独断的映画感想文:沈黙 サイレンス
日記:2017年2月某日
映画「沈黙 サイレンス」を見る.
2016年.監督:マーティン・スコセッシ.
配役:アンドリュー・ガーフィールド(セバスチャン・ロドリゴ),アダム・ドライバー(フランシス・ガルペ),浅野忠信(通辞),キアラン・ハインズ(ヴァリニャーノ),リーアム・ニーソン(クリストバン・フェレイラ),窪塚洋介(キチジロー),イッセー尾形(井上筑後守),塚本晋也(モキチ),小松菜奈(モニカ),加瀬亮(ジュアン),笈田ヨシ(イチゾウ).
17世紀,日本でのキリシタン弾圧は激しさを増し,在日の有力な司祭フェレーラは棄教,日本に帰化した.
その弟子であるロドリゴとガルペは日本に派遣されることを切望し,マカオから日本人漂流民キチジローの案内で,長崎付近の隠れキリシタンの村に到着する.
歓喜する村人に洗礼を施し,告解を聞き,ミサを執り行う生活が始まる.更にロドリゴは五島にも出向いて布教を行うが,やがて長崎奉行の弾圧はその地にも及び,村人と共に遂にロドリゴ達も捕らえられる.
長崎奉行はロドリゴに対し,彼が棄教しない限り村人が犠牲になることを説き,棄教を迫るのだが….
遠藤周作の原作を忠実に映画化した作品.人間の弱さと信仰について,キリシタン弾圧を題材に描く.
信仰は,神の問題ではなく人間の問題である.そのことは,特に登場人物キチジローを通じて明らかにされる.
キチジローは漂流民としてマカオにいたが,それ以前にキリシタンとして拘束され,家族全員が棄教せず殺されたのに対し,一人踏み絵を踏んで命が助かった.
その後もロドリゴに仕える一方で,彼を裏切り奉行に通報した.彼は逮捕される度に踏み絵を踏んで釈放されるが,しかし執拗にロドリゴの周辺を離れない.結局彼はロドリゴに終生仕えた日本人であった.
ロドリゴが神の沈黙に苦悩しているのと同様に,キチジローもキチジローの苦悩を生きているのだ.
映画は緊張感高くこの重厚なテーマを一歩一歩追究してゆく.窪塚洋介,浅野忠信,イッセー尾形,塚本晋也等の熱演が素晴らしい.
★★★★(★5個が満点)
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