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2016/04/15

独断的映画感想文:麦秋

日記:2016年4月某日
映画「麦秋」を見る.3
1951年.監督:小津安二郎.
出演:菅井一郎(間宮周吉),東山千栄子(しげ),笠智衆(康一),三宅邦子(史子),原節子(紀子),村瀬禪(實),城澤勇夫(勇),高堂国典(茂吉),淡島千景(田村アヤ),高橋豊子(のぶ),佐野周二(佐竹宗太郎),二本柳寛(矢部謙吉),杉村春子(たみ),宮内精二(西脇宏三).
1951年5月の鯉のぼりがひるがえる.
鎌倉に住む紀子は丸の内の大手企業の専務秘書.家族は両親と,医者で大学病院に通う兄,その妻と子供2名.1
28才の彼女は周りからそろそろ結婚をと勧められながら,友人たちや上司等と楽しい日々を過ごしている.
奈良の大和に住む伯父・茂吉が上京,紀子の両親に大和への隠居を勧める等物語が動き始める中,紀子が結婚について出した結論は,意外なものだった….
終戦6年後とは思えないのどかな日々,この映画で戦争の影を思わせるものは,出征し未だ消息不明の兄・省二の件のみだ.
茂吉が楽しむ歌舞伎も,この年から新装開業した歌舞伎座で上演されている.裕福な企業重役や医者・学者,銀座や鎌倉を舞台とした映画は,この時代の庶民に夢を与えるものだったのだろうか.2
映画の主題は紀子の家族とその解体のようで,紀子の結婚に至るロマンスの要素は皆無である.
紀子は最終的に省二の友人矢部と結婚することになるが,映画ではこの両名が結婚について語るシーンはないし,矢部は紀子との結婚について母親から話を聞いても嬉しそうな顔一つしない.今の時代にはあり得ない結婚に対する感覚ではないだろうか.
俳優では原節子・淡島千景が美しく,笠智衆が意外に若々しい扮装で登場するが,言っていることはおじいさん顔の時と一緒.
佐野周二がひたすら調子の良い専務役を調子良く演じている.
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