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2017年1月に作成された記事

2017/01/15

独断的映画感想文:レヴェナント 蘇えりし者

日記:2017年1月某日
映画「レヴェナント 蘇えりし者」を見る.1_2
2015年.監督:アレハンドロ・G・イニャリトゥ.
出演:レオナルド・ディカプリオ(Hugh Glass),トム・ハーディ(John Fitzgerald),ドーナル・グリーソン(Captain Andrew Henry),ウィル・ポールター(Bridger),フォレスト・グッドラック(Hawk).
1823年,米国北西部の山中で毛皮狩猟に従事していたグループは,ネイティブアメリカンのアリカラ族の急襲を受ける.アリカラ族は拉致された族長の娘ポワカの奪還を目指していた.2_2
生き残った10名ほどは,ヘンリー大佐の指揮の下毛皮を隠し,グラスの案内で山越えで基地への帰還を目指す.
グラスはネイティブのポーリー族の娘と暮らしていたが,居住地が白人に襲われ妻は殺され息子ホークは火傷を負った.今はホークと共にグループに属するグラスだが,かってネイティブアメリカンに頭の皮を剥がされかけたフィッツジェラルドは,ことある毎にホークをいたぶりグラスを挑発する.
山中で斥候に出ていたグラスは灰色熊と遭遇し,何とか倒すが瀕死の重傷を負う.3_2
グループはグラスを搬送しようと試みるが急峻な山道に阻まれ,ヘンリー大佐はホーク,フィッツジェラルド他1名にグラスを最後まで看取り埋葬する様命じて先行する.
フィッツジェラルドはこれに対しグラスを殺害しようとするが,ホークに見咎められ彼を殺害,グラスを放置して逃亡する.グラスは驚異的な生命力で復活,ホークの死を悼みフィッツジェラルドを追跡する….
3時間近い大作であるが,時間の長さを全く感じさせない緊張感に満ちた作劇である.4
極寒の北西部を背景に追い追われるグラスとフィッツジェラルド.デカプリオの怪演とトム・ハーディの好演が見応えあり.極寒の山中に身一つで放置されたグラスの,凄まじい生命力と生き残る為の死闘にとにかく圧倒される.
今は亡い美しい妻の幻影が各所に現れて心に滲みる.復讐を遂げても,妻子とこの世で過ごすことはもうかなわない.ラストシーンの哀切さは印象的だった.
★★★★(★5個が満点).
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独断的映画感想文:劇場版MOZU

日記:2017年1月某日
映画「劇場版MOZU」を見る.1
015年.監督:羽住英一郎.
出演:西島秀俊(倉木尚武),香川照之(大杉良太),真木よう子(明星美希),池松壮亮(新谷和彦),伊藤淳史(鳴宮啓介),杉咲花(大杉めぐみ),阿部力(村西悟),伊勢谷友介(高柳隆市),松坂桃李(権藤剛),長谷川博己(東和夫),小日向文世(津城俊輔),ビートたけし(ダルマ).2
2シーズンにわたるTVドラマの解決編として作られた映画.
TVドラマファンからは圧倒的支持がある様だが,これを初見で見るには映画一般で与えられる情報が殆ど略されているので混乱する.その意味では映画の必要条件を満たしていない.
アクションシーンにはそれなりのものが見られるが(特に松阪桃李と池松壮亮の死闘は迫力がある),善玉は刺されても撃たれてもぴんぴんしているし御都合主義が激しい.3
西島秀俊が突然「ペナム共和国」に現れ,しかもその時点で守るべき少女が既に奪われているというシーンは,説明すべきレベルが2段階飛ばされた感じで,なんぼ何でも酷いと感じた.5
という訳で見るべきものに乏しい,好きな俳優がアクションで頑張っているという以上のものは無い映画.
★(★5個が満点)
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2017/01/05

番外:独断的歌舞伎感想文 国立劇場平成29年初春歌舞伎公演 通し狂言 しらぬい譚

日記:2017年1月某日
平成29年初春歌舞伎公演「通し狂言 しらぬい譚」を見る.H29hatsuharukabukiomote1
出演:上菊五郎,中村時蔵,尾上松緑,尾上菊之助,坂東亀三郎,坂東亀寿,中村梅枝,中村萬太郎,市村竹松,尾上右近,尾上左近,市村橘太郎,片岡亀蔵,河原崎権十郎,坂東秀調,市村萬次郎,市川團蔵,坂東彦三郎.
大友宗麟の娘・若菜が妖術使いとなり,讒言により大友家を滅ぼした菊池家に復讐するのを,菊池の忠臣・鳥山親子が迎え撃つというまあどっちもどっちの物語.
宙乗り・屋台崩し・化け猫等の見せ場が豊富で,4幕目以降は快調なテンポに乗り面白く見た.
しかし初日ということもあり,皆台詞は噛むは,立ち回りは噛み合わないは,大道具はひっかかるはで大変な騒ぎ.ちょっと締め直さなきゃいけないんじゃないかしら.
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番外:独断的歌舞伎感想文 十二月大歌舞伎 第三部 二人椀久/京鹿子娘五人道成寺

日記:2016年12月某日
歌舞伎座幕見で「十二月大歌舞伎 第三部」を見る.Kabukiza_201712ffl_748ca14fba3ef98c
「一、二人椀久(ににんわんきゅう)」.出演:松山太夫(玉三郎),椀屋久兵衛(勘九郎).
「二、京鹿子娘五人道成寺(きょうかのこむすめごにんどうじょうじ) 道行より鐘入りまで」.出演:白拍子花子(玉三郎),白拍子花子(勘九郎),白拍子花子(七之助),白拍子花子(梅枝),白拍子花子(児太郎),所化(亀三郎),同(萬太郎),同(橘太郎),同(吉之丞).
二人椀久は高い緊張感が維持され,誠に美しい舞台.青ざめた色調の舞台が後半一瞬明るく彩られるが,それがうたかたの夢だったことが判る終幕は,哀切極まりない.
花子が5人登場する娘五人道成寺は,バランス良く統制された5人の踊り手の組み合わせが,それぞれに魅力的で楽しい舞台となった.
途中の引き抜きも見事,ぱっと花が広がったようだ.鈴太鼓の所は5人の娘達が顔つき合わせて楽しいおしゃべりの様.
花笠踊りが短くて物足りないが,フィナーレの5人揃った鐘入りは絵になった.
若手4人はいずれも将来娘道成寺を単独で演じることを期待される逸材揃い,渡辺保劇評での「この「五人道成寺」は歴史の一瞬を切り取る面白さ」とは至言である.
ところで児太郎は国立劇場での九段目・小浪との掛け持ち,頑張っています.
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2017/01/03

独断的映画感想文:エヴェレスト 神々の山嶺(いただき)

日記:2016年12月某日
映画「エヴェレスト 神々の山嶺(いただき)」を見る.
1
2016年.監督:平山秀幸,山岳監修:八木原圀明.
出演:岡田准一(深町誠),阿部寛(羽生丈二),尾野真千子(岸涼子),ピエール瀧(宮川),甲本雅裕(井上真紀夫),風間俊介(岸文太郎),テインレィ・ロンドゥップ(アン・ツェリン).
食い詰めネタを探していた山岳カメラマンの深町は取材先のネパールで,エベレストの幻の初登頂者の可能性があるマロリー卿のものと見られるカメラを発見するが,そのカメラは盗品として現地のシェルパ・ティンレイに返還される.2
ティンレイに同行していた日本人・羽生に興味を持った深町.羽生は天才的なクラマーだったが性格は自分本位で,ザイルパートナー・岸文太郎が滑落で死んだ後は彼を死なせたとの噂が立ち,日本から姿を消していた.
羽生が冬期無酸素単独のエベレスト登頂を目指すと見た深町は,羽生のかっての恋人で岸の妹である涼子と共に羽生を追う….
4
深町誠と岸涼子の人格がややあやふやなところが,この映画の欠点と思われる.
この映画はある意味で深町誠の死と再生の物語でもあるのだから,彼の行動の軸がいい加減では物語が見えない.
深町が無謀にも単独無酸素で羽生の跡を追い滑落した顛末,その為羽生の生涯をかけた山行に重大な影響を与えた事実,一方の目的であるマロリー卿の登頂の謎解明のチャンスを自ら放棄してしまう経過等は,全く納得し難い.岸涼子の行動にも今ひとつ必然性が感じられない.3
一方,羽生丈二役の阿部寛の演技には,その寡黙さにもかかわらず圧倒される.これはネタバレになるが,羽生の死後の独白における阿部寛の台詞術も印象的.
山岳シーンの美しさも良かった.全体としては見て損のない映画.
★★★☆(★5個が満点)
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番外:独断的歌舞伎感想文 国立劇場12月歌舞伎公演 通し狂言 仮名手本忠臣蔵(かなでほんちゅうしんぐら)第三部

日記:2016年12月某日
歌舞伎「通し狂言 仮名手本忠臣蔵(かなでほんちゅうしんぐら)」第三部を見る.H2812kanadehonhonomote
八段目 道行旅路の嫁入,九段目 山科閑居の場,十段目 天川屋義平内の場,十一段目 高家表門討入りの場,同 広間の場,同 奥庭泉水の場,同 柴部屋本懐焼香の場,花水橋引揚げの場.
出演:【八段目】本蔵妻戸無瀬(中村魁春),娘小浪(中村児太郎).【九段目】加古川本蔵(松本幸四郎),妻戸無瀬(中村魁春),娘小浪(中村児太郎),一力女房お品(中村歌女之丞),由良之助妻お石(市川笑也),大星力弥(中村錦之助),大星由良之助(中村梅玉).【十段目】天川屋義平(中村歌六),女房お園(市川高麗蔵),大鷲文吾(中村松江),竹森喜多八(坂東亀寿),千崎弥五郎(中村種之助),矢間重太郎(中村隼人),丁稚伊吾(澤村宗之助),医者太田了竹(松本錦吾),大星由良之助(中村梅玉).【十一段目】大星由良之助(中村梅玉),大星力弥(中村米吉),寺岡平右衛門(中村錦之助),大鷲文吾(中村松江),竹森喜多八(坂東亀寿),千崎弥五郎(中村種之助),矢間重太郎(中村隼人),赤垣源蔵(市川男寅),茶道春斎(中村玉太郎),矢間喜兵衛(中村寿治郎),織部弥次兵衛(嵐橘三郎),織部安兵衛(澤村宗之助),高師泰(市川男女蔵),和久半太夫(片岡亀蔵),原郷右衛門(市川團蔵),小林平八郎(尾上松緑),桃井若狭之助(市川左團次)ほか.
壮大な物語のフィナーレ,丁寧に造り込まれた通し狂言に素直に感動した.
梅玉,歌六,團蔵,魁春といったベテランが好演,九段目では児太郎・笑也の両女形が良かった.
山科閑居がこれほど長いとは思わなかったが,どの段も面白く見られた.天川義平の10段目は初めて見る.
幸四郎は相変わらず何を言っているのか判らない.松緑は熱演だがやはり切られて死んでしまった.
梅丸が佐藤輿茂七,中村柴のぶも出ている.
花水橋の場は,太鼓橋の天辺から46士が端座して銘々名乗るがそのセットが立派.46人の体重と衣装合わせて4トンは超えると思うが,重さにもよく耐えていると感心した.
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