独断的映画感想文:マンチェスター・バイ・ザ・シー
日記:2017年5月某日
映画「マンチェスター・バイ・ザ・シー」を見る.
2016年.監督:ケネス・ロナーガン.
出演:ケイシー・アフレック(リー・チャンドラー),ミシェル・ウィリアムズ(ランディ),カイル・チャンドラー(ジョー・チャンドラー),グレッチェン・モル(エリーズ・チャンドラー),ルーカス・ヘッジズ(パトリック).
ボストンに住むリーは独り身の便利屋,腕は良いが客あしらいは悪く,おまけに酒場では時に暴力事件を引き起こす.
そのリーに,ボストンから北東にある漁村マンチェスター・バイ・ザ・シーに住む兄ジョーが倒れたとの連絡が入る.リーは急行するが,既に兄は死亡していた.
兄の一人息子パトリックとは,以前リーがマンチェスター・バイ・ザ・シーに住んでいた頃良くつき合った仲だった.パトリックを学校に迎えに行き,兄の死を告げるリー.
翌日弁護士のもとを訪れたリーは,心臓病を抱えた兄が遺言で,リーをパトリックの後見人に指定していたことを知って驚く.リーには,マンチェスター・バイ・ザ・シーに戻って来る訳にはいかない,辛い過去があったのだが….
映画は,過去にリーがマンチェスター・バイ・ザ・シーでパトリックや自分の家族と仲良く暮らしていた時の追憶を交えつつ,パトリックと話し合いながら身の振り方を考えるリーの様子を淡々と描いていく.
アメリカ映画で描かれる,マサチューセッツ湾周辺の漁村の風景は,いつも美しい.その漁村を舞台にかってあった悲劇が今もリーを苦しめる.
リーを演じるケイシー・アフレックの寡黙な演技がまず素晴らしい.
16歳でホッケーとバスケで活躍しながら2人の女の子とつき合いバンドもやり,且つ父の跡を継いで漁師として暮らすつもりのパトリックが魅力的で,演じるルーカス・ヘッジズも素敵.このキャラクターのユーモアで,悲哀に満ちたこの映画の印象がバランスされている.
音楽も良い.
アルビノーニのアダージョをバックに,リーの直面した事件の回想が描かれるシーンは,圧倒的な悲劇的印象を与えるだろう.
アカデミー賞(主演男優賞・脚本賞)受賞に相応しい見応えある作品.
★★★★☆(★5個が満点)
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