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2016年11月に作成された記事

2016/11/27

番外:独断的歌舞伎感想文 吉例顔見世大歌舞伎 夜の部:御浜御殿綱豊卿/口上/盛綱陣屋/芝翫奴

日記:2016年11月某日
「吉例顔見世大歌舞伎」を見る.Kabukiza_201611_moritsuna_big
夜の部 真山青果 作・真山美保 演出「一、元禄忠臣蔵(げんろくちゅうしんぐら) 御浜御殿綱豊卿」.出演:徳川綱豊卿(仁左衛門),富森助右衛門(染五郎),中臈お喜世(梅枝),中臈お古宇(宗之助),津久井九太夫(橘太郎),小谷甚内(松之助),上臈浦尾(竹三郎),御祐筆江島(時蔵),新井勘解由(左團次).「八代目中村芝翫 四代目中村橋之助 三代目中村福之助 四代目中村歌之助 襲名披露 口上(こうじょう)」.橋之助改め芝翫,国生改め橋之助,宗生改め福之助,宜生改め歌之助.藤十郎,幹部俳優出演.「三、近江源氏先陣館 盛綱陣屋(もりつなじんや)」.出演:佐々木盛綱(橋之助改め芝翫),篝火(時蔵),伊吹藤太(鴈治郎),早瀬(扇雀),信楽太郎(染五郎),四天王(萬太郎),同(竹松),同(尾上右近),同(廣太郎),小四郎(左近),古郡新左衛門(秀調),竹下孫八(彌十郎),北條時政(彦三郎),微妙(秀太郎),和田兵衛秀盛(幸四郎).「四、芝翫奴(しかんやっこ)」.出演:奴駒平(国生改め橋之助).
4時過ぎに歌舞伎座に着いた時にはどっと昼の部の客がはき出されているところ.4時半には夜の部開始である.
この夜の部は役者は素晴らしいが芝居は気にくわない.
まず真山青果の元禄忠臣蔵・御浜御殿は,武士はこうあるべし・大石と赤穂浪士はこうあるべしとの説教が鬱陶しい.
しかしその説教をするのが片岡仁左衛門となると話は別,最後まで魅了されたが,真山の説教は到底受け入れられない.
口上(彌十郎,左團次等が味を出している)をはさんで盛綱陣屋.こちらは二時間の上演はいささか冗長,もう少しテンポを上げられないものか.終盤の盛綱が小四郎,微妙,篝火,早瀬に対し心情を吐露する場面が,さすがに新芝翫の迫力がうかがわれ素晴らしかった.
両方とも役者は良いが芝居はいまいちという印象.
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番外:独断的歌舞伎感想文 八代目中村芝翫襲名披露 十月大歌舞伎:初帆上成駒宝船/女暫/浮塒鷗/幡随長兵衛

日記:2016年10月某日
歌舞伎座で「八代目中村芝翫襲名披露 芸術祭十月大歌舞伎」を見る.Banzuichobei_poster1
「一、初帆上成駒宝船(ほあげていおうたからぶね)」.出演:橋彦(国生改め橋之助),福彦(宗生改め福之助),歌彦(宜生改め歌之助).「二、女暫(おんなしばらく)」.出演:巴御前(七之助),舞台番(松緑),轟坊震斎(松也),手塚太郎(歌昇),紅梅姫(尾上右近),女鯰若菜(児太郎),局唐糸(芝喜松改め梅花),東条八郎(吉之丞),江田源三(亀寿),猪俣平六(亀三郎),成田五郎(男女蔵),清水冠者義高(権十郎),蒲冠者範頼(又五郎).「三、お染 久松 浮塒鷗(うきねのともどり)」.出演:女猿曳(菊之助),お染(児太郎).久松(松也).河竹黙阿弥 作「四、極付 幡随長兵衛(きわめつきばんずいちょうべえ)「公平法問諍」」.出演:幡随院長兵衛(橋之助改め芝翫),女房お時(雀右衛門),唐犬権兵衛(又五郎),伊予守源頼義(七之助),極楽十三(国生改め橋之助),雷重五郎(宗生改め福之助),神田弥吉(宜生改め歌之助),下女およし(芝喜松改め梅花),坂田公平(亀三郎),出尻清兵衛(松緑),近藤登之助(東蔵),水野十郎左衛門(菊五郎).
最初の踊りは清新な若者3名の溌剌とした踊り,見て爽やかな達者な踊りだった.
女暫は七之助の思いがけない大音声にまずは吃驚,松也の轟坊は意外な配役,舞台番の松緑が,これは難しい役なのだそうだがうまくこなして儲け役.
浮塒鷗は熟睡して何も判らず.舞台の緊張感が伝わりませんでした.
芝翫の幡随長兵衛はさすがに迫力ある舞台,この人のべらんめえは何言っているか判らないのだが,気迫でカバー.
いつも思うのだが,この芝居終盤は,水野の屋敷を十重二十重に取り囲む無言の町衆(全員松明持っていたらなお良いね)というシーンでは如何であろうか?
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2016/11/20

独断的映画感想文:女の子ものがたり

日記:2016年10月某日
映画「女の子ものがたり」を見る.0
2009年.監督:森岡利行.
出演:深津絵里(高原菜津美),大後寿々花(なつみ(高校生時代)),福士誠治(財前静生),波瑠(きみこ(高校生時代)),高山侑子(みさ(高校生時代)),森迫永依(なつみ(小学生時代)),三吉彩花(きみこ(小学生時代)),佐藤初(みさ(小学生時代)),大東俊介(たか),佐野和真(しん),賀来賢人(片桐俊夫),落合恭子(あき),板尾創路(高原房蔵(なつみの父)),奥貫薫(高原光代(なつみの母)),風吹ジュン(藤井里美(きみこの母)).
スランプ中の漫画家・高原菜津美.1
昼間からビールを飲みソファでごろ寝する菜津美に,編集者の財前は「先生,友達いないでしょう」と言う.
子供の頃を回想する菜津美,引っ越して新しい町に住んだ菜津美は,きいちゃんとみさちゃんという友達が出来た.3人とも家が貧乏だったが,高校生になってもそのつき合いは続いていた.
しかし,地元のヤンキーに憧れDVで青あざが絶えない彼女たちに,菜津美はいつか違和感を持つ様になる.ある時,菜津美ときいちゃんは最悪の衝突をし,その後菜津美は東京に出て漫画家となったのだが….
西原理恵子の自伝的小説の映画化.2
思春期に自分の視点からのみ見ていた結果生じた友人との葛藤が,大人になって故郷を再訪した菜津美の前に,別なかたちで見えてくる.
どうしようもなく衝突し,別れ別れになっていく思春期の女の子たちの姿には,涙を禁じ得なかった.3
7年前の作品だが,菜津美役の大後寿々花,きみこ役(小学生)で4年後に「旅立ちの島唄〜十五の春〜」の主演をする三吉彩花,同じくきみこ役(高校生)の波瑠が,流石に存在感がある.
愛媛県大洲市肱川沿いのロケーションが美しい.見て損はなし.
★★★☆(★5個が満点)
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2016/11/12

独断的映画感想文:ラン・オールナイト

日記:2016年10月某日
映画「ラン・オールナイト」を見る.1
2015年.監督:ジャウム・コレット=セラ.
出演:リーアム・ニーソン(Jimmy Conlon),ジョエル・キナマン(Mike Conlon),ビンセント・ドノフリオ(Detective Harding),ニック・ノルティ,ブルース・マッギル(Pat Mullen),ジェネシス・ロドリゲス(Gabriela Conlon),コモン(Andrew Price),エド・ハリス(Shawn Maguire).
ジミーはブルックリン・マフィアの殺し屋,17人もの殺しをしてきたが,今はその悪夢に苛まれ酒浸りの日々.
2
マフィアのボス・ショーンとは盟友だが,その息子ダニーは出来の悪いヤク中,アルバニア・マフィアとのヤクの取引契約を父に反対され,既に使い込んだ契約金返済に窮したダニーはアルバニア・マフィアを射殺,これを偶然目撃したマイクはジミーの絶縁状態の息子だった.
ダニーはマイクを襲撃,居合わせたジミーはダニーを射殺する.
激怒したショーンは部下を招集すると共に,マイクが全ての犯人である様に工作し買収した警官も動員,ジミー父子は全警察とマフィアから追われる身となるが….4
息子に疎まれながら共に絶体絶命の窮地に陥ったジミー父子,彼等がマフィアの裏をかきながら逃避行を重ねる中盤はなかなかにスリリングだ.
頼りに出来るのは,買収されていないことが確実な,長年ジミーを追ってきた殺人課刑事のみという設定も面白い.
終盤,追い詰められた挙げ句に決然と逆襲に転じるジミーの迫力・凄みは流石である.
このジミーと対決するマフィアの殺し屋・プライスも印象的.テンポ良く緊張感を持って進行するサスペンス,見て損はなし.
★★★★(★5個が満点)
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2016/11/10

独断的映画感想文:ターミネーター 新起動/ジェニシス

日記:2016年10月某日
映画「ターミネーター 新起動/ジェニシス」をみる.1
2015年.監督:アラン・テイラー.
出演:アーノルド・シュワルツェネッガー(T-800),エミリア・クラーク(Sarah Connor),ジェイソン・クラーク(John Connor),ジェイ・コートニー(Kyle Reese),イ・ビョンホン(T-1000),J・K・シモンズ(O'Brien),マット・スミス(Alex),コートニー・B・ヴァンス(Miles Dyson),マイケル・グラディス(Lt. Matias),サンドリーヌ・ホルト(Detective Cheung),オットー・サンチェス(Detective Timmons).3
後で「審判の日」と呼ばれた1997年のある日に意識に目覚め,人類を核戦争で壊滅させた人工知能.それが指揮する機械軍はしかし,2029年に至り人類抵抗軍により殲滅されようとしていた.
機械軍は抵抗軍の指導者ジョン・コナーの母サラ・コナーを殺害するべく,1984年の地球にターミネーターを送り込む.それを察知した抵抗軍は,サラ・コナー殺害を阻止すべくジョンの右腕カイルを1984年に送り込んだ.
1984年に到着したカイルはT-1000型ターミネーターに襲われるが,サラ・コナーと彼女が「おじさん」と呼ぶT-800型ターミネーターに救われる.2
歴史は書き換えられパラレルワールドの錯綜の中,サラとカイルはその決着をつけようと,「審判の日」に人工知能の暴走を阻止するべく1997年に向かうが….
もとの素材の面白さでここまで来たシリーズだが,パラレルワールドで何でもありということになると,話しの収拾がつかなくなるのは致し方ない.4
サラとカイルが1984年から1997年に飛ぶと,ロボットであるが故に年をとらない「おじさん」が装備を準備して待ち構えている辺りは面白いが,パラレルワールドの(映画から)捨て置かれた世界ではどんな歴史が刻まれるのか,この映画の穴ぼこが意識されてしまうところである.
シリーズを続けようとして余り無理な理屈付はしない方が良い.この映画の基本コンセプトとキャストは,それだけで十分魅力的なのだから.
★★★☆(★5個が満点)
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2016/11/08

番外:独断的歌舞伎感想文 9月大歌舞伎秀山祭昼の部 碁盤忠信/太刀盗人/一條大蔵譚

日記:2016年9月某日
歌舞伎座で「9月大歌舞伎秀山祭昼の部」を見る.Ichijoohkura_poster
演目は,「右田寅彦 作 松岡亮 補綴 一、碁盤忠信(ごばんただのぶ)」.出演:佐藤忠信(染五郎),塩梅よしのお勘実は呉羽の内侍(菊之助),右平太(歌昇),左源次(萬太郎),万寿姫(新悟),三郎吾(隼人),小車の霊(児太郎),浮橋(宗之助),壬生の小猿(桂三),摺針太郎(由次郎),宇都宮弾正(亀鶴),江間義時(松江),番場の忠太(亀蔵),横川覚範(松緑),小柴入道浄雲(歌六).「岡村柿紅 作 二、太刀盗人(たちぬすびと)」.出演:すっぱの九郎兵衛(又五郎),田舎者万兵衛(錦之助),従者藤内(種之助),目代丁字左衛門(彌十郎).「三、一條大蔵譚(いちじょうおおくらものがたり) 檜垣 奥殿」.三代目中村吉之丞襲名披露.出演:一條大蔵長成(吉右衛門),吉岡鬼次郎(菊之助),お京(梅枝),八剣勘解由(吉之助改め吉之丞),鳴瀬(京妙),茶亭与一(橘三郎),常盤御前(魁春).
碁盤忠信は話が滅茶苦茶で良く判らない.
冒頭の黙りなどは,出てくる8名ほどのうち物語に関係するのは染五郎・隼人・菊之助くらいなもので,その菊之助の塩梅よしのお勘も,話の本筋には何の関わりもない人物.
染五郎の荒事もいまいちであった.
太刀盗人はいずれも踊りの達者で,見て気持ちが良い.最後にまんまとすっぱが太刀を持ち逃げしていくのも傑作.錦之助も又五郎も良い感じに年を重ねている.
一条大蔵譚は吉右衛門が至芸の演技,前半でお京の舞を見る場面での天真爛漫な阿呆ぶりが,終盤で勘解由を誅殺した後またもとの阿呆に戻る時には,悲哀に満ちた阿呆ぶりに見えてくるのが印象的である.
魁春の常磐御前,京妙の鳴瀬も味わい深かった.中村柴のぶも久しぶりに見て満足.
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番外:独断的歌舞伎感想文 秀山祭9月大歌舞伎 妹背川婦女庭訓 吉野川

日記:2016年9月某日
歌舞伎「妹背川婦女庭訓 吉野川」を見る.Yoshinogawa_poster
出演:大判事清澄(吉右衛門),久我之助(染五郎),腰元桔梗(梅枝),腰元小菊(萬太郎),雛鳥(菊之助),太宰後室定高(玉三郎).
上手・背山の大判事別邸と下手・妹山の定高の家が,交互に障子が開けられそこでのドラマを進めて行く.
また両花道を吉右衛門・玉三郎が進んできて客席越しに声を掛け合う.
こういう構成で舞台が進行するが,途中からは上手・下手はシンクロして共に進行するようになり,最後には声を掛け合い同時進行の舞台となって終了する.観客は吉野川の両岸を俯瞰する立場で舞台を眺めるという,独特な舞台構成が面白い.
大悲劇であり,愛し合う若い男女を,それぞれの父と母が片や切腹させ片や首を打つという,凄惨な結末に終わる物語だが,その悲哀の表現が素晴らしい.
台詞の途切れる場が多く無言の芝居が続くが,張り詰めた緊張感で隙を感じさせない.
最後の場面,今や息子・娘を(死後とは言え)結婚させた大判事と定高が,二人の首を手に見据えるのは,これから共に向かおうとする蘇我入鹿邸への道であろう.
吉右衛門・玉三郎の渾身の演技を満喫した.演ずるのは非常に難しいだろうと思うが,見て良かった.
腰元を演じた梅枝も素晴らしかった.体型から言って,玉三郎の定高には梅枝の雛鳥を当ててはどうだったのだろう.
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