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2015年12月に作成された記事

2015/12/25

番外:独断的歌舞伎感想文 2015年12月:十種香/赤い陣羽織/雪関扉

日記:2015年12月某日
12月大歌舞伎昼の部を見る.Kabukiza_201512ff2_cc734edc2f7d0c2a
「一、本朝廿四孝(ほんちょうにじゅうしこう) 十種香」.近松半二 作.出演:八重垣姫(七之助),武田勝頼(松也),腰元濡衣(児太郎),白須賀六郎(亀寿),原小文治(亀三郎),長尾謙信(市川右近).「二、赤い陣羽織(あかいじんばおり)」.木下順二 作,坂東玉三郎 演出.出演:お代官(中車),お代官のこぶん(亀寿),女房(児太郎),お代官の奥方(吉弥),おやじ(門之助).「三、重戀雪関扉(つもるこいゆきのせきのと)」.出演:関守関兵衛実は大伴黒主(松緑),小野小町姫(七之助),良峯少将宗貞(松也),傾城墨染実は小町桜の精(玉三郎).
十種香は俳優は皆美しいが,若手花形の芝居はそれほど感銘を受けない.中では七之助が一日の長か.
赤い陣羽織は中車のお代官と門の助の親父の対比が面白い.児太郎もこの芝居が一番のびのびとして気持ちよく見れた.
見応えのあったのはやはり関扉である.玉三郎の圧倒的な美しさ,松緑・玉三郎の踊りと見得は舞台を圧倒する.終盤のまさかりをかいこんだ松緑と桜の精となった玉三郎の踊りは圧巻,決まるべきところが美しく決まり素晴らしかった.
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番外:独断的歌舞伎感想文 12月大歌舞伎:通し狂言 妹背山婦女庭訓

日記:2015年12月某日
歌舞伎「通し狂言 妹背山婦女庭訓(いもせやまおんなていきん) 杉酒屋 道行恋苧環 三笠山御殿」を観る.Kabukiza151223
〈杉酒屋〉:杉酒屋娘お三輪(七之助),烏帽子折求女実は藤原淡海(松也),入鹿妹橘姫(児太郎),丁稚子太郎(團子),後家お酉(歌女之丞),家主茂儀兵衛権十郎).〈道行恋苧環〉:杉酒屋娘お三輪(七之助),入鹿妹橘姫(児太郎),烏帽子折求女実は藤原淡海(松也).〈三笠山御殿〉:杉酒屋娘お三輪(玉三郎),漁師鱶七実は金輪五郎今国(松緑),宮越玄蕃(亀三郎),荒巻弥藤次(亀寿),入鹿妹橘姫(児太郎),烏帽子折求女実は藤原淡海(松也),豆腐買おむら(中車),蘇我入鹿(歌六).
七之助のお三輪は町娘らしい愛嬌と焼き餅が可愛い.それに対し松也の求女・児太郎の橘姫は電信柱のようで,どうも印象に残らない.
特に道行恋苧環の場は,竹本の音曲が美しいのに引き替え二人の所作がほとんどなく,爆睡した.この場の必要性が全く理解できない.
目を奪われたのはやはり玉三郎・松緑が登場する御殿の場で,玉三郎が終盤に見せる疑着の相から松緑に刺し貫かれ死相となるあたりは,その凄惨な迫力に圧倒された.
松緑のこれを見下ろす冷ややかさと,美しく決める見得も素晴らしい.二人の演技が舞台を威圧するかのようだ.終盤の急速な盛り上がりでこの芝居を見た甲斐があった.
中車が豆腐買いで出てきたのと團子の活躍はご愛敬.後は玉三郎歌舞伎学校を懸命に勤める若手という感じであった.
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2015/12/08

独断的映画感想文:超高速!参勤交代

日記:2015年12月某日
映画「超高速!参勤交代」を見る.1
2014年.監督:本木克英.
出演:佐々木蔵之介(内藤政醇),深田恭子(お咲),伊原剛志(雲隠段蔵),寺脇康文(荒木源八郎),上地雄輔(秋山平吾),知念侑李(鈴木吉之丞),柄本時生(増田弘忠),六角精児(今村清右衛門),市川猿之助(徳川吉宗),石橋蓮司(松平輝貞),陣内孝則(松平信祝),西村雅彦(相馬兼嗣).
八代将軍吉宗の治世下,磐城国の湯長谷藩はようやく参勤交代を終え懐かしい故国に帰り着く.
ところがその翌日,江戸からの早馬で5日以内の参勤交代の命が届く.これは湯長谷藩に金山ありとの隠密の報告を受けた,老中・松平信祝の策略によるものだった.7
通常でも江戸迄は8日かかる上,1万5千石の小藩にはもはや金もない.
しかし藩主・内藤政醇は家老の相馬兼嗣と計り,抜け忍雲隠れ段蔵の案内で間道を走り抜け,役人のいる宿場でのみ雇い仲間で大名行列を仕立てるという作戦を立て出発.
参加したのは藩きっての武芸の達人達だが,走る為に竹光しか持たないところを隠密に襲撃され大苦戦,藩主政醇,家老相馬ともはぐれてしまう….6
もっととんでもないドタバタかと思ったら,意外に時代劇の基本はしっかりとした映画.藩主,家老始め武芸の達人達のキャラが立っていて,話しの展開が実に面白い.
藩主がこの大変なときにお咲という女郎と恋に落ちてしまうのも無茶苦茶である.
超高速!というだけあって物語のスピード感も充分,ウンカの様に湧いて出る隠密達がちょっと弱すぎるが(くノ一に魅力がないのもいけませんな),これをばったばったとなぎ倒す藩士達の活躍が痛快である.2
監督がトークで言う通り,楽しめてちょっと心が温まる時代劇となった.
★★★☆(★5個が満点)
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2015/12/03

独断的映画感想文:さようなら

日記:2015年11月某日
映画「さようなら」を見る.1
2015年.監督:深田晃司.出演:ブライアリー・ロング(ターニャ),新井浩文(聡史),ジェミノイドF(レオナ),村田牧子.平田オリザの舞台を映画化.原子力発電所の大規模破壊で汚染された近未来の日本.政府は棄国を宣言,計画に従い人々は難民として出国してゆく.ターニャは南アからの難民として日本に居るが,元来病弱でアンドロイド・レオナと共に独り暮らす.ときおり数少ない友人や恋人の聡史が訪ねてくるが,彼等もやがて去って行った.3
出国順位の低いターニャは死を覚悟し,レオナに詩を読んで貰いながら日々を過ごしていく….ターニャが住む丘の上の家,周囲は草原に覆われ彼方に山なみが見える.風の音,鳥の鳴く声の他は寡黙な映画だ.レオナはターニャが子供の頃から居るアンドロイド,足が故障して今は車椅子で移動している.そのレオナがターニャに読んで聞かせる詩が耳に残る.特に谷川俊太郎の「さようなら」という詩が印象的だ.
4やがてターニャは死を迎える.横たわるターニャを見守るレオナ,暗転していく画面に聞こえていたターニャの穏やかな寝息が,何時か聞こえなくなる長いシーン.静謐な映画だが小野川浩幸の音楽も素晴らしい.終始滅びるものの緊張感に満ちた,ネビル・シュートの「渚にて」を想起させる美しい映画だった.
★★★★(★5個が満点)
2
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