独断的映画感想文:海辺の生と死
日記:2017年8月某日
映画「海辺の生と死」を見る.
2017年.監督:越川道夫.
出演:満島ひかり(大平トエ),永山絢斗(朔中尉),井之脇海(隼人少尉),川瀬陽太(大坪),津嘉山正種(トエの父).
太平洋戦争末期,奄美のカゲロウ島に海軍特攻艇の新隊長朔中尉が赴任してくる.国民学校の教師・大平トエは,隊員教育の為に本を借りに来た朔中尉と出会う.
軍歌より島唄に興味を示し,子供達とも親しむ朔中尉にトエは心を惹かれる.
やがて朔中尉は従卒の大坪を介して,トエに手紙を送ってくる様になり,二人は夜,塩焼き小屋で会うことになるが….
「死の棘」の作者・島尾敏雄と妻ミホが,戦時下奄美で出会った経緯をそれぞれが綴った小説を原作とする映画.戦時下の特攻隊,死を前提とした状況でのトエと朔中尉の恋が印象的だ.
沖縄出身だが,満島という名前は奄美にルーツを持つという満島ひかりが,圧倒的な存在感で画面を支配する.
映画は極めてゆっくりした画面展開で長回しを多用するが,俳優の充実した演技に違和感はない.トエと子供達が歌い踊る島唄の数々も耳に馴染む.
戦時下の離島で特攻隊基地がある環境,さまざまな問題が現実にはあったと思われるが,この映画はそれを飲み込んでひたすらトエと朔中尉を描く,言わばファンタジーだ.
映像も心に滲みて美しい.そういう映画として見応え充分.
★★★★(★5個が満点)
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