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2016年12月に作成された記事

2016/12/31

独断的映画感想文:この世界の片隅に

日記:2016年12月6日
テアトル東京で映画「この世界の片隅に」を見る.0
2016年.監督:片渕須直.原作:こうの史代,企画:丸山正雄,プロデューサー:真木太郎.
出演(声):のん(北條すず(旧姓:浦野)),尾身美詞(黒村径子),細谷佳正(北條周作),稲葉菜月(黒村晴美),牛山茂(北條円太郎),新谷真弓(北條サン).3_2
昭和10年,北条すず10歳の時から始まる物語.
広島市江波で海苔梳きを営む北条家の長女すずは,自らぼーっとしたところがあると言う心優しい絵の上手な子供.両親,祖母,兄妹と共にすくすくと育つ.
19歳の時,幼い頃出会って以来彼女を想っていた北条周作に結婚を申し込まれ,呉市郊外の北条家に嫁ぐ.戦時下で青年男子が招集され,物資がどんどん無くなっていく中,嫁として懸命の働きを続ける.
聯合艦隊の拠点である呉には空襲が集中し,周囲の人々は次々に戦傷に倒れ,やがてすず自身も義姉の娘・晴美と共に,義父を見舞いに行った広島で空爆に会う….2_2
素晴らしい映画である.
戦時下の市民の生活を総体としてここまでリアルに描くことができたのは,アニメーションならではというのは,逆説的だが真実である.
戦時下の市井の暮らしは,人々の働き方は,こうだったのかと様々な場面で納得がいく.戦時下の市民をどういう悲劇がどのように襲うのかという描写も身に迫るものだ.
のん始め声優陣もしっかりした仕事ぶり.
リアルな描写の一方,アニメらしいユーモアも随所にある.何も考えずに呉軍港の軍艦を写生していたすずが,憲兵に「間諜」と疑われ散々叱責される場面,同席していた義母・義姉が真っ赤な顔をして震えていたのは,余りに間抜けで居丈高な憲兵の説教に笑うのを必死に堪えていたからだというシーンが可笑しい.
日経ビジネスオンラインの記事(映画「この世界の片隅に」に勝算はあった?)によると,この映画は2010年に構想が生まれ,2012年に製作発表.2015年にパイロットフィルムを作成する資金を得る為クラウドファンディングを行い,同年パイロットフィルム完成.5
このパイロットフィルムの内容とクラウドファンディングの成功から資金が集まり,今回の完成に至ったと言う.そういう経緯も素晴らしい.
この原作者のコミックの映画化は,「夕凪の街 桜の国」以来2作目.原作者の力も大いに感じる映画の出来であった.
★★★★☆(★5個が満点)
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独断的映画感想文:蜜のあわれ

日記:2016年12月某日
映画「蜜のあわれ」を見る.
2016年.監督:石井岳龍.1
出演:二階堂ふみ(赤子),大杉漣(老作家),真木よう子(ゆり子),高良健吾(芥川龍之介),永瀬正敏(金魚売りの男),韓英恵(老作家の愛人).
赤子は金魚である.老作家の妄想の中で美しい少女になっている.
老作家はなお執筆活動や講演活動を続けているが,年を重ねても性欲は相変わらず.3
そういう老作家の生活には,赤子を始め12年前に死んだかっての文学上の教え子・ゆり子の幽霊や現実の愛人が出入りしてなかなか忙しい….
老人のエロい妄想というテーマは,自身が高齢者となった今もどうもぴんと来ない.
老作家を演じる大杉漣という俳優は,映画にさえ出なければ好きな俳優なのだが,主演となると持て余す僕にとっては苦手な俳優.2
という訳で映画自体は退屈なまま終わってしまった.
二階堂ふみのコケティッシュな魅力は確かにあるが,こういう映画で老人の妄想の対象として鑑賞用のヌードを披露するのは,どうも気の毒である.
韓英恵の扱いも酷いもので,女優受難の映画と言わざるを得ない.見るんじゃなかった.4
★★(★5個が満点)
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2016/12/18

独断的映画感想文:怒り

日記:2016年12月某日
映画「怒り」を見る.
1_2
2016年.監督:李相日.
出演:渡辺謙(槙洋平),森山未來(田中信吾),松山ケンイチ(田代哲也),綾野剛(大西直人),広瀬すず(小宮山泉),佐久本宝(知念辰哉),ピエール瀧(南條邦久),三浦貴大(北見壮介),高畑充希(薫),原日出子(藤田貴子),池脇千鶴(明日香),宮﨑あおい(槙愛子),妻夫木聡(藤田優馬).
2_2
八王子の住宅街で夫婦が惨殺されて1年,指名手配された犯人は未だ捕まらない.
千葉の漁港で働く槙洋平の娘愛子は家出先から連れ戻されたが,彼女の不在中に父が雇ったバイトの田代と愛し合うようになる.その田代は八王子事件の逃走犯に酷似していた.
3_2
ホスピス入院中の母を持つ藤田優馬は心優しいゲイ,たまたま出会った大西直人と愛し合い,家に連れ帰って共に暮らすようになる.
しかし直人の前歴は不詳,直人は八王子事件逃走犯の整形後の顔と酷似していた.
本土から沖縄に母とやって来た小宮山泉は,友人の知念辰哉と訪れた無人島の廃墟で暮らす田中信吾と出会う.本音で話せる田中に心を許す泉だったが,辰哉と出かけた那覇で事件に巻き込まれる….
4_2
田代,大西,田中の3名が八王子事件の逃走犯を疑われるというミステリーだが,3つの物語には何の関連性もない.その点はいささか残念だが,俳優陣は誠に見応えあり.
若手がおしなべて良いが,特に短い出番ながら強烈な存在感だったのは高畑允希.彼女が優馬と語り合うシーンには胸を打たれた.5_2
宮崎あおいの純情,綾野剛のはかなさ,広瀬すずの怒りは,いずれも期待通りの出来.3つの物語にはそれぞれ愛があり裏切りがある.その中から生まれる怒り.
映画はヘビーだが,圧倒的な演技陣の迫力はかけがえのないものだ.
★★★★(★5個が満点)
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独断的映画感想文:君の名は。

日記:2016年11月某日
映画「君の名は。」を見る.
2016年.監督・原作・脚本:新海誠.1
出演(声):神木隆之介(立花瀧),上白石萌音(宮水三葉),成田凌(勅使河原克彦),悠木碧(名取早耶香),島崎信長(藤井司),石川界人(高木真太),谷花音(宮水四葉),長澤まさみ(奥寺ミキ),市原悦子(宮水一葉).
宮水三葉は飛騨の山村の高校生.宮司の娘だが母は死去,父は家を出て町長をしており,祖母の一葉と妹の四葉との3人暮らし.2
立花瀧は東京都心の高校生,父との二人暮らしでバイトに精出す日々.
ところがこの二人が互いの体と心が入れ替わる現象が突如発生する.最初は途惑った二人だが,週に数回起こる現象に次第に慣れ,互いの身に起こったことを相手のスマホに記入して情報交換しつつ,次第に相手への理解を深めていくが,ある事件が彼等の身に迫っていた….3
大変美しいアニメーションである.音楽も素晴らしい.時空の捻れを軸としたプロットも良く考えられており,ファンタジーとして素晴らしい出来上がりである.
但し,両名が入れ替わった時に当然気がつくべきところが無視されている点は,ちょっと無理をし過ぎであると感じたし,ラストシーンは別のやり方もあったろうと思わせる.4
一方,組紐の受け渡しのエピソードはこのプロットをうまく生かしていた.見応えある作品.
★★★☆(★5こが満点)
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2016/12/13

独断的映画感想文:リップヴァンウィンクルの花嫁

日記:2016年11月某日
映画「リップヴァンウィンクルの花嫁」を見る.
2016年.監督:岩井俊二.
出演:黒木華(皆川七海),綾野剛(安室行舛),Cocco(里中真白),原日出子(鶴岡カヤ子),地曵豪(鶴岡鉄也),毬谷友子(皆川晴海),和田聰宏(高嶋優人),佐生有語(滑),夏目ナナ(恒吉冴子),金田明夫(皆川博徳),りりィ(里中珠代).1
世間知らずで少し天然の皆川七海は,SNSで交際が始まった鶴岡哲也と結婚することになる.
しっかりとしているらしい鶴岡家に比べ,自身の両親は離婚,母親は若い男と駆け落ちしているという七海は,友人に紹介された安室という便利屋に依頼し,代理親族の手配を依頼する.6
ぎごちない新婚生活を始める七海,ところが夫の浮気疑惑が発生,浮気相手の彼氏と名乗る人物にホテルに呼び出され,七海は窮地を安室に救われる.しかし義母には逆に七海が浮気をしていると非難され,七海は離婚を強いられ家から追い出される.
七海は安室の紹介で,空き家の大邸宅のメイドとして里中真白という女性と共に働き始めるが….5
岩井監督らしい長尺の映画.黒木華,綾野剛,Cocco,りりぃ(これが遺作かしら)等の演技がじっくり楽しめる.
ことに真白が登場してから徐々に盛り上がっていく面白さは素晴らしい.真白の写真を前に黒木華,綾野剛,りりぃが顔を揃える終盤のシーンは心に残る.3
★★★★☆(★5個が満点)
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2016/12/12

独断的映画感想文:ブリッジ・オブ・スパイ

日記:2016年11月某日
映画「ブリッジ・オブ・スパイ」を見る.1
2015年.監督:スティーヴン・スピルバーグ.
出演:トム・ハンクス(James Donovan),ピーター・マクロビー(Allen Dulles),アラン・アルダ(Thomas Watters),イヴ・ヒューソン(Jan Donovan),エイミー・ライアン(Mary Donovan),オースティン・ストウェル(Francis Gary Powers),マーク・ライランス(Rudolf Abel),ゼバスチャン・コッホ(Wolfgang Vogel),スコット・シェパード(Hoffman),ウィル・ロジャース(Frederic Pryor).
逮捕されたソ連のスパイ:アベルを弁護する為,かってニュルンベルグ裁判の検事補を勤めたドノヴァンが指名される.
不本意ながら弁護人となったドノヴァンだが,誠実な人柄からアベルの捜査過程の不備を批判,反共・反ソの嵐の中にあった米国世論の非難を一身に浴びることになる.
陪審の有罪は動かせなかったが,判事はドノヴァンの勧めを入れ,将来のスパイ交換に供え死刑判決を避けた.2
一方CIAはU-2機によるスパイ撮影をソ連領内で行うが,同期は撃墜され操縦士パワーズは捕虜となる.更にベルリンの壁が構築され,東側に取り残された米国学生プライヤーズが逮捕される.
CIAはドノヴァンに,パワーズとアベルの交換交渉を依頼する….
1960年代前後の冷戦時のスパイ合戦における実話に基づく映画.3
ドノヴァンのタフな交渉力と原則的な考え方,そして相手の出方を読み切って勝負を賭ける決断力が印象的.
この人は後のキューバとの交渉でも功績を挙げたというから,交渉者としての能力は傑出していたのだろう.東ベルリンの路上で不良に取り囲まれ,ドイツ語が分からないのにコートを取られただけで道案内して貰って何とか脱出したシーンも,その片鱗というべきか.
ソ連とその衛星国東ドイツの政治体制の理解もさることながら,実際の交渉に出てくる人物とその周辺にいるスタッフの内面を読みとり利用する力も,交渉力の内だということが良く判った.
ソ連スパイ・アベルを演じたマーク・ライランスの存在感も素晴らしい.4
いざ交換という時,アベルはドノヴァンに感謝の言葉を述べる.ドノヴァンがアベルに,ソ連に帰った後どのように処遇されると思うか聞くと,アベルは淡々と「抱擁で迎えるか只車に乗せるかで,処遇は判る」と答える.国境を越えたアベルの様子をじっと見送るドノヴァンの表情が,印象的だ.
★★★★☆(★5個が満点)
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2016/12/11

番外:独断的歌舞伎感想文 吉例顔見せ大歌舞伎 昼の部 四季三葉草/毛抜/祝勢揃壽連獅子/加賀鳶

日記:2016年11月某日
歌舞伎座で「吉例顔見せ大歌舞伎 昼の部」を見る.Img_32472
「一、四季三葉草(しきさんばそう)」.出演:翁(梅玉),千歳(扇雀),三番叟(鴈治郎).「二、歌舞伎十八番の内 毛抜(けぬき)」.出演:粂寺弾正(染五郎),秦秀太郎(松也),腰元巻絹(梅枝),小野春風(萬太郎),八剣数馬(廣太郎),錦の前(児太郎),小原万兵衛(亀鶴),小野左衛門春道(門之助),秦民部(高麗蔵),八剣玄蕃(彌十郎).河竹黙阿弥 原作より 今井豊茂 脚本「三、祝勢揃壽連獅子(せいぞろいことぶきれんじし)」.出演:狂言師後に親獅子の精(橋之助改め芝翫),狂言師後に仔獅子の精(国生改め橋之助),狂言師後に仔獅子の精(宗生改め福之助),狂言師後に仔獅子の精(宜生改め歌之助),長楽坊(萬太郎),萬年坊(尾上右近),昌光上人(梅玉),慶雲阿闍梨(仁左衛門),文殊菩薩(藤十郎). 河竹黙阿弥 作「四、盲長屋梅加賀鳶(加賀鳶(かがとび)) 本郷木戸前勢揃いより 赤門捕物まで」.出演:天神町梅吉/竹垣道玄(幸四郎),女按摩お兼(秀太郎),春木町巳之助(染五郎),魁勇次(松也),虎屋竹五郎(巳之助),磐石石松(尾上右近),お朝(児太郎),数珠玉房吉(国生改め橋之助),御守殿門次(宗生改め福之助),昼ッ子尾之吉(宜生改め歌之助),道玄女房おせつ(芝喜松改め梅花),おつめ婆(歌女之丞),伊勢屋与兵衛(錦吾),金助町兼五郎(男女蔵),妻恋音吉(松江),天狗杉松(亀蔵),御神輿弥太郎(友右衛門),雷五郎次(左團次),日蔭町松蔵(梅玉).
三葉草はベテランによる格調高い舞踊,中でも鴈次郎の三番叟がダイナミックな踊りで印象的だった.
毛抜きは染五郎,正月に見た巳之助の方が荒々しく清新であった.
連獅子はさすがに4名の成駒屋の踊りが群舞の様相となり大迫力,またその間をつなぐ右近・萬太郎の踊りが達者で素晴らしい.この部で一番の出来.
加賀鳶は勢揃いでの染五郎始め鳶たちの名乗りが,巳之助以外は声が小さくかつ江戸っ子らしからぬもごもごしたもので全く良くない.劇の殆どを爆睡して過ごす.
という訳で今回は芝居より踊りが素敵だった,僕にとっては珍しい歌舞伎.
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2016/12/07

独断的映画感想文:ブラック・スキャンダル

日記:2016年11月某日
映画「ブラック・スキャンダル」を見る.1_2
20125年.監督:スコット・クーパー.
出演:ジョニー・デップ(James 'Whitey' Bulger),ジョエル・エドガートン(John Connolly),ベネディクト・カンバーバッチ(Billy Bulger),ロリー・コクレイン(Steve Flemmi),ジェシー・プレモンス(Kevin Weeks),デビッド・ハーバー(John Morris),ダコタ・ジョンソン(Lindsey Cyr),ジュリアンヌ・ニコルソン(Marianne Connolly),ケビン・ベーコン(Charles McGuire),コリー・ストール(Fred Wyshak),ピーター・サースガード(Brian Halloran),アダム・スコット(Robert Fitzpatrick),ジュノー・テンプル(Deborah Hussey).4
南ボストンにシマを持つアイルランド系のギャング,ジミー・バルジャー.弟のビリーが上院議員に当選,その親友でジミーを畏敬するジョンがFBI捜査官となって地元に戻ってくる.
ジョンは,北ボストンのイタリアマフィア撲滅の為にジミーを情報屋として利用するとし,ジミーの悪行に目をつぶる一方,ジミーの情報でマフィアを壊滅させる.3_2
一気に勢力を拡大したジミーは,対立するものを容赦なく排除していく.物語はジミーの犯罪を立件する為に,司法取引に応じたジミーの腹心達の証言というかたちで経年的に綴られていく….
ジミーの情け容赦のない殺人が際立つ映画である.
腹心達が司法取引に応じるのも無理はないと思わせる,惨い殺人シーンの連続に胸が悪くなる.その点で一般のギャング映画に見られるようなギャングへの感情移入が,全くあり得ない映画だ.2_3
そのジミーを演じるジョニー・デップが,逆説的だが冷たい魅力充分.実際のジミーは65才で犯罪が露見したあと16年間逃亡し,81才で逮捕された.たいした活力である.
★★★☆(★5個が満点)
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独断的映画感想文:マイ・インターン

日記:2016年11月某日
映画「マイ・インターン」を見る.1
2015年.監督:ナンシー・マイヤーズ.
出演:ロバート・デ・ニーロ(Ben),アン・ハサウェイ(Jules),レネ・ルッソ(Fiona),アダム・ディバイン(Jason),ザック・パールマン(Davis),シリア・ウェストン(Doris).
ベンは3年半前に妻を亡くした70才の男性.40年の印刷会社勤務後定年退職した彼は,悠々自適の生活に飽き足らず,アパレルサイトのシニアインターンに応募し採用される.2
社長のジュールズは,1年半で会社を立ち上げ今や220名の従業員を率いるキャリアウーマン.
ジュールズ直属に配属されたベンは,何事にも経験豊富な力量を見せ,ジュールズの公私にわたる相談役になる.
折りしも会社は,ジュールズ一人に頼った企業の在り方に不安を覚えた投資家から,外部からのCEOの採用を勧告されるが….3
魅力的な企業家ジュールズとシニアインターン・ベンとの心の交流を描くコメディ.
両名を演じる俳優の力量は確か,脚本もよく練られ,身の丈サイズの物語ながら実にスムースに映画に引き込まれる.
アパレルサイトの若手社員たちも,もっと尖った人々かと思いきやリラックスした素敵な若者たちで,映画に余計な緊張感を持ち込まない.観客は安心してアン・ハサウェイとデ・ニーロの魅力を愉しむことが出来る.良い映画である.
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2016/12/06

独断的映画感想文:画家と庭師とカンパーニュ

日記:2016年11月某日
映画「画家と庭師とカンパーニュ」を見る.1
2007年.監督:ジャン・ベッケル.
出演:ダニエル・オートゥイユ(Le peintre),ジャン=ピエール・ダルッサン(Le jardiniere),ファニー・コットンソン(Helene),アレクシア・バルリエ(Magda),ヒアム・アッバス(La femme),エロディ・ナヴァール(Carole).
バイクでとある田舎屋を訪れる男,フランスの国鉄を勤め上げ,リタイアした今は庭師をしている.
今日は庭師募集の広告を見てやって来たのだ.3
田舎屋にいた男はパリで活躍する画家,絵は売れているがそれは芸術には程遠いと思っている.浮気性でモデルと寝てしまう為妻からは離婚を迫られ,別居して故郷に引っ越してきた.
ところが画家と庭師は幼友達(悪友と言った方が良い)と判り,久闊を叙して友情が復活する.
友人のお陰ですっかり田舎暮らしに溶け込む画家,菜園も作って貰って,庭師とはすっかり仲良くなっていくが….
自分本位で妻や娘を相手の立場で見ることのなかった画家が,かっては労働運動の闘士で今は庶民として足ることを知る生活をしている旧友とのつき合いで,人生を取り戻す物語.
2
この二人の,全く違う人生を送ってきたのに仲良しになる仕掛けが面白い(幼馴染みってそういうもんですね).
画家と庭師を演じる俳優がいずれも素晴らしく,リラックスした美しい風景の中,物語に飽きることがない.
如何にも映画らしい映画で,満足度高し.ラストシーンからエンドロールに書けて流れる,モーツァルトのクラリネット協奏曲が胸に残った.
★★★★(★5個が満点)
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2016/12/05

独断的映画感想文:龍三と七人の子分たち

日記:2016年11月某日
映画「龍三と七人の子分たち」を見る.2
2015年.監督:北野武.
出演:藤竜也(龍三親分),近藤正臣(若頭のマサ),中尾彬(はばかりのモキチ),品川徹(早撃ちのマック),樋浦勉(ステッキのイチゾウ),伊藤幸純(五寸釘のヒデさん),吉澤健(カミソリのタカ),小野寺昭(神風のヤス),安田顕(京浜連合ボス・西),矢島健一(京浜連合・北条),下條アトム(京浜連合・徳永),勝村政信(龍三の息子・龍平),萬田久子(キャバクラのママ),ビートたけし(マル暴の刑事・村上).
引退したヤクザ龍三は,息子の家に同居しているが居心地の悪い日々.4
夏休みに息子一家が出かけた折に昔の仲間を呼び集め飲み会を開催するが,会社のトラブルで急遽帰宅した息子に追い出される.
マサのアパートに転がり込んだ一同は,そのメンバーで組を結成することにし,昔のシマで荒っぽいしのぎを拡大している京浜連合と対決することになるが….3
殺しの実績では実力者揃いのロートルヤクザが,現代の暴力団と抗争するヤクザコメディ.北野監督の悪い癖が出た一人遊びのくだらない映画.
そうそうたる俳優を使いながら,下品で荒っぽいギャグを重ねただけのクソ映画で,最後まで見るのが苦痛である.見るべきものは何もない.
ベテラン俳優の奮闘に敬意を表し★★★.本当はなし.(★5個が満点)
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