独断的映画感想文:アメリカン・スナイパー
日記:2016年6月某日
映画「アメリカン・スナイパー」を見る.
2014年.監督:クリント・イーストウッド.
出演:ブラッドリー・クーパー(Chris Kyle),シエナ・ミラー(Taya),ルーク・グライムス(Marc Lee),ジェイク・マクドーマン(Biggles).
先日見た「ローン・サバイバー」同様,米海軍特殊部隊ネイビーシールズ隊員の物語.
テキサスでロデオに明け暮れる生活を送っていたクリスは,1998年のアメリカ大使館爆破事件を期に海軍に志願,30才という年齢にも拘わらず海兵隊の特殊部隊ネイビーシールズ選抜試験を突破.タヤという伴侶にも恵まれるが,アメリカのイラク侵攻に際しイラク・ファルージャに派遣される.
優秀な狙撃兵として仲間の援護に従事,多くの敵兵を殺し「伝説」と呼ばれる様になる….
映画は,クリスが繰り返しイラクに派遣され戦友の死を目の当たりにする事で,平穏な米国での家族との日常に違和感を持つ様になる状況を描く一方,アルカイダ側の名狙撃手ムスタファとの死闘を描く.
この映画のクリスは米国の国民的ヒーローとしてもて囃されたにも拘わらず,クリスを通じ戦争の悲劇を描いたのだと,監督:クリント・イーストウッドは言う.
映画はクリス・カイルの自伝に基づいているのだ.
ここから先はネタバレになるが,当初の脚本は,このヒーローのハッピーエンドの物語として作成された.
ところが映画の製作が進行し始めた時点で,クリスは思いがけなくも退役軍人の一人と射撃訓練に出かけた先でこの男に射殺されてしまう.脚本家は未亡人タヤとの詳細なインタビューを行い,本作が誕生したのである.
監督は,クリスが愛国者のヒーローであるという米国社会の見方を否定することなく,クリスの苦悩と悲劇とを映画化することに成功していると思う.
見る人の立場の数だけ評価が生まれるタイプの映画だろうか.この監督らしい映画,良い作品である.
★★★★(★5個が満点)
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