独断的映画感想文:ブルックリン
日記:2017年5月某日
映画「ブルックリン」を見る.
2015年.監督:ジョン・クローリー.
出演:シアーシャ・ローナン(エイリシュ・レイシー),ドーナル・グリーソン(ジム・ファレル),エモリー・コーエン(トニー・フィオレロ),ジム・ブロードベント(フラッド神父),ジュリー・ウォルターズ(キーオ夫人).
アイルランドの田舎町エニスコーシーに住む少女エイリシュは,意地悪な女店主の食料品店で働く.父親を亡くし母と姉の3人暮らしに抱く閉塞感から,姉の力添えを得て在米の神父に職を見つけて貰い,エイリシュは渡米を決意する.
辛い船旅を経てブルックリンに到着したエイリシュは,ブルックリンのデパートに就職し下宿暮らしが始まるが,全てに気後れし激しいホームシックに襲われる.神父の勧めと助力で,夜学の大学で簿記を学び始めたエイリシュは,ダンスパーティーでイタリア人の配管工トニーと出会いつき合うようになる….
この映画は,一人のアメリカ女性誕生の物語である.
アイルランドの田舎から必死の決意で渡米してきた少女が,アメリカ社会の中に居場所を見つけ自身のアイデンティティを育て上げ,アメリカ人として生きることを決意していくその過程は,それだけでドラマチックな物語だ.
また,移民の子らに馴れているデパートの上司や,アイルランド移民を親身に世話する神父,厳格だが人を良く見ている下宿の寮母キーオ夫人等,必要な時に示される人情厚いブルックリンの人々の援助にも,ほろりとさせられる.
恋人トニーもイタリア移民なのだ.トニーがイタリア女性が嫌いで,アイルランド女性をナンパするべくアイルランド人のダンス会場に潜り込んだという話も,移民社会らしい話でおかしい.
終盤の展開,恋の結論がどうなるかも,ドキドキさせて秀逸.
主演のシアーシャ・ローナンが,初々しく聡明な少女を演じてはまり役である.如何にも映画音楽らしいマイケル・ブルックの音楽も素敵だった.
★★★★(★5個が満点)
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