番外:独断的歌舞伎感想文 卅三間堂棟由来(さんじゅうさんげんどうむなぎのゆらい)
日記:2016年7月某日
歌舞伎「若竹笛躬・中邑阿契=作・山田庄一=補綴 卅三間堂棟由来(さんじゅうさんげんどうむなぎのゆらい)二幕三場」を見る.
国立劇場美術係=美術.序幕:紀州熊野山中鷹狩の場.二幕目:横曽根平太郎住家の場,木遣音頭の場.
出演:中村魁春,坂東秀調,中村歌女之丞,市村橘太郎,中村松江,坂東彌十郎.
鷹狩りに来た殿様の鷹が,柳の老木の梢に足ヒモが巻き付き立ち往生.殿様は柳の木を切り倒せと命じるが,老母と共に通りかかった平太が申し出て,見事矢で足ヒモを射切り,鷹を助ける.
殿様は面目を潰され後から家来に平太を討たせようとするが,柳の精の助けもあって散々に打ち破られ退散.するとお柳という美女が現れ平太親子をもてなし,平太はこのお柳と結婚してこの地に留まることになる.
このお柳は柳の精で,命を助けられたお礼に平太に仕えるのだが,緑丸という子まで出来て5年,白河院の命にて遂に柳生の木が伐られることになる….
異類婚礼譚の物語でプロットはまずまず,娘時代はともかくとして,平太の妻となったお柳の平太や子供への口説きは,魁春のいちばん良い所が出て味わい深い.
只この芝居には,お柳が正体を現してから衣装の引き抜きをしたり壁の田楽に消えたり,壁抜けをして現れたりというケレンが幾つかあるのだが,いずれも下手くそで興醒め,せっかくの良い題材なのに勿体ない.この点が残念なお芝居だった.
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