独断的映画感想文:悪童日記
日記:2017年7月某日
映画「悪童日記」を見る.
2013年.監督:ヤーノシュ・サース.
出演:アンドラーシュ・ギーマント(双子),ラースロー・ギーマント(双子),ピロシュカ・モルナール(祖母),ウルリク・トムセン(将校),ウルリッヒ・マテス(父),ジョンジュヴェール・ボグナール(母).
一部ネタバレあります.
ハンガリー国境沿いの村に疎開してきた双子の兄弟,母親は彼等を不仲の実母(おばあちゃん)に預けて首都に去る.おばあちゃんはかって夫を殺したと疑われ,人々が「魔女」と密かに呼ぶ女,双子はその日からこき使われる.
双子はおばあちゃんの手伝いを確実にしてのけると共に,自学自習し,困難に耐える訓練を自分たちに課し,戦争で荒みきった社会をしたたかに生き抜いていく….
アゴタ・クリストフの1986年のベストセラーを映画化した作品,原作で今ひとつ実感の湧かなかった双子が見事に具現化された.
大人の様で子供,一人の様でふたりの双子の主人公が,誠に効果的に描かれている.
全体の雰囲気が,寓意性のあるスラブ民話の様になっているのも印象的.音楽が素晴らしいと思ったら,最近「メッセージ」や「ボーダーライン」でお馴染みとなったヨハン・ヨハンソンだった.
また双子の父親で惨めな兵士を演じているウルリッヒ・マテスは,「ヒトラー 〜最期の12日間〜」でゲッベルスを演じていた人である(何となく皮肉な感じを受ける).
映画全体としては,原作の衝撃的内容を良く表現し得ている.只,原作でもその理由が良く判らなかった,最終場面での双子の別離の理由は,映画でも観客の想像に任されている様だ.
★★★☆(★5個が満点)
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