独断的映画感想文:沓掛時次郎 遊侠一匹
日記:2017年2月某日
映画「沓掛時次郎 遊侠一匹(1966)」を見る.
1966年.監督:加藤泰.
出演:中村錦之助(沓掛時次郎),池内淳子(おきぬ),中村信二郎(太郎吉),弓恵子(お葉),高松錦之助(佐原の勘蔵),清川虹子(おろく),明石潮(八丁徳),渥美清(身延の朝吉),東千代之介(六ッ田の三蔵).
腕はめっぽう立つ無宿渡世人の沓掛時次郎は,彼を兄貴と慕う身延の朝吉との二人旅.
ある宿場で賭場で大勝ちした時次郎を見込んだ,ところの親分の一人娘お葉に,女郎屋を巡る喧嘩の助っ人を頼まれる.時次郎はあっさり辞退するが,朝吉は筋を通そうと,お葉に言われるまま単身相手方に殴り込みをかけ,なぶり殺しにされてしまう.
朝吉の仇と相手の一家を打ち破った時次郎,再び旅に出て鴻巣一家にわらじを脱ぐ.ここの親分に頼まれたのは,敵対する一家の代貸・六ッ田の三蔵殺しだが,三蔵は旅の途中世話になった母子おきぬ・太郎吉の主人だった….
前半は渥美清,後半は池内淳子とのコンビで綴る,無宿人の人生を描く好編.
おきぬの息子・太郎吉を演じた中村信二郎は,錦之助の甥で歌舞伎俳優の当代・中村錦之助である.
初代錦之助は,この監督の極端な表情のアップが,まことに良く映える俳優であった.映画の印象はこの俳優の様々な表情のアップにおおかた支配されたのではあるまいか.
腕が立つだけに助っ人として空しい殺人に巻き込まれる時次郎と,夫を殺した無宿人への思いに苦しむおきぬの物語が哀切である.おきぬへの思いを酒場の女将に物語る寒夜の時次郎のシーンが印象に残る.
一見の価値あり.★★★★(★5個が満点)
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