独断的映画感想文:イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密
日記:2016年3月某日
映画「イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密」を見る.
2015年.監督:モルテン・ティルドゥム.
出演:ベネディクト・カンバーバッチ(アラン・チューリング),キーラ・ナイトレイ(ジョーン・クラーク),マシュー・グード(ヒュー・アレグザンダー),ロリー・キニア(ロバート・ノック刑事),アレン・リーチ(ジョン・ケアンクロス),マシュー・ビアード(ピーター・ヒルトン),チャールズ・ダンス(デニストン中佐),マーク・ストロング(スチュアート・ミンギス).
1951年,イギリスの田舎町に住む大学教授アラン・チューリングの居宅に泥棒が入る.警察が訪れると家の中は散らかり放題,怪しげなマシンが組み立てられ,アランは被害も述べず警察を追い出しにかかる.
この人物は怪しいとみた地元警察のノック刑事はアランを尋問するが….
この尋問に答えてアランが物語った驚くべき内容は,1938年,ドイツの暗号「エニグマ」を解読する為に結成された解読チームの物語だった.
招集されたアランはチームに協力せず,デジタル処理を機械的に行うマシン・クリストファーの製作に没頭する.エニグマ解読の道筋が見えずアランも孤立する中,クロスワードの天才ジョーンがチームに加わり,やがてチームもまとまりを得てクリストファーの開発に集中するが….
エニグマを解読し連合国を勝利に導いたアラン・チューリングは天才数学者であると同時にアスペルガー症候群を疑われ,また同性愛者であった.映画はエニグマ解読チームでのアランの孤立,ジョーンとの友情によるチームの団結回復と解読の成功,終戦に至る葛藤の日々を,アランの少年時代を絡めて描いていく.
描かれるアランの長い苦闘と栄光の瞬間,そして破綻は観客の心を揺すぶることだろう.ジョーンとの信頼に満ちた友情と,にもかかわらず婚約を解消していく経過には,涙を禁じ得ない.
これを演じるベネディクト・カンバーバッチは誠に好演,キーラ・ナイトレイとの邂逅と別れは見応えあり.
マーク・ストロング演ずるMI6の男も印象深い.
事実に基づく物語というこの映画は,1938年から冷戦時代にかけた,軍事と政治に翻弄された天才の物語でもある.
★★★★(★5個が満点)
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