宇野祥平(岡野),坂田聡(野間),沖田裕樹(佐田),吉村界人(西村),松浦慎一郎(トレーナー・小林),伊藤洋三郎(父・斎藤隆夫),重松収(木下会長),根岸季衣(池内).
短大を出たままひきこもりの無為な生活をしてきた一子は32歳,妹が離婚し子連れで帰ってきたが折り合いは最悪,遂に生まれて初めての自活をすることになる.
100円コンビニショップで深夜勤の職にありつくが,店員は皆病んだ人ばかり.一子の密かな楽しみは,近所のボクシングジムで練習に励む狩野祐二を見ることだった.2
いつしか彼との交友が始まりデートもする.狩野の最後の試合のチケットを貰い,同僚の病的なおしゃべり野間と観戦に行くが,狩野は敢えなくノックアウト,その夜狩野の慰労会を開いたはずが狩野は姿を消し,一子は野間に処女を奪われる羽目に.
一子は狩野が辞めたボクシングジムに通い練習に励むが….
第1回「松田優作賞」グランプリ脚本を,オーディションに合格した安藤サクラ等をキャストに映画化した純正映画作品.
映画の前半,二重あごで膨れあがった胴回りをボリボリ掻く一子の自堕落ぶりは圧巻である.
その一子が意外な純情ぶりを発揮するロマンス,それの無残な破綻からボクシングへののめり込みへと展開し,一気にクライマックスへ雪崩れ込む脚本が見事.またそれを体現した安藤サクラの熱演が凄い.1
終盤の試合のシーンはまさに手に汗握り,一子の痛み・恐怖・怒りを目の当たりにするカメラワークは目を見張る.映画の最後で,一子が狩野に手を引かれながらおいおいと泣くシーンは,涙を禁じ得ない.
今の日本に極めて希な映画らしい映画,一見の価値あり.
★★★★☆(★5個で満点)
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