番外:独断的歌舞伎感想文 4月大歌舞伎夜の部:彦山権現誓助劔・幻想神空海
日記:2016年4月某日
4月大歌舞伎夜の部を見る.
「一、彦山権現誓助劔(ひこさんごんげんちかいのすけだち) 杉坂墓所 毛谷村」配役:毛谷村六助(仁左衛門),お園(孝太郎),杣斧右衛門(彌十郎),微塵弾正実は京極内匠(歌六),お幸(東蔵).
高野山開創一二〇〇年記念,夢枕 獏 原作,戸部和久 脚本,齋藤雅文 演出.「新作歌舞伎:二、幻想神空海(げんそうしんくうかい) 沙門空海唐の国にて鬼と宴す」配役:海(染五郎),橘逸勢(松也),白龍(又五郎),黄鶴(彌十郎),楊貴妃(雀右衛門),丹翁(歌六),皇帝(幸四郎).
毛谷村は,仁左衛門の折り目正しく要所は迫力ある芝居に引き込まれる.お園の孝太郎が愛嬌があって素敵.杉坂墓所の上演は珍しいとのことだが,微塵弾正とのやり取りがあって物語の経緯がはっきりする.何より,終盤になって持ち込まれる斧右衛門の老母の死骸を見て六助が何を悟るのかが,明確となり,観客に親切だ.
幻想神空海は,見せ場は随所にある.円柱の林立した舞台空間は新作らしく好ましい.
しかし物語の筋が複雑で判りにくく,登場人物が大勢でとっ散らかって,印象が散漫となった.先の皇帝と楊貴妃を巡る物語が,何も化け猫騒動から始まらなくても良さそうな気がする.
せっかくの染五郎と松也も,只の狂言回しという感じが強く,一篇の主人公という迫力に欠けた.
劇中劇の娘義太夫を演じる柴のぶ・京蔵が達者で,このシーンは面白かった.
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