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2016年6月に作成された記事

2016/06/18

独断的映画感想文:アメリカン・スナイパー

日記:2016年6月某日
映画「アメリカン・スナイパー」を見る.1
2014年.監督:クリント・イーストウッド.
出演:ブラッドリー・クーパー(Chris Kyle),シエナ・ミラー(Taya),ルーク・グライムス(Marc Lee),ジェイク・マクドーマン(Biggles).
先日見た「ローン・サバイバー」同様,米海軍特殊部隊ネイビーシールズ隊員の物語.
テキサスでロデオに明け暮れる生活を送っていたクリスは,1998年のアメリカ大使館爆破事件を期に海軍に志願,30才という年齢にも拘わらず海兵隊の特殊部隊ネイビーシールズ選抜試験を突破.タヤという伴侶にも恵まれるが,アメリカのイラク侵攻に際しイラク・ファルージャに派遣される.2_2
優秀な狙撃兵として仲間の援護に従事,多くの敵兵を殺し「伝説」と呼ばれる様になる….
映画は,クリスが繰り返しイラクに派遣され戦友の死を目の当たりにする事で,平穏な米国での家族との日常に違和感を持つ様になる状況を描く一方,アルカイダ側の名狙撃手ムスタファとの死闘を描く.
この映画のクリスは米国の国民的ヒーローとしてもて囃されたにも拘わらず,クリスを通じ戦争の悲劇を描いたのだと,監督:クリント・イーストウッドは言う.4
映画はクリス・カイルの自伝に基づいているのだ.
ここから先はネタバレになるが,当初の脚本は,このヒーローのハッピーエンドの物語として作成された.
ところが映画の製作が進行し始めた時点で,クリスは思いがけなくも退役軍人の一人と射撃訓練に出かけた先でこの男に射殺されてしまう.脚本家は未亡人タヤとの詳細なインタビューを行い,本作が誕生したのである.
監督は,クリスが愛国者のヒーローであるという米国社会の見方を否定することなく,クリスの苦悩と悲劇とを映画化することに成功していると思う.
3
見る人の立場の数だけ評価が生まれるタイプの映画だろうか.この監督らしい映画,良い作品である.
★★★★(★5個が満点)
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2016/06/05

独断的映画感想文:マエストロ!

日記:2016年6月某日
映画「マエストロ!」を見る.1
2015年.監督:小林聖太郎.
出演:松坂桃李(香坂真一),miwa(橘あまね),濱田マリ(谷ゆきえ),モロ師岡(鈴木稔),斉藤暁(一丁田薫),嶋田久作(島岡脩三),宮下順子(天道の妻・ハル),綾田俊樹(ドルチェのマスター),石井正則(オペラハウス館長),でんでん(金さん),松重豊(相馬宏明),西田敏行(天道徹三郎).3
不況の為スポンサーを失い解散となった名門中央交響楽団.
腕利きの楽団員が転職していく中,コンサートマスターの香坂は行き先が決まらず,失意の日々を送っていた.
ある日中央響の再結成を伝える電話が届く.集まった楽団員の前に現れた指揮者・天道は,経歴の知れない,しかし恐ろしい実力の持ち主だった.
型破りで辛辣なその指導に多くの楽団員はプロ意識をずたずたにされるが,楽団の実力は着実に上がっていった.しかし予定されたスポンサーが手を引くと言いだし,本番の実現は予断を許さない事態となる….4
コミックを原作とする音楽映画.
元来音楽映画は好きである.しかしこの映画には失望した.
「この世でいちばん美しいのは音楽だ」というテーマで作られている筈のこの映画で,何故この様に音楽を軽んじるのか.
映画の中でいちばん美しい音楽を演じたのはmiwaである.彼女がフルートで独奏する「未完成」の長い長いパートのシーンは胸に迫った.
しかしそれ以外の役者の音楽の演技は,酷いものだ.
音楽映画では役者と監督は演奏を演技で表現しなければならない.miwaに出来たそれが,他の役者には全く出来ていない.特に主役の松阪桃李とその父のバイオリンのシーンには失望した.2
音楽をもっと大事にしなければ,「この世でいちばん美しいのは音楽だ」という映画を作ることは不可能だ.
筋書きの荒唐無稽さにもつき合いかねる.見る価値なし.0点.
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2016/06/01

独断的映画感想文:めぐり逢わせのお弁当

日記:2016年5月某日
映画「めぐり逢わせのお弁当」を見る.1
2013年.監督:リテーシュ・バトラ.
出演:イルファーン・カーン(Saajan),ニムラト・カウル(Ila),ナワーズッディーン・シッディーキー(Shaikh(Saajan's Colleague)),デンジル・スミス(Mr.Shroff),バーラティー・アーチュレーカル(Mrs.Deshpande),ナクル・ヴァイド(Ila's Husband),ヤシュヴィ・プニート・ナーガル(Yashvi),リレット・デュベイ(Ila's Mother).
インドのムンバイ,通勤ラッシュで勤め人が出勤した後,各家庭からお弁当が集められ,独特のシステムで各職場に配達される.2
仕事一途の夫に美味しい弁当を空しく作り続けるIla,或る日の弁当がいつになく完食されていたのに吃驚する.一方,定年間際で屈託した日々を送るやもめのSaajan,弁当屋から届く味気ない弁当がいつになく美味しいのに吃驚する.
弁当配達人の届違いが起こったのである.
やがて間違いに気付いた両名は,弁当箱に入れた手紙で文通を始めるのだが….3
毎日弁当が届くという固有のリズムに乗って展開するドラマ,単なるほのぼのドラマと思っていたら,双方の人生の機微を描いた味わい深い物語であった.
Ilaの夫との葛藤や,姿の見えない階上に住む伯母さんとのユーモラスな交流,一方Saajanの方は,後任として採用された部下Shaikhとのつき合いや,亡くなった妻との思い出が描かれ,映画の世界はどんどん拡がっていく.
ラストシーンは想像を超えてシリアスな結果となっているが,後に余韻の残る映画.
4
Ilaを演じるニムラト・カウルの美しさは素晴らしい.夫は何故彼女をおいて浮気なぞするのか理解に苦しむほど.
ムンバイの街の様子も新鮮で,見て損はない映画.
★★★★)(★5個が満点).
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