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2017/06/23

独断的映画感想文:クー嶺街少年殺人事件

日記:2017年6月某日
映画「クー嶺街少年殺人事件」を見る.
1991年.監督:エドワード・ヤン.1_2
出演:チャン・チェン(小四(シャオスー)/張震),リサ・ヤン(小明(シャオミン)),ワン・チーザン(王茂/小猫王(ワンマオ/リトル・プレスリー)),クー・ユールン(飛機(フェイジー)),タン・チーガン(小馬(シャオマー)),ジョウ・ホェイクオ小虎((シャオフー)),リン・ホンミン(ハニー),チャン・ホンユー(滑頭(ホアトウ)),ワン・ゾンチェン(二條(アーティアオ)),タン・シャオツイ(小翠(シャオツイ)),ヤン・シュンチン(山東(シャンドン)).2_2
国民政府が大陸から台湾に撤退して10年たった1960年,台湾国内はまだ安定せず社会は不安に覆われていた.
上海から移住した張家の次男・小四は夜間中学に通っている.小四の同級生・王茂(ワンマオ),飛機(フェイジー),滑頭(ホアトウ)らは「小公園」という不良グループに属していたが,リーダーのハニーは対立グループ「217」のボスを殺して台南に逃げたらしい.
小四が学校で知り合った少女小明は,ハニーの女だという.小明と親しくなった小四は,ある日対立グループ217に見つかり因縁をつけられるが,転校生で軍の指令官の息子小馬に助けられる.
217グループとの抗争,学校の隣の映画スタジオへの潜入,小明や小馬を中心とした級友達とのつき合いに,小四の生活は過ぎて行くが,或る日ハニーが台南から戻ってくる.一方,小四の父はある晩突然,秘密警察に連行される….3_3
国民政府がまだ大陸反攻を呼号していた1960年代の台湾を舞台に,中学生による殺人事件とその社会的背景を描く映画.
中学とは言え,夜間部だけにかなり年かさの生徒や様々な境遇の生徒がいるうえ,国家の締め付けも厳しく学生生活は緊張感に満ちている.
そのなかで比較的真面目に過ごしていた小四が,ハニーと出会ったことで受けた影響が,思わぬ悲劇に繋がっていく展開が印象的だ.4_2
小四を演じたチャン・チェンはこの映画の後「レッドクリフ」の孫権役等で活躍している.小明は母子家庭の貧しい娘で,大人と子供の両面を持つ複雑なキャラクターだが,演ずるリサ・ヤンはやや魅力不足だったか.いずれにしろ登場人物が大勢で,その人間関係を掴むのも一苦労だった.
本編は4時間に及ぶ長尺で,映画そのものに退屈はしないが,3時間を越すあたりでは中座する客が出始め集中を削がれた.
映画の中でラジオから「潮来笠」の台湾語バージョンが流れていたり,この時代の台湾の風景も興味深い.
★★★☆(★5個が満点)
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