« 2017年4月 | トップページ

2017年5月に作成された記事

2017/05/21

独断的映画感想文:メッセージ

日記:2017年5月某日
映画「メッセージ」を見る.1
2016年.監督:ドゥニ・ヴィルヌーヴ.
出演:エイミー・アダムス(ルイーズ・バンクス),ジェレミー・レナー(イアン・ドネリー),フォレスト・ウィテカー(ウェバー大佐),マイケル・スタールバーグ(ハルペーン),ツィ・マー(シャン将軍).
ルイーズは大学で教鞭を執る言語学者,娘ハンナを病気で失い,その思い出に浸る日々を過ごしている.
ある日突然世界12カ所に出現した宇宙からの飛行物体(「殻」と呼ばれる)は,そのまま静止を続ける.ルイーズは軍の要請で,アメリカに出現した殻のもとを訪れ,物理学者イアンと共に彼等が地球に来た目的を探る.2
ルイーズの発案で文字を使ったコミュニケーションを図ったことで,彼等(7本足の彼等はヘプタポッドと呼ばれる)の文字が解読され,会話が少しずつ進み始めた.地球来訪の目的を聞かれたヘプタポッドは,「武器の提供」と答える.3
この言葉は困惑を巻き起こし,幾つかの政府は殻に対し宣戦を布告,アメリカも殻の周辺からの撤退を決定した.核攻撃の期限が迫る中,ルイーズはヘプタポッドの最後のメッセージの解読に成功する….4
この映画は活劇ではない.言語学と時間の概念に関する論理的な映画である.それと同時に,ルイーズの思い出を巡る哀切な映画でもある.
この2つの特徴を結びつける為に使われる映画的などんでん返しは,誠にスリリングで且つ感動的だ.5
「サピア・ウォーフの仮説」(言語が知覚のあり方をかたちづくるという考え)への言及,ハンナ(Hannah)が左右対称な名前であること等,伏線も有効.一見の価値あり.
★★★★☆(★5個が満点)
にほんブログ村 映画ブログへ
にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ
ブログランキング・にほんブログ村へ
人気ブログランキングへ

| コメント (0) | トラックバック (4)

2017/05/19

独断的映画感想文:ブルックリン

日記:2017年5月某日
映画「ブルックリン」を見る.1_2
2015年.監督:ジョン・クローリー.
出演:シアーシャ・ローナン(エイリシュ・レイシー),ドーナル・グリーソン(ジム・ファレル),エモリー・コーエン(トニー・フィオレロ),ジム・ブロードベント(フラッド神父),ジュリー・ウォルターズ(キーオ夫人).2_2
アイルランドの田舎町エニスコーシーに住む少女エイリシュは,意地悪な女店主の食料品店で働く.父親を亡くし母と姉の3人暮らしに抱く閉塞感から,姉の力添えを得て在米の神父に職を見つけて貰い,エイリシュは渡米を決意する.
辛い船旅を経てブルックリンに到着したエイリシュは,ブルックリンのデパートに就職し下宿暮らしが始まるが,全てに気後れし激しいホームシックに襲われる.神父の勧めと助力で,夜学の大学で簿記を学び始めたエイリシュは,ダンスパーティーでイタリア人の配管工トニーと出会いつき合うようになる….3_2
この映画は,一人のアメリカ女性誕生の物語である.
アイルランドの田舎から必死の決意で渡米してきた少女が,アメリカ社会の中に居場所を見つけ自身のアイデンティティを育て上げ,アメリカ人として生きることを決意していくその過程は,それだけでドラマチックな物語だ.
また,移民の子らに馴れているデパートの上司や,アイルランド移民を親身に世話する神父,厳格だが人を良く見ている下宿の寮母キーオ夫人等,必要な時に示される人情厚いブルックリンの人々の援助にも,ほろりとさせられる.4_2
恋人トニーもイタリア移民なのだ.トニーがイタリア女性が嫌いで,アイルランド女性をナンパするべくアイルランド人のダンス会場に潜り込んだという話も,移民社会らしい話でおかしい.
終盤の展開,恋の結論がどうなるかも,ドキドキさせて秀逸.5_2
主演のシアーシャ・ローナンが,初々しく聡明な少女を演じてはまり役である.如何にも映画音楽らしいマイケル・ブルックの音楽も素敵だった.
★★★★(★5個が満点)
にほんブログ村 映画ブログへ
にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ
ブログランキング・にほんブログ村へ
人気ブログランキングへ

| コメント (0) | トラックバック (0)

独断的映画感想文:海よりもまだ深く

日記:2017年5月某日
映画「海よりもまだ深く」を見る.1
2016年.監督:是枝裕和.
出演:阿部寛(篠田良多),真木よう子(白石響子),小林聡美(中島千奈津),リリー・フランキー(山辺康一郎),池松壮亮(町田健斗),吉澤太陽(白石真悟),橋爪功(仁井田満),樹木希林(篠田淑子).
良多は全く売れない小説家,50歳.2
取材の為と称して探偵社に勤めているが,今はそれが本業.業務上知り得た情報を別売りしたり,ゆすりを働いたりして小銭を稼ぐが,その小銭もギャンブルに費やしてしまう.
離婚した妻子とは月1回会うが,その条件たる養育費の支払いは滞りっぱなしで,小学生の息子は素直に父とつき合っているが,妻は新しい恋人に向け人生の舵を切り始めている.
3
良多は未だに妻子に執着し時には妻を監視・尾行,探偵社の後輩・町田はそんな良多に辛抱強くつき合うが….
煮詰まった彼等の人間関係が,ある台風の夜に一つの転換を果たすまでが描かれる.
無頼な生活を送りながら親・姉・妻子への見栄ははり続け,一方では年金生活の母親の貯金通帳の在処を物色するという,何とも情けない篠田良多を阿部寛が,良多と絡む誠に等身大の母親を樹木希林が,それぞれ好演.
助演陣も好感が持てるが,特に淡々と良多の無頼な人生につき合っている町田役の池松壮亮が良い.4
映画は,如何にも今の日本にありそうな,決定的な衝突を回避しつつも破綻していたりうまくいかなかったりする人間関係を,篠田良多という,堂々たる体躯の駄目人間を通して見事に描いている.5
良多と母親の「あれして」という指示代名詞の多用が目立つ口癖,3回言ったら嘘だと判る良多の口癖(本当だよ,いや本当本当)も効果的.
題名の由来であるテレサ・テンの「別れの予感」を,母親と良多が聞きながら話しているシーンには泣けてきた.
★★★★(★5個が満点)
にほんブログ村 映画ブログへ
にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ
ブログランキング・にほんブログ村へ
人気ブログランキングへ

| コメント (0) | トラックバック (4)

2017/05/11

独断的映画感想文:ちはやふる 下の句

日記:2017年4月某日
映画「ちはやふる 下の句」を見る.1
2016年.監督:小泉徳宏.
出演:広瀬すず(綾瀬千早),野村周平(真島太一),真剣佑(綿谷新),上白石萌音(大江奏),矢本悠馬(西田優征),森永悠希(駒野勉),清水尋也(須藤暁人),坂口涼太郎(木梨浩),松岡茉優(若宮詩暢),松田美由紀(宮内妙子),國村隼(原田秀雄).2
人気漫画を原作とする2部作の第2部.
全国大会出場が決まった瑞澤高校カルタ部.しかし部長の太一はA級を取るのに専念,千早はクィーンが高校生と知ってクィーンに挑戦することに夢中,部室はこれも全国大会を目指す吹奏楽部の音に邪魔され,カルタ部は分裂崩壊の危機に直面する.3
一方,金沢の新は祖父の法要に現れたクィーンの若宮詩暢に,カルタを捨てたのかと迫られたが….
第2部が,第1部の個々人の成長からチームとしての成長に重点を移していったのは,物語の展開として定番である.
そのオーソドックスな展開に感銘を受けたのは,監督にしてやられたということなのだろう.
すっかり個々人として成長したカルタ部部員の面々に,個人レベルの強さに執着して苦杯をなめ落ち込む太一・千早は,最終的に救われる.そのハラハラどきどきがこの映画の魅力.4
広瀬すず,大江奏,松岡茉優ら女優陣がいずれも奮闘.真剣佑は台詞の少ない役を良く演じている.
映画はこの後に解決編(ちはやふる 結び)のあることが暗示されるが,これ1作で充分に楽しめる映画.5
★★★★(★5個が満点)
にほんブログ村 映画ブログへ
にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ
ブログランキング・にほんブログ村へ
人気ブログランキングへ

| コメント (0) | トラックバック (4)

独断的映画感想文:はじまりは5つ星ホテルから

日記:2017年4月某日
映画「はじまりは5つ星ホテルから」を見る.51
2013年.監督:マリア・ソーレ・トニャッツィ.
出演:マルゲリータ・ブイ(Irene Lorenzi),ステファノ・アコルシ(Andrea),レスリー・マンヴィル(Kate Sherman),ファブリツィア・サッキ(Silvia Guerrieri),ジャン・マルコ・トニャッツィ(Tommaso),アレッシア・バレーラ(Fabiana).52
イレーネは世界中の五つ星ホテルのサービスを査定する覆面調査員.出張しては高級ホテル生活を送りながらサービスを厳しくチェックする.
帰宅すれば元カレのアンドレアとつき合ったり,そそっかしくてしょっちゅう失くしものをしている妹・シルヴィアの一家と過ごしたり,自分の生活に満足していたイレーネだが….53
40才独身の女性が人生の過ごし方に疑問を感じ始め,別の視点の行き方を求めていく過程を描く.といっても肩のこる映画ではなく,ドラマチックな物語の展開がある訳でもないほのぼの映画.
実在の五つ星ホテルのサービスぶりや,美しい各地のロケが素敵な映画.イタリア映画だが,やや国籍不明で(主人公がいろいろな国に行くからでもあるが),フランス映画だと言われてもジャパンドメスチックな小生には区別は付かない.54
ただし映画として隙は無く,充分楽しめる.★★★☆(★5個が満点)
にほんブログ村 映画ブログへ
にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ
ブログランキング・にほんブログ村へ
人気ブログランキングへ

| コメント (0) | トラックバック (0)

2017/05/09

番外:独断的歌舞伎感想文 4月大歌舞伎 夜の部:傾城反魂香/帯屋/奴道成寺

日記:2017年4月某日
「4月大歌舞伎 夜の部」を見る.Img_20170423_155815a
「近松門左衛門作 一、傾城反魂香(けいせいはんごんこう) 土佐将監閑居の場」.出演:浮世又平後に土佐又平光起(吉右衛門),女房おとく(菊之助),狩野雅楽之助(又五郎),土佐修理之助(錦之助),土佐将監(歌六),将監北の方(東蔵).「二、桂川連理柵(かつらがわれんりのしがらみ) 帯屋」.出演:帯屋長右衛門(藤十郎),信濃屋娘お半/丁稚長吉(壱太郎),義母おとせ(吉弥),隠居繁斎(寿治郎),弟儀兵衛(染五郎),長右衛門女房お絹(扇雀).「三代猿之助四十八撰の内 三、奴道成寺(やっこどうじょうじ)」.出演:白拍子花子実は狂言師左近(猿之助),所化(尾上右近),同(種之助),同(米吉),同(隼人),同(男寅),l同(初舞台龍生).
傾城反魂香は吉右衛門と菊之助の夫婦が新鮮.
菊之助は美人過ぎて,夫の代わりにお愛想を言って愛嬌を振りまくのが,ややとってつけた様だが,情感たっぷり.
吉右衛門は苦悩の後の喜びの爆発が,見ていて胸を打たれる.歌六・東蔵の師匠夫婦も素晴らしい.
又五郎が短い出演で舞台を引き締めた感じ.
帯屋は,元来自分はこういう上方の突っ転ばしが不得意.藤十郎は声が小さく何を言っているのか良く判らない.舅役の寿治郎も藤十郎よりは若いと言っても80才,所作が危なっかしく見ていてハラハラする.
楽しめないうちに,良く判らないまま舞台は終わってしまった.壱太郎は丁稚とお嬢さんの2役でいずれも良い出来.
奴道成寺は猿之助の踊りが素晴らしい.
この人の踊りは日本舞踊の動きをきっちり押さえた上で,どこか現代的な感じを受ける.テンポも良く見ていて気分が晴れ楽しくなる.所化の右近,種之助,米吉,隼人等も良い踊り.
にほんブログ村 映画ブログへ
にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ
ブログランキング・にほんブログ村へ
人気ブログランキングへ


| コメント (0) | トラックバック (0)

2017/05/02

独断的映画感想文:ターザン REBORN

日記:2017年4月某日
映画「ターザン REBORN」を見る.1_2
2016年.監督:デイヴィッド・イエーツ.
出演:アレクサンダー・スカルスガルド(John Clayton/Tarzan),マーゴット・ロビー(Jane Clayton),サミュエル・L・ジャクソン(George Washington Williams),クリストフ・ヴァルツ(Leon Rom).
一部ネタばらしあります.5_2
19世紀末,コンゴの支配権を列強から認められたベルギー王・レオポルドは,開発資金の枯渇に悩み,レオン・ロムをあるコンゴの族長のもとに送る.
目的は族長の保有するダイアモンドを資金として,コンゴ全土の制圧と住民の奴隷化を図ることであった.
一方,レオポルド国王はコンゴ開発への英国の支援を求め,その視察にグレイストーク卿:ジョン・クレイトンの派遣を依頼してくる.3_2
ジョンは妻ジェーンと米国特使で黒人のジョージと共にコンゴに向かい,ターザンとして生まれ育った故郷の村にまず到着したが….
ターザン誕生の過去のシーンと現在のレオン・ロム一派との争闘をない交ぜて綴るターザンの物語.2_2
物語は動物と黒人の味方・ターザンが,ダイアに目が眩んで動物も黒人も殺しまくる白人達を懲らしめるという単純なもので,クライマックスで動物たちが一致協力して白人に立ち向かうという漫画チックな展開となるのは,いささかがっくり.
但しCGは良く出来ているし,ターザンの肉体美には魅了される.後に残るものはないが,楽しいエンタテインメント映画.
★★★(★5個が満点)
にほんブログ村 映画ブログへ
にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ
ブログランキング・にほんブログ村へ
人気ブログランキングへ

| コメント (0) | トラックバック (3)

独断的映画感想文:64 ロクヨン 後編

日記:2017年4月某日
映画「64 ロクヨン 後編」を見る.2
2016年.監督:瀬々敬久.
出演:佐藤浩市(三上義信),綾野剛(諏訪),榮倉奈々(美雲),夏川結衣(三上美那子),緒形直人(目崎正人),窪田正孝(日吉浩一郎),坂口健太郎(手嶋),筒井道隆(柿沼),鶴田真由(村串みずき),赤井英和(望月),菅田俊(漆原),烏丸せつこ(日吉雅恵),小澤征悦(御倉),金井勇太(蔵前),芳根京子(三上あゆみ),菅原大吉(石井),柄本佑(落合),椎名桔平(辻内欣司),滝藤賢一(赤間),奥田瑛二(荒木田),仲村トオル(二渡真治),吉岡秀隆(幸田一樹),瑛太(秋川),永瀬正敏(雨宮芳男),三浦友和(松岡勝俊).5
横山秀夫のベストセラーを2部作で製作した後編.
警察庁長官視察の前日に新に発生した,ロクヨンをなぞる様な女子誘拐事件.県警刑事部は警務部との確執から一切情報を出さず,記者クラブとの関係改善に努力する広報課は窮地に立たされる.3
三上は必死の努力で情報公開を維持する一方,誘拐事件の犯人究明からロクヨンの真相追及に突き進む….
捜査ミス隠蔽に動く県警幹部と,県警人事を手に入れようとする警察庁キャリアとの暗闘が,いずれも厚い壁となって三上等の動きを封じる中,僅かなスキからねじ込んで真相に至ろうとする三上の苦闘がよく描かれ,印象的だ.4
個性あるそれぞれの俳優達が充分持ち味を発揮して,誠に見応えあり.特に緒形直人の悪鬼の様な目つきが心に残った.
三上と全く異なった対応を取りながらも,三上と最終的には方向を一致させていた警務部幹部・二渡の動きはやや判りにくく,説明不足を感じた.1
しかし全体としては映画らしい映画.
★★★★(★5個が満点)
にほんブログ村 映画ブログへ
にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ
ブログランキング・にほんブログ村へ
人気ブログランキングへ

| コメント (0) | トラックバック (5)

« 2017年4月 | トップページ