« 独断的映画感想文:沓掛時次郎 遊侠一匹 | トップページ | 番外:独断的歌舞伎感想文 猿若祭2月大歌舞伎 昼の部 »

2017/03/27

独断的映画感想文:沈黙 サイレンス

日記:2017年2月某日
映画「沈黙 サイレンス」を見る.1_2
2016年.監督:マーティン・スコセッシ.
配役:アンドリュー・ガーフィールド(セバスチャン・ロドリゴ),アダム・ドライバー(フランシス・ガルペ),浅野忠信(通辞),キアラン・ハインズ(ヴァリニャーノ),リーアム・ニーソン(クリストバン・フェレイラ),窪塚洋介(キチジロー),イッセー尾形(井上筑後守),塚本晋也(モキチ),小松菜奈(モニカ),加瀬亮(ジュアン),笈田ヨシ(イチゾウ).4
17世紀,日本でのキリシタン弾圧は激しさを増し,在日の有力な司祭フェレーラは棄教,日本に帰化した.
その弟子であるロドリゴとガルペは日本に派遣されることを切望し,マカオから日本人漂流民キチジローの案内で,長崎付近の隠れキリシタンの村に到着する.
歓喜する村人に洗礼を施し,告解を聞き,ミサを執り行う生活が始まる.更にロドリゴは五島にも出向いて布教を行うが,やがて長崎奉行の弾圧はその地にも及び,村人と共に遂にロドリゴ達も捕らえられる.2_3
長崎奉行はロドリゴに対し,彼が棄教しない限り村人が犠牲になることを説き,棄教を迫るのだが….
遠藤周作の原作を忠実に映画化した作品.人間の弱さと信仰について,キリシタン弾圧を題材に描く.
信仰は,神の問題ではなく人間の問題である.そのことは,特に登場人物キチジローを通じて明らかにされる.
キチジローは漂流民としてマカオにいたが,それ以前にキリシタンとして拘束され,家族全員が棄教せず殺されたのに対し,一人踏み絵を踏んで命が助かった.5_2
その後もロドリゴに仕える一方で,彼を裏切り奉行に通報した.彼は逮捕される度に踏み絵を踏んで釈放されるが,しかし執拗にロドリゴの周辺を離れない.結局彼はロドリゴに終生仕えた日本人であった.
ロドリゴが神の沈黙に苦悩しているのと同様に,キチジローもキチジローの苦悩を生きているのだ.3_2
映画は緊張感高くこの重厚なテーマを一歩一歩追究してゆく.窪塚洋介,浅野忠信,イッセー尾形,塚本晋也等の熱演が素晴らしい.
★★★★(★5個が満点)
にほんブログ村 映画ブログへ
にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ
ブログランキング・にほんブログ村へ
人気ブログランキングへ



« 独断的映画感想文:沓掛時次郎 遊侠一匹 | トップページ | 番外:独断的歌舞伎感想文 猿若祭2月大歌舞伎 昼の部 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 独断的映画感想文:沈黙 サイレンス:

» 沈黙 サイレンス / Silence [勝手に映画評]
構想26年。マーティン・スコセッシによって、遠藤周作の小説『沈黙』の映画化。 159分にも及ぶ長い作品ですが見せます。流石にスコセッシですねぇ。それともちろん、遠藤周作の作品も良いのでしょう。時間の長さを感じさせません。加えて、キリシタン弾圧と言う非常に重...... [続きを読む]

受信: 2017/03/27 22:17

» 「沈黙 サイレンス」 [元・副会長のCinema Days]
 (原題:SILENCE )かなりの力作で、長い上映時間も気にならない。劇中で提示されているモチーフはもちろん、時代背景など多岐に渡って知識を深めたくなるような訴求力も兼ね備えている。本当に観て良かったと思わせる映画だ。  江戸時代の初め。キリスト教が禁止さ...... [続きを読む]

受信: 2017/03/28 06:30

» 沈黙 -サイレンス- [だらだら無気力ブログ!]
重厚な内容だった。 [続きを読む]

受信: 2017/03/28 20:14

« 独断的映画感想文:沓掛時次郎 遊侠一匹 | トップページ | 番外:独断的歌舞伎感想文 猿若祭2月大歌舞伎 昼の部 »