独断的映画感想文:三重スパイ
日記:2017年9月某日
映画「三重スパイ」を見る.
2003年.監督:エリック・ロメール.
出演:カテリーナ・ディダスカル(アルノシエ),セルジュ・レンコ(フョードル),グリゴリ・モヌコフ(ボリス),ディミトリ・ラファルスキー(ドブリンスキー将軍),アマンダ・ラングレ(ジャニーン),シリエル・クレール(マギー).
1936年5月のパリ.総選挙が行われ人民戦線支持派が勝利する.そのラジオ放送に聞き入るフョードルは,ロシア反革命派の白軍将校,今はパリで亡命ロシア人協会の事務職員をしている.
ギリシャの療養所で知り合った妻アルシノエは油絵が趣味.アパートの上階に引っ越してきた共産党支持者の教員夫婦とは,政治的意見は合わないながら食事を共にしたりする.
フョードルは情報通を自認し,会長のドブリンスキー将軍と共に各国の大使館員と会ったり外国に出張したり,多忙に活動している.
時代はスペイン内戦の勃発等揺れ動く一方,アルシノエは,友人からフョードルがベルリンでナチの政府関係者と会っていたと聞き,あるいはフョードル自身からロシア赤軍の士官学校に誘われていると聞き,フョードルの行動に疑問を抱く様になる….
映画は殆どが会話シーンで進行するが,その各ショットと俳優の表情の動きが良く合っていて,退屈を感じない.
少し古風なフィルムの色調と,挿入される記録映画のモノクロ画面も親和性があって,印象的だった.
映画は,個人の活動を問答無用で押しつぶす,この時代の国家機関の圧倒的な冷徹さを示して終了する.その前に翻弄されるアルシノエ・フョードルを演じた両俳優が見応えあり.
★★★☆(★5個が満点)
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