独断的映画感想文:セデック・バレ 第一部 太陽旗
日記:2017年3月某日
映画「セデック・バレ 第一部 太陽旗」を見る.
2011年.監督:ウェイ・ダーション.
出演:リン・チンタイ(モーナ・ルダオ(壮年)),マー・ジーシアン(タイモ・ワリス),ビビアン・スー(高山初子(オビン・タダオ)),ランディ・ウェン(マホン・モーナ),安藤政信(島源治),ルオ・メイリン(川野花子(オビン・ナウイ)),河原さぶ(鎌田弥彦),木村祐一(佐塚愛祐).
映画の冒頭,台湾山中の密林を駆け巡り狩りをする台湾原住民族・セデック族の人々.
リーダーのモーナ・ルダオは頭目の息子で勇猛果敢な男である.狩りの獲物を他部族の男達と争ったモーナは,相手の首を切り落として獲物と共に帰還,勇名を轟かす.
1895年日清戦争の勝利により台湾を領有した日本軍は,原住民族の抵抗を圧倒して山岳地帯を制圧,彼等は武装解除され労働者として働く生活を強いられることになった.
以降35年,今は頭目となったモーナはセデック族を押さえて日本人に従っていたが,祭の晩に起きた日本人警官との衝突をきっかけに,遂に決起を決意する….
美しい森と豊かな水に恵まれ,ゆったり流れる時間の中を誇り高く生きるセデック族を描く前半は,叙情的な映画音楽とも相俟って印象深い出来上がりである.
男達は狩りをし,戦っては相手の首を取ることが勤め,女は男の為に機を織ることが勤め,それが出来れば体に刺青を入れることが許され,死んでは祖先の暮らす国へ行くことが出来るという.
しかし日本人が山岳地帯に入り込んで学校を作り街を建設していく中,それを描く映画自体からも前半に見られた荘重さ・豊かさが一気に失われていく様に思われた.
最終場面,決起したセデック族が日本人の首を切り飛ばしていく長いシーンは,どうにも後味が悪い.映画は後編に続くのだが,見るべきかどうか迷っている.
セデック族は,刺青の習慣や祭で演奏する口琴の響きなど,アイヌ民族とも共通するものを感じ,親近感は覚える.
★★★(★5個が満点)
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