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2016年1月に作成された記事

2016/01/13

独断的映画感想文:ロンドン・リバー

日記:2016年1月某日
映画「ロンドン・リバー」を見る.0
2009年.監督:ラシッド・ブシャール.
出演:ブレンダ・ブレッシン(Elisabeth),ソティギ・クヤテ(Ousmane),フランシス・マギー,サミ・ブアジラ(Imam),ロシュディ・ゼム(Le Boucher),マーク・ベイリス(Edward).
2005年7月7日,イギリス海峡に程近いガーンジー島で農業を営むソマー夫人は娘が遊学中のロンドンで大規模テロが起こったというニュースを聞き,娘に電話をかける.電話は繋がらず彼女はロンドンに行くことにした.
フランスで森林管理官として働くウスマンは,故郷のアフリカに住む妻から,ロンドンにいる息子と連絡がつかないとの知らせを受け,6歳の時以来会っていない息子を捜しに,ロンドンにやって来る.
やがて二人はロンドンのイスラム地区のアパートで,彼等の娘と息子が同棲していたことを知る….2
当初思わぬ状況に途惑うソマーだったが,やがてウスマンと言葉を交わす様になる.ウスマンは,息子がテロリストではないかという恐れを抱いていたが,犯人はパキスタン系という報道にその憂いはなくなった.
二人は次第に言葉を交わす様になり,協力して子供達の行方を探すことになる.
ソマーは夫をフォークランド戦争で亡くして以来,農業をしながら一人娘を育ててきた.ウスマンは敬虔なイスラム教徒,枯れ木の様な痩せた長身で殆ど口をきくことはない.
この二人が次第に打ち解け,子供達のことを理解しようと努める過程は,実に印象的だ.1
世の中は昔と違う.実に驚くべき事ばかりだが,人間は結局理解し合えるものなのではないか.そう思った矢先に,物語は思いがけない展開を遂げる….
ソマーを演じたブレンダ・ブレッシンとウスマンを演じたソティギ・クヤテが誠に素晴らしい.我々はどこから来たのか,どこへ行くのか,そして一体今何をしているのか,そういうことを考えさせられる映画.
一見の価値あり.★★★★(★5個が満点)
3
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番外:独断的歌舞伎感想文  小春穏沖津白浪(こはるなぎおきつしらなみ)

日記:2016年1月某日
歌舞伎「通し狂言 小春穏沖津白浪 -小狐礼三- 四幕十場(こはるなぎおきつしらなみ こぎつねれいざ)」を見る.H2801koharunagiokitsushiranamidan_3
河竹黙阿弥=作,木村錦花=改修.尾上菊五郎=監修,国立劇場文芸研究会=補綴,国立劇場美術係=美術.
序幕;上野清水観音堂の場.二幕目;第一場(雪)矢倉沢一つ家の場,第二場(月)足柄越山中の場,第三場(花)同 花の山の場.三幕目;第一場 吉原三浦屋格子先の場,第二場 同 二階花月部屋の場,第三場 隅田堤の場.大詰;第一場 赤坂山王稲荷田圃道の場,第二場 同 鳥居前の場,第三場 高輪ヶ原海辺の場.
出演:尾上菊五郎,中村時蔵,尾上菊之助,坂東亀三郎,坂東亀寿,中村梅枝,中村萬太郎,市村竹松,尾上右近,市村橘太郎,片岡亀蔵,河原崎権十郎,市村萬次郎,市川團蔵,坂東彦三郎.
菊五郎劇団の正月らしい娯楽劇.お家の重宝の紛失を巡り,お家乗っ取りを企む悪者一味と旧恩に報いようという盗賊一味が渡り合う.
菊五郎の登場は少ないが,菊之助が獅子奮迅の大活躍.
梅枝は今回立ち役で,それも自分のチョンボで勘当を受け花魁に食べさせて貰っている甲斐性無しの馬鹿殿の役,ちょっと残念.
右近はその花魁でこれは美しかった.萬次郎の花魁が適度なブスで儲け役.
橘太郎がちょい悪仲間と強欲なやり手婆の二役で魅力的だった.
赤坂山王稲荷鳥居前の場は,赤と黒のシンプルな配色の鳥居のトンネルを使い,回り舞台を駆使しての立ち回りが見事.
振る舞い酒で居眠りしながらの観劇だったが,要所要所に見せ場があって最後まで楽しめた.
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2016/01/06

独断的映画感想文:飢餓海峡

日記:2016年1月某日
映画「飢餓海峡」を見る.0
1965年.監督:内田吐夢.
出演:三國連太郎(犬飼多吉/樽見京一郎),風見章子(妻敏子),左幸子(杉戸八重),加藤嘉(父長左衛門),伴淳三郎(弓坂吉太郎),山本麟一(和尚),高倉健(味村時雄),沢村貞子(妙子).
昭和22年9月,北海道を台風が襲い,岩内では強風下質屋の強盗殺人放火事件が発生,市街の大半を焼き尽くした.2_2
その直後発生した青函連絡船・層雲丸遭難事件では,乗客名簿にない2名の水死体が発見され,これは岩内放火殺人の犯人と目される2名と判明した.
警察は彼等と同行していた犬飼多吉の行方を追うが,犬飼は大湊で娼婦・杉戸八重の客となったあとは行方が判らなくなった.八重も姿を消し事件は迷宮入りとなる.
10年後,八重他1名の死体が東舞鶴で発見され,所轄警察はかって八重を追っていた函館署の刑事・弓坂の存在を知り,捜査協力を依頼する….1_2
水上勉の原作を,3時間を超える長編にまとめた内田吐夢の名作.
「砂の器」と並び称されるが,両方とも事件の背景に日本の厳しい貧困があったことを描いているのが,特長である.
映画はミステリとして事件の謎を追うが,証拠を積み重ねて犯罪の厳格な証明を行うことより,貧困の故に犯した犯罪に対する犯人の葛藤を,情念をもって突き崩していく展開が主筋となっている.3
ここにおいて伴淳三郎の好演が印象的であり,証拠で追い詰めようと気負う高倉健の刑事・味村は浅薄に見える.
如何にもこの時代らしい映画,終幕の犯人の行動は現代の我々から見るといささか唐突だが,物語としてはこれしか有り様はなかったであろう.長尺ながら一気に見れる映画だった.4
★★★☆(★5個が満点)
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2016/01/05

独断的映画感想文:スター・ウォーズ フォースの覚醒

日記:2015年12月某日
映画「スター・ウォーズ フォースの覚醒」を見る.1_2
2015年.監督:J.J.エイブラムス.
出演:デイジー・リドリー(Rey),ジョン・ボイエガ(Finn),オスカー・アイザック(Poe・Dameron),ドーナル・グリーソン(General・Hux),アンディ・サーキス(Supreme Leader・Snoke),ルピタ・ニョンゴ(Maz・Kanata),マックス・フォン・シドー(ロア・サン・テッカ),マーク・ハミル(Luke・Skywalker),ハリソン・フォード(Han・Solo),キャリー・フィッシャー(Leia),アンソニー・ダニエルズ(C-3PO),ケニー・ベイカー(R2-D2),ピーター・メイヒュー(Chewbacca).
エピソード6「ジェダイの帰還」から30年後の物語.再び勢力を伸ばす帝国軍勢力,ルーク・スカイウォーカーは隠棲しジェダイの系譜は途切れている.3
ルークのいる場所への航路図を入手したポーは襲われ拉致される.航路図はドロイドBB8に託され,彼を保護した砂漠の娘レイと帝国軍の脱走兵フィンは,ミレニアム・ファルコン号に乗って帝国軍の追撃をかわすが….
興奮と感激の136分間.5
ハン・ソロの顔に刻まれたシワに懐かしさを感じると共に,新しいキャラクターの3D画面での大活躍に胸躍る.新旧のキャストがそれぞれにバランス良く活躍し,新玉3部作の滑り出しは上々である.
レイが乗り込んだファルコン号が勇躍惑星ジャクーを離れ宇宙に飛び出すシーン,そのファルコン号にハン・ソロとチューバッカが乗り込んでくるシーンには胸が熱くなる.「007スカイフォール」でボンドがアストン・マーチンDB5で飛び出していくシーンと同じ懐かしさだ.4
一方レイとフィン,ポー等の新しい登場人物も素晴らしい活躍,特にレイはその出生の謎と言いフォースの片鱗と言い,今後の物語の進展が楽しみだ.2_2
早くも次回2017年公開の「エピソード8」に期待するところ大.
★★★★☆(★5個が満点)
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独断的映画感想文:第三の男

日記:2015年12月某日
映画「第三の男」を見る.0
1949年.監督:キャロル・リード.
出演:ジョゼフ・コットン(Holly Martins),アリダ・ヴァリ(Anna),オーソン・ウェルズ(Harry Lime),トレヴァー・ハワード(Major Calloway),バーナード・リー(Sergeant Paine).
第2次大戦後の連合国統治下のウィーン.
食い詰めた三流作家ホリーは,旧友ハリーの招きでその仕事に合流する為ウィーンに着くが,ハリーは事故死し,その葬儀が行われている.2
英国のMPキャロウェイ少佐が彼に帰国を勧めるなか,ホリーはハリーの恋人だったアンナ,アパートの管理人等と接触するうちハリーの死因に疑問を抱く様になる….
グレアム・グリーンの原作を映画化.
映画は緊張感が維持され,謎の展開する面白さ,美貌の女性アンナの登場,そして遂にオーソン・ウェルズのドラマチックな登場と,映画らしい楽しさに満ちている.1
無国籍的なハリーと如何にも米国人のホリー,英国軍人の面目躍如のキャロウェイ少佐の対比も面白い.
ホリーの必死の求愛にもかかわらずアンナがホリーを歯牙にもかけないのが印象的.ハリーにはホリーには望み得ない魅力があったのだ.
評価の確定した60年以上前の映画にもかかわらず,その面白さは今も変わらない.一見の価値あり.
★★★★(★5個が満点)
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