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2016年5月に作成された記事

2016/05/31

独断的映画感想文:野火

日記:2016年5月某日
映画「野火」を見る.0
2014年.監督:塚本晋也.
出演:塚本晋也(田村一等兵),リリー・フランキー(安田),中村達也(伍長),森優作(永松).
敗色濃いフィリピン・レイテ島の日本軍.
肺を患った田村一等兵は部隊を追い出され野戦病院行きを命じられるが,病院は負傷兵で溢れかえり,病院からも追い出される.4
その後,部隊は爆撃を受け全滅,田村は敗残兵となってパランボンを目指すことになるが,辿るジャングルの小道は病死,餓死,戦死した数え切れない日本兵の死体に覆われていた….
凄惨な映画である.
補給もなく捕虜となることも禁じられ,また現地住民の恨みを買った日本軍敗残兵は,フィリピンの山野を埋め尽くして死んでいくしかない.3
遂には日本兵同士が殺し合ってその人肉を喰うことになる.この世の地獄だ.
強靱な意志の力でこの映画を作成した塚本晋也に,敬意を表す.
俳優ではリリー・フランキー,森優作がそれぞれの兵士像を描いて納得の演技.塚本晋也演じる田村が,復員後作家となって書斎から見る野火の幻のシーンが,鬼気迫る.1
一見の価値あり.しかし二度見る勇気はない.
★★★★(★5個が満点)
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2016/05/26

独断的映画感想文:トランセンデンス

日記:2016年5月某日
映画「トランセンデンス」を見る.1
2014年.監督:監督:ウォーリー・フィスター.
出演:ジョニー・デップ(Will Caster),モーガン・フリーマン(Joseph Tagger),レベッカ・ホール(Evelyn Caster),ケイト・マーラ(Bree),キリアン・マーフィ(Agent Buchanan),コール・ハウザー(Colonel Stevens),ポール・ベタニー(Max Waters),クリフトン・コリンズJr(Martin),コリー・ハードリクト(Joel Edmund),フォーク・ヘンチェル(Bob),ジョシュ・スチュワート(Paul),ルース・レインズ(Roger).3
映画の冒頭,荒れ果てた街路とやつれた人々.カメラはある廃墟の庭を映し出す.
5年前,ここには若き新進の,人工知能を研究するコンピュータ学者の夫婦が住んでいた.ところが夫ウィルは学会の発表会場で,人工知能による人類支配に反対するテロリストに銃撃される.
体内に入ったポロニウム銃弾により1ヶ月後の死が避けられないウィル,ウィルと妻のエブリンは夫の親友マックスと共に,開発中の人工知能にウィルの脳をアップロードする.4
ウィルの死後,ウィルの人工知能は覚醒し活動を始める.ウィルの人工知能はネット上に転移し生き延び,砂漠地帯の過疎の町に拠点を定め,太陽光発電と巨大なサーバー群を設置して自己増殖を開始する….
SFと言うよりはファンタジーに近い作品.人類を破滅に導いたのはウィルか人類自身か.2
これにウィル,エブリン,マックスの愛憎が絡んでいく展開だが,映像の印象はどう見てもB級映画.キャスティングとのアンバランスに違和感の残る作品.
プロットも御都合主義が先行して受け容れ難い.これでは人類があまりに可哀想である.
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2016/05/25

番外:独断的歌舞伎感想文 團菊祭5月大歌舞伎昼の部 鵺退治/寺子屋/十六夜清心/楼門五三桐

日記:2016年5月某日
團菊祭5月大歌舞伎昼の部を見る.Img_2711
「福地桜痴 作 一、鵺退治(ぬえたいじ)」.出演:源頼政(梅玉),猪の早太(又五郎),九条関白(錦之助),菖蒲の前(魁春).「菅原伝授手習鑑 二、寺子屋(てらこや)」.出演:松王丸(海老蔵),千代(菊之助),戸浪(梅枝),武部源蔵(松緑).「河竹黙阿弥 作・花街模様薊色縫 三、十六夜清心(いざよいせいしん) 浄瑠璃『梅柳中宵月』」.出演:清心(菊之助),十六夜(時蔵),恋塚求女(松也),俳諧師白蓮実は大寺正兵衛(左團次).「四、楼門五三桐(さんもんごさんのきり)」.出演:石川五右衛門(吉右衛門),真柴久吉(菊五郎).
鵺退治は30分の小品,鵺を退治てめでたしめでたし.
寺子屋は,夜でも健闘している松緑・梅枝が武部源蔵・戸浪を演じて入魂の演技.気迫が舞台から伝わってくる.菊五郎の千代も口説きに魅了される.海老蔵の松王丸は熱演だが,一人極めて古怪・大時代な演技に終始し,その周りだけが別世界の様である.これはどう考えるべきか.
十六夜清心は寺子屋の後で気が抜けてしまい,特に前半の両名のやり取りでは退屈して寝てしまった.
後半清心が更に求女を手に掛けてしまった後ようやく緊迫してきたが,菊之助には清心はニンでないのではないか.どうも悪人らしいところが出ないまま終わってしまった感じあり.
楼門五三桐はわずか14分の芝居だが豪華絢爛,吉右衛門と菊五郎の大見得がきれいに決まって,見応え充分.若手主体の團菊祭の中で,ベテランの味を満喫できた.
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番外:独断的歌舞伎感想文 團菊祭5月大歌舞伎夜の部

日記:2016年5月某日
歌舞伎座團菊祭5月大歌舞伎夜の部を見る.Kabukiza_201605fff_6ea0e8f85b9aabc2
「一、勢獅子音羽花籠(きおいじしおとわのはなかご) 寺嶋和史 初お目見得」.出演:鳶頭(菊五郎),鳶頭(吉右衛門),鳶頭(菊之助),初お目見得(寺嶋和史(菊之助長男)),鳶頭(松緑),鳶頭(海老蔵),鳶頭(松也),鳶頭(錦之助),鳶頭(又五郎),芸者(雀右衛門),芸者(時蔵),芸者(魁春),鳶頭(左團次),鳶頭(梅玉).河竹黙阿弥 作「二、三人吉三巴白浪(さんにんきちさともえのしらなみ) 大川端庚申塚の場」.出演:お嬢吉三(菊之助),お坊吉三(海老蔵),和尚吉三(松緑).鶴屋南北 作「三、時今也桔梗旗揚(ときはいまききょうのはたあげ) 本能寺馬盥の場 愛宕山連歌の場」.出演:武智光秀(松緑),桔梗(梅枝),小田春永(團蔵),皐月(時蔵).「四、男女道成寺(めおとどうじょうじ)」出演:白拍子桜子実は狂言師左近(海老蔵),白拍子花子(菊之助).
勢獅子は音羽屋・播磨屋勢揃いの踊りで何とも賑やかな顔ぶれ,若い芸者で右近・梅枝・種之助が美しい.変わった柄の着物を着た松緑と海老蔵のボウフラ踊りが,面白かった.獅子舞が派手に踊って中から松也と巳の助が出てきた.達者なものである.
三人吉三は右近がまたもや夜鷹で川に蹴込まれてしまった.海老蔵の台詞が何とも間延びしているのは何故か.まあこれは型通りの芝居.
時今也桔梗旗揚は何と言っても今夜の白眉,松緑と梅枝の無言の芝居が胸に迫る.
梅枝は馬盥の場後半は「兄上様」という以外は全く台詞がない.それにも拘わらずの緊迫感溢れる芝居はどうだろう.
松緑もじっと春永の嫌み辱め(いじめる團蔵がまた宜しい)に耐え続ける無言の芝居に鬼気迫るものがある.馬盥の場の梅枝・松緑の引っ込みには涙が出た.
愛宕山での幕が引かれた後も響き渡る光秀の哄笑が腑に落ちて素晴らしい.萬太郎の森蘭丸の口跡が見事だった.
男女道成寺は踊りの豊富さと言い衣装引き抜きやぶっ返しの見事さと言い,見どころ満点.海老蔵・菊五郎の華やかな美しさが團菊祭のトリを飾るに相応しい.見応えある充実の番組であった.
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2016/05/24

独断的映画感想文:まほろ駅前狂騒曲

日記:2016年5月某日
映画「まほろ駅前狂騒曲」を見る.1_2
2014年.監督:大森立嗣.
出演:瑛太(多田啓介),松田龍平(行天春彦),高良健吾(星良一),真木よう子(柏木亜沙子),本上まなみ(三峰凪子),奈良岡朋子(曾根田菊子),新井浩文(飯島幸三),三浦誠己(吉村刑事),古川雄輝(澤田刑事),横山幸汰(由良),岩崎未来(三峰はる),水澤紳吾(渡辺),大西信満(筒井).
2
多田便利軒シリーズの第2作.
不幸な事故で息子を失い離婚した多田啓介はまほろ駅前で便利屋を営業,一晩泊めてと言って転がり込んできた中学時代の同級生・行天春彦とコンビを組んで,3年目に入った.
行天の妻凪子は実はレズビアンで,行天の子はるを産んで彼とは離婚している.その凪子が米国への出張中はるを預かってくれと多田に依頼してきた.3
一方,無農薬野菜を売り出し中の宗教カルトとヤクザのトラブルにも,便利軒は巻き込まれ….
相変わらずの脱力系コンビと癖ある登場人物の絡みが独特のテンポで語られる,ゆるゆる映画.
今回は突如起こったバスジャック事件と発砲事件が重なってマジすぎる展開となるが,警察があまりにアホで最終的にゆるーいラストとなったので,めでたし.4
時々見てそのゆるさに浸りたい,ユニークなシリーズである.
★★★☆(★5個が満点)

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2016/05/21

独断的映画感想文:ハンガー・ゲーム FINAL:レボリューション

日記:2016年月某日
映画「ハンガー・ゲーム FINAL:レボリューション」を見る.1_2
2015年.監督:フランシス・ローレンス.
出演:ジェニファー・ローレンス(Katniss Everdeen),ジョシュ・ハッチャーソン(Peeta Mellark),リアム・ヘムズワース(Gale Hawthorne),ジュリアン・ムーア(President Alma Coin),サム・クラフリン(Finnick Odair),フィリップ・シーモア・ホフマン(Plutarch Heavensbee),ドナルド・サザーランド(President Snow),ナタリー・ドーマー(Cressida),エリザベス・バンクス(Effie Trinket),ジェナ・マローン(Johanna Mason),ウディ・ハレルソン(Haymitch Abernathy),エルデン・ヘンソン(Pollux),スタンリー・トゥッチ(Caesar Flickerman).3_2
この3部作シリーズの最終作の第2部である.
という訳で,作品世界に入り込むにはやはり第1作から見るべきだった,残念.
全体に話に無理な展開が多い.最後の総攻撃時に主人公が参加する特別部隊が,士気を鼓舞する為の映画撮影が目的と言いながら,結局独裁者スノーを暗殺する為の部隊となる過程や,その部隊が悪戦苦闘にも拘わらず目的を達せず,大統領官邸前で全滅に近い憂き目に遭う過程は,判りづらく受入難い.2_2
プロット総体は思ったより単純で,同様の設定があった古典SF(ロバート・シェクリイとか?)の方が大人向けだったように思う.
まあ最近流行るこの手の3部作は,どうしてもスター・ウォーズやロード・オブ・ザ・リング等と同様の構成になる様で,この作品も例外ではない.4_2
本作の魅力は主にジェニファー・ローレンスの好演と脇を固めるベテラン陣の怪演にあった様だ.
★★★☆(★5個が満点)
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独断的映画感想文:特捜部Q 檻の中の女

日記:2016年5月某日
映画「特捜部Q 檻の中の女」を見る.1
2013年.監督:ミケル・ノルガード.デンマーク映画.
出演:ニコライ・リー・コス(Carl Morck),ファレス・ファレス(Assad),ソニア・リクター(Merete Lynggaard),ミケル・ボー・フォルスゴー(Uffe Lynggaard),ソーレン・ピルマーク(Marcus Jacobsen),トロールス・リュービュー(Hardy Henningsen).2
カールは殺人課の刑事,ある事件の容疑者を追い詰めるが応援が来ず,チーム3人で踏み込んだところ容疑者は死んでいた.ところが背後から別人が発泡,部下1名は殉職,1名は全身不随となる重傷,自身も3ヶ月の重傷を負う.
復帰後は殺人課を解任され,特捜部Qという新設部署で未解決事件の資料チェックを命じられる.
助手のアサドと取りかかった事件は5年前の美人政治家ミラーデ失踪事件.フェリーからの投身自殺と片付けられた事件を調べ,その処理に違和感を持つカール.調べを進めるうち拉致の可能性を確信するが,当初の捜査官の妨害により,カール等は捜査の中止を命じられる….3
原作は北欧ミステリの傑作,どういう映画になったか興味津々だったが結果はまずまず.
謎解き自体は地味だが,この映画の魅力は拉致監禁の特異な残酷さと,カール・アサドのコンビの個性にある.
原作との対比で言えば,映画にはもう少しアサドの個性に関する描写(アサドはかなり苦労してきた外国人だが捜査の経験があるらしく,またユニークなユーモアの持ち主でもある)が欲しかった.
全体の描写も97分では尺がちょっと足りない.120分使って監禁状態や捜査の進展をもう少し丁寧に描写したら,どうだったろう.4
とは言え捜査ミステリとして充分な水準,オーソドックスな物語の進展が心地よい.見て損はなし.
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2016/05/19

独断的映画感想文:96時間 レクイエム

日記:2016年4月某日
映画「96時間 レクイエム」を見る.0
2015年.監督:オリヴィエ・メガトン.
出演:リーアム・ニーソン(Bryan Mills),ファムケ・ヤンセン(Lenore),マギー・グレイス(Kim),フォレスト・ウィテカー(Franck Dotzler),ダグレイ・スコット(Stuart St John),サム・スプルエル(Oleg),リーランド・オーサー(Sam).
娘キム,元妻レオノーラとそれぞれ独立ながら,穏やかな日々を暮らすブライアン.1
レオノーラは今の夫スチュアートとの不仲をほのめかすが,その数日後レオノーラの死体がブライアンの部屋で発見される.密告で急行した警察から逃れ,ブライアンは自分を罠に嵌めた相手を探すが,捜査主任のドッツラーも優れた捜査官だった.2
ブライアンとドッツラーの追いつ追われつのさなか,次第に実行犯の姿が見えてくる….
今回はヨーロッパ某国のギャング一族は絡んであらず(絡んでいたら国中が殲滅されてしまうところである),ブライアンの相手は米国内のロシアンマフィア.
例によって相手構わず他人の迷惑顧みずの破壊と殺しの強行捜査のお陰で,ハイウェイは大破壊(下手すると多数の死傷者が?),スーパー,立体駐車場は各1軒破壊し尽くされ,キムの大学は暫く使用不能の大混乱,自家用航空機と高級外車はポンコツにされ,ロシアンマフィアの死体の山が築かれる.4
事件解決後にドッツラーがブライアンを無罪放免にするのは,何かの間違いではないのか.
1,2作の緊張感に比べれば,ブライアンの追い詰められ方も緩いものだし,相手も小物で所詮ブライアンの敵ではない.おまけみたいな第3作でした.
★★★(★5個が満点)
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2016/05/18

独断的映画感想文:ホビット 決戦のゆくえ

日記:2016年4月某日
映画「ホビット 決戦のゆくえ」を見る.1
2014年.監督:ピーター・ジャクソン.
出演:マーティン・フリーマン(Bilbo Baggins),イアン・マッケラン(Gandalf),オーランド・ブルーム(Legolas),ルーク・エヴァンス(Bard),リチャード・アーミテージ(Thorin Oakenshield),エバンジェリン・リリー(Tauriel),ケン・ストット(Balin),ジェームズ・ネスビット(Bofur),エイダン・ターナー(Kili),ディーン・オゴーマン(Fili),ケイト・ブランシェット(Galadriel),(声)ベネディクト・カンバーバッチ(Smaug / Necromancer).5
このシリーズも最終作,物語の詳細は前2作を見てから時間も経ち,登場人物も多いので定かではない.
従って前半でガラドリエルとエルロンドがガンダルフを救いに来て,サルマンと共に幽鬼の騎士たちと戦うあたりは,敵味方関係が混乱して良く分からなかった.サルマンって冥王サウロンの手下の魔法使いじゃなかったんだっけ?
それはともかく,人間・ドワーフ・エルフとオークとの決戦やドワーフの勇士たちの物語はなかなかに感銘的で見応えがあった.2
「ロード・オブ・ザ・リング」に始まったこのシリーズも,ある世界観を確立し映画の1ジャンルとして成功したことでは,スター・ウォーズシリーズと並ぶ存在となったと言えよう.
映画の最後でここから「ロード・オブ・ザ・リング」が始まる,というシーンのビルボ・バギンズを演じるイアン・ホルムズが若々しく驚いた.撮影時80才を超えているはずである.4
★★★★(★5個で満点)
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2016/05/08

番外:独断的歌舞伎感想文 4月大歌舞伎夜の部:彦山権現誓助劔・幻想神空海

日記:2016年4月某日
4月大歌舞伎夜の部を見る.Kabukiza_201604ffl_063d083eb721b4cf
「一、彦山権現誓助劔(ひこさんごんげんちかいのすけだち) 杉坂墓所 毛谷村」配役:毛谷村六助(仁左衛門),お園(孝太郎),杣斧右衛門(彌十郎),微塵弾正実は京極内匠(歌六),お幸(東蔵).
高野山開創一二〇〇年記念,夢枕 獏 原作,戸部和久 脚本,齋藤雅文 演出.「新作歌舞伎:二、幻想神空海(げんそうしんくうかい) 沙門空海唐の国にて鬼と宴す」配役:海(染五郎),橘逸勢(松也),白龍(又五郎),黄鶴(彌十郎),楊貴妃(雀右衛門),丹翁(歌六),皇帝(幸四郎).
毛谷村は,仁左衛門の折り目正しく要所は迫力ある芝居に引き込まれる.お園の孝太郎が愛嬌があって素敵.杉坂墓所の上演は珍しいとのことだが,微塵弾正とのやり取りがあって物語の経緯がはっきりする.何より,終盤になって持ち込まれる斧右衛門の老母の死骸を見て六助が何を悟るのかが,明確となり,観客に親切だ.
幻想神空海は,見せ場は随所にある.円柱の林立した舞台空間は新作らしく好ましい.
しかし物語の筋が複雑で判りにくく,登場人物が大勢でとっ散らかって,印象が散漫となった.先の皇帝と楊貴妃を巡る物語が,何も化け猫騒動から始まらなくても良さそうな気がする.
せっかくの染五郎と松也も,只の狂言回しという感じが強く,一篇の主人公という迫力に欠けた.
劇中劇の娘義太夫を演じる柴のぶ・京蔵が達者で,このシーンは面白かった.
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2016/05/06

独断的映画感想文:ローン・サバイバー

日記:2016年4月某日
映画「ローン・サバイバー」を見る.0
2013年.監督:ピーター・バーグ.
出演:マーク・ウォールバーグ(Marcus Luttrell),テイラー・キッチュ(Michael Murphy),エミール・ハーシュ(Danny Dietz),ベン・フォスター(Matt 'Axe' Axelson),エリック・バナ(Erik Kristensen).
精強を誇る米海軍特殊部隊ネイビーシールズ,アフガニスタンに派遣された1隊はタリバンの司令官を奇襲して暗殺するべく,レッドウィング作戦を開始する.3
マーカス,マイク,ダニー,アクスの4人がまず偵察に入り標的を確認するが,山中で羊飼いの親子と遭遇してしまう.苦渋の決断で彼等を解放した4人は,まもなく100名を超すタリバン兵に包囲され,全滅の危機に直面する.
被弾しやむなく断崖からダイブする4名,岩に打ち付けられ木に激突し負傷しながら,なおも果敢に戦い続ける.しかし決死の無線連絡に応答して救援に来たチヌークヘリは,護衛のアパッチヘリ無しでホバリングしているところを撃墜されてしまう….4
実話に基づく物語.
本作で印象的なのは,圧倒的に不利な状況下で被弾し傷つきながらも,決して諦めず最後まで組織的戦闘を継続する,ネイビーシールズの精強な兵士たちである.彼等4名の個性も鮮明で,一人一人の最後は誠に印象的だ.1
一方映画の構成は1950年代のB級騎兵隊映画と変わるところはない.登場するのは騎兵隊と良いインディアン,悪いインディアン.戦闘シーンは感銘的だが,映画としては得るものは何もなかった.
★★★(★5個が満点)
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