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2017年4月に作成された記事

2017/04/28

独断的映画感想文:64 ロクヨン 前編

日記:2017年4月某日
映画「64 ロクヨン 前編」を見る.1
2016年.監督:瀬々敬久.
出演:佐藤浩市(三上義信),綾野剛(諏訪),榮倉奈々(美雲),夏川結衣(三上美那子),緒形直人(目崎正人),窪田正孝(日吉浩一郎),坂口健太郎(手嶋),筒井道隆(柿沼),鶴田真由(村串みずき),赤井英和(望月),菅田俊(漆原),烏丸せつこ(日吉雅恵),小澤征悦(御倉),金井勇太(蔵前),芳根京子(三上あゆみ),菅原大吉(石井),柄本佑(落合),椎名桔平(辻内欣司),滝藤賢一(赤間),奥田瑛二(荒木田),仲村トオル(二渡真治),吉岡秀隆(幸田一樹),瑛太(秋川),永瀬正敏(雨宮芳男),三浦友和(松岡勝俊).2
昭和64年1月に起こったロクヨンと以後呼ばれることになった少女誘拐事件,身代金は奪われ少女は死体で発見されるという最悪の結果となる.
それから14年,捜査の一員だった三上は警務部広報官となり記者クラブとの交渉の日々.県公安委員の親戚である交通事故加害者の実名を伏せる様キャリア官僚の警務部長から命じられ,記者クラブとの関係は悪化する.
一方警察庁は県警刑事部長に本庁キャリアを据える方針を打ち出し刑事部は反発,警務部は警察庁サイドと目され刑事部からの反目も激しい.5
三上は仕事一本槍の自分を嫌って家出している,娘との葛藤も抱えている.
ロクヨンの時効まで1年と迫った日々,三上は事件当時の捜査ミス隠蔽の事実を掴むが,一方ロクヨンの模倣と思われる新たな誘拐事件が発生する….
横山秀夫のベストセラーを2部作で製作した前編.沈鬱な画面作りと音楽,ベテラン俳優陣の落ち着いた演技が長い物語を描いていく.4
この映画では特に主人公・三上に対立する警務部長を演じる滝藤賢一,東洋新聞キャップ秋川を演じる瑛太が印象的.濃い人格をうまく演じている.
三上をバックアップする広報室の綾野剛・榮倉奈々も熱演.前編の終盤,記者クラブとの対決シーンは心に響いた.3
素晴らしい出来で,後編が期待される.
★★★★(★5個が満点)
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2017/04/25

番外:独断的歌舞伎感想文 4月大歌舞伎昼の部

日記:2017年4月某日
歌舞伎座で「4月大歌舞伎昼の部」を見る.Kabukiza_201704f3_4e6aca90aac727e0e
中内蝶二 作 今井豊茂 脚本.「一、醍醐の花見(だいごのはなみ)」.出演:豊臣秀吉(鴈治郎),豊臣秀次(松也),大野治長(歌昇),曽呂利新左衛門(萬太郎),淀殿(壱太郎),三條殿(尾上右近),大野治房(種之助),前田利家室まつ(笑三郎),松の丸殿(笑也),石田三成(右團次),義演(門之助),北の政所(扇雀).「二、伊勢音頭恋寝刃(いせおんどこいのねたば) 追駈け 地蔵前 二見ヶ浦 油屋 奥庭」.出演:福岡貢(染五郎),仲居万野(猿之助),料理人喜助(松也),油屋お紺(梅枝),油屋お岸(米吉),奴林平(隼人),藍玉屋治郎助(錦一),桑原丈四郎(橘太郎),杉山大蔵(橘三郎),徳島岩次実は藍玉屋北六(桂三),藍玉屋北六実は徳島岩次(由次郎),油屋お鹿(萬次郎),今田万次郎(秀太郎).「三、一谷嫩軍記(いちのたにふたばぐんき) 熊谷陣屋」.出演:熊谷次郎直実(幸四郎),源義経(染五郎),熊谷妻相模(猿之助),亀井六郎(宗之助),片岡八郎(竹松),伊勢三郎(男寅),駿河次郎(弘太郎),梶原平次景高(錦吾),堤軍次(松江),藤の方(高麗蔵),白毫弥陀六実は弥平兵衛宗清(左團次).
醍醐の花見は派手やかな踊りの一幕,特に萬太郎・種之助が爽やかで好印象だった.壱太郎は何となくフィギュアスケートの鈴木明子に似ている.
伊勢音頭は染五郎・猿之助が新鮮.この芝居は初見だが,ハッピーエンドに終わるとは夢にも思わず,却って違和感あり.籠釣瓶に比べると緊迫感は劣るという気がする.
熊谷陣屋は幸四郎の魅力が今一つ出なかった.台詞が何を言っているか判らないし.以前にも熊谷陣屋は幸四郎で見ており,吉右衛門でも見たいもの.
演し物はいかにも歌舞伎らしいもので、その点では堪能した.
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2017/04/22

独断的映画感想文:ちはやふる 上の句

日記:2017年4月某日
映画「ちはやふる 上の句」を見る.
1
2016年.監督:小泉徳宏.
出演:広瀬すず(綾瀬千早),野村周平(真島太一),真剣佑(綿谷新),上白石萌音(大江奏),矢本悠馬(西田優征),森永悠希(駒野勉),清水尋也(須藤暁人),松岡茉優(若宮詩暢),松田美由紀(宮内妙子),國村隼(原田秀雄),坂口涼太郎(木梨浩).2_2
都立高校進学を機に「カルタ部」を作って全国大会を目指そうという綾瀬千早.彼女は小学生の時から綿谷新,真島太一とチームを組んで競技カルタに参加してきた.
新は今実家のある金沢でカルタに取り組んでいる.3_2
千早は同じ高校に進学した太一とカルタ部を創部しようとするが,部員5人をまずは揃えなければならない.かって千早達とカルタで戦った西田優征に加え,呉服屋の娘で和歌が好きな大江奏,唯一人部活動に属していなかった駒野勉を引きづり込み,何とかカルタ部はスタートする….
人気漫画を原作とする2部作の第1部.4
テンション高い若者たちの物語に最初はつき合いかねたが,カルタ部の苦闘と前進の物語に次第に引き込まれた.一同の成長物語でもあるという,青春ものの王道もきちんと押さえられている.
何より主人公を演じる広瀬すずのコメディエンヌぶりが好ましい.試合に全精力を費やした直後に白目を剥いて昏睡してしまうシーンの広瀬すずは,見もの.5_2
都大会決勝戦のシーン,大江奏の発案で全員和服姿で出場した一同はなかなか絵になっているが,試合ではたすきを掛けた方がかっこよかったのでは?
千早を巡る新と太一の確執も明らかになり,第2部の完結編も楽しみである.
★★★☆(★5個が満点)
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独断的映画感想文:セデック・バレ 第二部 虹の橋

日記:2017年4月某日
映画「セデック・バレ 第二部 虹の橋」を見る.0
2011年.監督:ウェイ・ダーション.
出演:リン・チンタイ(モーナ・ルダオ(壮年)),マー・ジーシアン(タイモ・ワリス),ビビアン・スー(高山初子(オビン・タダオ)),ランディ・ウェン(マホン・モーナ),安藤政信(小島源治),ルオ・メイリン(川野花子(オビン・ナウイ)),河原さぶ(鎌田弥彦).6
1930年日本統治下の台湾で,台湾原住民族・セデック族の日本政府への叛乱=霧社事件の結末を語る二部作の完結編(第1部の感想はこちら).
霧社の日本人を殲滅したセデックの叛乱軍は,反攻した日本軍・警察部隊を密林から迎え撃ち大きな損害を与えるが,日本軍も大砲,航空機,毒ガスを駆使して叛乱軍を追い詰める.2
セデックの一族は,男子は決死の攻撃にことごとく参加し,女子と子供達は自死を選ぶ.更に日本軍の指示で,モーナ・ルダオと敵対してきた蕃族の一族が日本軍の側に立って鎮圧に参加し,戦闘は凄惨な同族同士の殺し合いへと展開する….
第2部のこの映画は,全編殆ど戦闘シーンとセデック族の自死のシーンで構成されるが,緊張感高い物語の進行に目を離すことが出来ない.5
決起したセデックには,セデックとしての名誉を全うし,祖先が渡った虹の橋を続いて渡る資格を得るという目的がある.叛乱の目的は当初から金銭や地位の改善ではないのだ.
そのことを徹底して描くこの映画の物語に,心を動かされずにはいられない.映画の力に圧倒されたというのが正直な感想である.
3
密林を駆け巡り死力を尽くしたセデック族の戦士が,虹の橋を渡ったであろうことを祈らずにはいられない.
★★★★(★5個が満点)
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2017/04/19

独断的映画感想文:血と砂

日記:2017年4月某日
映画「血と砂」を見る.1
1965年.監督:岡本喜八.
出演:三船敏郎(小杉曹長),伊藤雄之助(持田一等兵),佐藤允(犬山一等兵),天本英世(志賀一等兵),団令子(お春こと金春芳),仲代達矢(佐久間大尉),伊吹徹(三保少尉),名古屋章(根津曹長),長谷川弘(中野伍長).2
終戦間近い北支戦線.歴戦の曹長だが上官殴打の前歴ある小杉は,ヤキバ砦での敵前逃亡を問われ銃殺された小原見習士官の件を巡り,またしても大隊長佐久間を殴ってしまう.
小杉は軍法会議の代わりに,実戦経験どころか兵士としての訓練さえない軍楽学校新卒の少年兵を率いて,ヤキバ砦の奪還を命じられるが….
この時代この配役ならではの痛烈な戦争映画.
三船敏郎が持ち味を生かして豪快なベテラン下士官を快演する.古年兵役の佐藤允と慰安婦お春役の団玲子が秀逸.3
またこの映画は音楽映画でもある.この少年軍楽隊は日本の軍歌を一切演奏しない(出だしとフィナーレは「聖者の行進」だった)が,スイング感と童謡を演奏する叙情性は素晴らしい.
また,奪還したヤキバ砦で,お春に筆おろしをして貰う嬉しさに全員で歌う「おはるさん」の歌唱シーンは,オペレッタの様で面白かった.4
テンポ良くプロットもよく,カメラワークも快調な,日本映画充実期の傑作.
★★★★(★5個が満点)
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2017/04/18

独断的映画感想文:超高速参勤交代 リターンズ

日記:2017年3月26日
映画「超高速参勤交代 リターンズ」を見る.1
2016年.監督:本木克英.
出演:佐々木蔵之介(内藤政醇),深田恭子(お咲),伊原剛志(雲隠段蔵),寺脇康文(荒木源八郎),上地雄輔(秋山平吾),知念侑李(Hey! Say! JUMP)(鈴木吉之丞),柄本時生(増田弘忠),六角精児(今村清右衛門),古田新太(大岡忠相),近藤公園(瀬川安右衛門),渡辺裕之(諸坂三太夫),中尾明慶(森極蔵),橋本じゅん(福田弥之助),宍戸開(柳生幻道),富田靖子(荒木富江),西村雅彦(相馬兼嗣),市川猿之助(徳川吉宗),石橋蓮司(松平輝貞),陣内孝則(松平信祝).2
同じ監督・出演陣で製作された人気作第2弾.
前作で期日通り江戸に参勤交代し,悪老中・松平信祝を蟄居に追い込んだ湯長谷藩の面々だが,何と今度は国元で一揆が起きたとの知らせ,しかも目付が既に湯長谷藩に急行し,藩の失態を追及すると言う.
藩主以下,新しい側女のお咲を伴い湯長谷藩に前回をしのぐスピードで急行する.しかし既に城は目付に奪われ,妻女は人質,藩主以下は丸腰の上,頼みの忍び・雲隠段蔵は何と敵に回っていた….3
この絶体絶命の境地からの挽回が今回の見どころ,一揆は偽一揆で仕掛けたのはまたしても松平信祝であった.
前作で作り上げた強烈な設定が今回も揺るがず,面白く見れた.話の切れ味は若干前回に劣るが,独特のスピード感で進んでいく物語に最後まで持って行かれてしまう.
まあ見て損はなし.★★★☆(★5個が満点).4
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2017/04/07

番外:独断的歌舞伎感想文 3月大歌舞伎 昼の部

日記:2017年3月某日
歌舞伎座で「3月大歌舞伎 昼の部を見る.Img_3509_2
「真山青果:作 真山美保:演出 今井豊茂:演出 一、明君行状記(めいくんぎょうじょうき)」.出演:池田光政(梅玉),青地善左衛門(亀三郎),妻ぬい(高麗蔵),弟大五郎(萬太郎),若党林助(橘太郎),木崎某(寿治郎),吉江某(松之助),筒井三之允(松江),磯村甚太夫(権十郎),山内権左衛門(團蔵).「二、義経千本桜(よしつねせんぼんざくら) 渡海屋 大物浦」.出演:渡海屋銀平実は新中納言知盛(仁左衛門),女房お柳実は典侍の局(時蔵),相模五郎(巳之助),銀平娘お安実は安徳帝(市川右近),入江丹蔵(猿弥),武蔵坊弁慶(彌十郎),源義経(梅玉).「十世坂東三津五郎三回忌追善狂言 三、神楽諷雲井曲毬(かぐらうたくもいのきょくまり) どんつく」.出演:荷持どんつく(巳之助),親方鶴太夫(松緑),若旦那(海老蔵),太鼓打(亀寿),町娘(新悟),子守(尾上右近),太鼓持(秀調),太鼓持(彌十郎),田舎侍(團蔵),芸者(時蔵),白酒売(魁春),門礼者(彦三郎),大工(菊五郎).
「名君行状記」は僕の苦手な真山青果のセリフ劇,洒落臭い台詞の行き交う説教調の舞台だが,これはとにかく梅玉がうまい.
決めつけるところは決めつける,緩急自在な名君の有様が良く表現され素晴らしい.
「碇知盛」は何と言っても仁左衛門が素敵です.渡海屋での銀平・お柳と大物浦での知盛・典侍の局との対比が印象的.巳之助が溌剌,右近の安徳帝がかわいい.
悲劇が終わり一人残った弁慶の法螺貝が哀れである.
「どんつく」は錚々たるお歴々の前で懸命に踊る巳之助に胸が熱くなった.頑張れ巳之助.
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番外:独断的歌舞伎感想文 3月大歌舞伎 夜の部

日記:2017年3月某日
歌舞伎座で「3月大歌舞伎 夜の部」を見る.Img_3497
「双蝶々曲輪日記 一、引窓(ひきまど)」.出演:南与兵衛後に南方十次兵衛(幸四郎),濡髪長五郎(彌十郎),平岡丹平(錦吾),三原伝造(廣太郎),母お幸(右之助),女房お早(魁春).「二、けいせい浜真砂(けいせいはまのまさご) 女五右衛門 南禅寺山門の場」.出演:石川屋真砂路(藤十郎),真柴久吉(仁左衛門).河東節開曲三百年記念「歌舞伎十八番の内 三、助六由縁江戸桜(すけろくゆかりのえどざくら) 河東節十寸見会御連中」.出演:花川戸助六(海老蔵),三浦屋揚巻(雀右衛門),くわんぺら門兵衛(歌六),朝顔仙平(男女蔵),通人里暁(亀三郎),三浦屋白玉(梅枝),福山かつぎ(巳之助),傾城八重衣(新悟),同浮橋(尾上右近),同胡蝶(廣松),同愛染(児太郎),男伊達山谷弥吉(宗之助),同 田甫富松(男寅),文使い番新白菊(歌女之丞),奴奈良平(九團次),国侍利金太(市蔵),遣手お辰(家橘),三浦屋女房お京(友右衛門),曽我満江(秀太郎),髭の意休(左團次),白酒売新兵衛(菊五郎),口上(右團次),後見(右之助).
「引窓」は淡々とし過ぎて途中居眠り,彌十郎は一寸間が保たない感じ.
「けいせい浜の真砂」は藤十郎・仁左衛門が豪華共演.但し藤十郎は山姥の様で,美しくもなければ魅力的でもない.こういう芝居をやろうという意味が何処にあるのか分からない.
「助六」は新吾・右近・梅枝・児太郎・廣松・梅丸の女形勢が見応えあり.梅丸は美しいが未だアイドル系といった感じで,他の女形がそれなりに花魁らしさ(というのは色気や凄みということだが)を出しているのと比べるとちょっと幼い.
2時間越えはやや長かった
.国立掛け持ちの雀右衛門・歌六・京妙が奮闘.海老蔵は歌舞伎十八番らしさを出そうと奮闘中か,菊五郎がひょうひょうとした味で素晴らしかった.
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2017/04/05

独断的映画感想文:セデック・バレ 第一部 太陽旗

日記:2017年3月某日
映画「セデック・バレ 第一部 太陽旗」を見る.11
2011年.監督:ウェイ・ダーション.
出演:リン・チンタイ(モーナ・ルダオ(壮年)),マー・ジーシアン(タイモ・ワリス),ビビアン・スー(高山初子(オビン・タダオ)),ランディ・ウェン(マホン・モーナ),安藤政信(島源治),ルオ・メイリン(川野花子(オビン・ナウイ)),河原さぶ(鎌田弥彦),木村祐一(佐塚愛祐).
映画の冒頭,台湾山中の密林を駆け巡り狩りをする台湾原住民族・セデック族の人々.
リーダーのモーナ・ルダオは頭目の息子で勇猛果敢な男である.狩りの獲物を他部族の男達と争ったモーナは,相手の首を切り落として獲物と共に帰還,勇名を轟かす.12
1895年日清戦争の勝利により台湾を領有した日本軍は,原住民族の抵抗を圧倒して山岳地帯を制圧,彼等は武装解除され労働者として働く生活を強いられることになった.
以降35年,今は頭目となったモーナはセデック族を押さえて日本人に従っていたが,祭の晩に起きた日本人警官との衝突をきっかけに,遂に決起を決意する….13
美しい森と豊かな水に恵まれ,ゆったり流れる時間の中を誇り高く生きるセデック族を描く前半は,叙情的な映画音楽とも相俟って印象深い出来上がりである.
男達は狩りをし,戦っては相手の首を取ることが勤め,女は男の為に機を織ることが勤め,それが出来れば体に刺青を入れることが許され,死んでは祖先の暮らす国へ行くことが出来るという.14
しかし日本人が山岳地帯に入り込んで学校を作り街を建設していく中,それを描く映画自体からも前半に見られた荘重さ・豊かさが一気に失われていく様に思われた.
最終場面,決起したセデック族が日本人の首を切り飛ばしていく長いシーンは,どうにも後味が悪い.映画は後編に続くのだが,見るべきかどうか迷っている.
セデック族は,刺青の習慣や祭で演奏する口琴の響きなど,アイヌ民族とも共通するものを感じ,親近感は覚える.
★★★(★5個が満点)
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