« 2017年8月 | トップページ

2017年9月に作成された記事

2017/09/23

独断的映画感想文:三重スパイ

日記:2017年9月某日
映画「三重スパイ」を見る.1_2
2003年.監督:エリック・ロメール.
出演:カテリーナ・ディダスカル(アルノシエ),セルジュ・レンコ(フョードル),グリゴリ・モヌコフ(ボリス),ディミトリ・ラファルスキー(ドブリンスキー将軍),アマンダ・ラングレ(ジャニーン),シリエル・クレール(マギー).2_2
1936年5月のパリ.総選挙が行われ人民戦線支持派が勝利する.そのラジオ放送に聞き入るフョードルは,ロシア反革命派の白軍将校,今はパリで亡命ロシア人協会の事務職員をしている.
ギリシャの療養所で知り合った妻アルシノエは油絵が趣味.アパートの上階に引っ越してきた共産党支持者の教員夫婦とは,政治的意見は合わないながら食事を共にしたりする.
フョードルは情報通を自認し,会長のドブリンスキー将軍と共に各国の大使館員と会ったり外国に出張したり,多忙に活動している.3_2
時代はスペイン内戦の勃発等揺れ動く一方,アルシノエは,友人からフョードルがベルリンでナチの政府関係者と会っていたと聞き,あるいはフョードル自身からロシア赤軍の士官学校に誘われていると聞き,フョードルの行動に疑問を抱く様になる….
映画は殆どが会話シーンで進行するが,その各ショットと俳優の表情の動きが良く合っていて,退屈を感じない.
少し古風なフィルムの色調と,挿入される記録映画のモノクロ画面も親和性があって,印象的だった.4_2
映画は,個人の活動を問答無用で押しつぶす,この時代の国家機関の圧倒的な冷徹さを示して終了する.その前に翻弄されるアルシノエ・フョードルを演じた両俳優が見応えあり.
★★★☆(★5個が満点)
にほんブログ村 映画ブログへ
にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ
ブログランキング・にほんブログ村へ
人気ブログランキングへ

| コメント (0) | トラックバック (0)

独断的映画感想文:マイ・ベスト・フレンド

日記:2017年9月某日
映画「マイ・ベスト・フレンド」を見る.1
2015年.監督:キャサリン・ハードウィック.
出演:トニ・コレット(ミリー),ドリュー・バリモア(ジェス),ドミニク・クーパー(キット),パディ・コンシダイン(ジェイゴ),タイソン・リッター(エース),フランシス・デ・ラ・トゥーア(ジル),ジャクリーン・ビセット(ミランダ).2
ミリーとジェスは子供の時からの大親友,初キスも初体験も互いの全てを知る間柄だ.ミリーは傍若無人,過激に暴走するタイプで,ジェスはその後始末や調整に奔走するタイプ.
それぞれ結婚しミリーは2人の子供に恵まれる日々.ミリーは或る日乳がんが発見され,ジェスの協力も得て療養生活に入るが,一方ジェスは不妊治療の甲斐あってようやく妊娠に成功する.ジェスはミリーにそれを打ち明けそびれているうちに,ミリーの病状は進行する….3
対照的な二人の女性の友情物語.トニ・コレットもドリュー・バリモアも好きな女優で,二人の競演が見応えあり.
生と死を分かつドラマだが,イギリス映画らしいユーモアもちりばめられ,最後まで楽しめた.特にジェスの出産にミリーが病をおして駆けつけるシーンは感銘的.4
ミリーの肉食系の母親を怪演するジャクリーン・ビセットも印象に残った.見て損はなし.
★★★☆(★5個が満点)5
にほんブログ村 映画ブログへ
にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ
ブログランキング・にほんブログ村へ
人気ブログランキングへ

| コメント (0) | トラックバック (1)

2017/09/19

独断的映画感想文:サン・ジャックへの道

日記:2017年9月某日
映画「サン・ジャックへの道」を見る.1_2
2005年.監督:コリーヌ・セロー.
出演:マニュエル・ロビン(クララ),アルチュス・ド・パンゲルン(ピェール),ジャン=ピエール・ダルッサン(クロード),パスカル・レジティミス(ギイ),マリー・ブネル(マチルド),マリー・クレメール(カミーユ),フロール・ヴァニエ=モロー(エルザ),ニコラ・カザレ(サイード),エメン・サイディ(ラムジ).2_2
ピエール,クララ,クロードの3兄弟は仲が悪い.ところが母親が死去,その少なからぬ遺産を相続するためには,3人はサンジャックまでの巡礼をしなければならない.
3人は仕方なく,フランスのル・ピュイ・アン・ヴレのノートル・ダム大聖堂からスペインにあるキリスト教の聖地サンティアゴ・デ・コンポステーラまでの,徒歩3ヶ月に亘る巡礼の旅に参加することになる.
ピエールは仕事人間で携帯を手離せないが,アル中の妻が心配.クララは高校教員で,多勢の子供を失業中の夫に任せて出てきた.3_2
クララとピエールは攻撃的で互いに罵り合い,つかみ合いまでする.クロードはアル中の女たらしで今まで働いたことはなく,人にたかって生きてきた.
この3人の他,ツアーには卒業旅行のカミーユとエルザの女子学生コンビ,カミーユに片思いして参加したサイードと,サイードにメッカ巡礼だと騙されて母親から2人分の旅費を貰って参加した従兄弟ラムジ,ガン闘病中のマチルドと,ガイドのギイがいる.波乱含みの9名の旅はこうしてスタートしたのだが….
長い旅で兄弟の仲は再建され,恋人たちは愛し合い,新たなカップルが出来という予測通りの大団円となるが,その巡礼の旅はなかなか厳しいもの.4_2
長い旅の風景描写はこの映画の素晴らしい特徴である.
まさに寝食を共にする生活の中で,巡礼者同士の理解も深まる.
当初はアラブ人であるギイ,サイード,ラムジを露骨に差別していたピエールが,スペインでアラブ人のみ牧師館への宿泊を拒否した牧師に向かい,「旅の同行者は兄弟だ!兄弟が別れ別れになることは出来ない!!」と叫ぶシーンは感銘的.5_2
皮肉屋のクララが,失読症のラムジに本気で字を教える様になる経過も素敵だ.いざという時に決定的に駄目人間だが,憎めないキャラのクロードも印象的.
人生の哀歓がユーモアに包まれて料理される.合間に挿入される幻想シーンも含め,如何にも映画らしい映画.見て損はなし.
★★★★(★5個が満点)
にほんブログ村 映画ブログへ
にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ
ブログランキング・にほんブログ村へ
人気ブログランキングへ

| コメント (0) | トラックバック (1)

独断的映画感想文:ザ・ブリザード

日記:2017年9月某日
映画「ザ・ブリザード」を見る.1
2016.監督:クレイグ・ギレスピー.
出演:クリス・パイン(バーニー・ウェバー),エリック・バナ(ダニエル・クラフ司令官),ケイシー・アフレック(レイモンド・シーバート),ベン・フォスター(リチャード・リヴシー),ホリデイ・グレインジャー(ミリアム),ジョン・オーティス(ウォレス).2
実話に基ずく物語.
映画の冒頭は1951年11月,沿岸警備隊1等水兵のバーニーは,ミリアムと初デート.翌年2月,二人は将来を誓う仲となり,司令官クラフに結婚の許可を貰うことになる.
その日,バーニーの所属するマサチューセッツ州チャタムの海域は大時化となり海難事故が続出,警備艇が出動した後からタンカー・ペンドルトン号遭難の知らせが入る.3
クラフ司令官はバーニーに出動を指示,バーニーは3名の同僚と共に小型警備艇で出動するが,遭難海域に向かう海は砂州の影響で,不規則に高潮の発生する危険海域だった.
一方,ペンドルトン号は船体が真っ二つに切断.船尾側機関室周辺の生存者は,浸水と闘いながらエンジンを保守して,何とか浅瀬に乗り上げ沈没を免れようと,1等機関士シーバートの指揮の下苦闘を続けていた….
映画はバーニーの警備艇が急行する模様と,ペンドルトン号の状況を交互に描きつつ,チャタムの警備局やミリアム達の動向を通じて,登場人物の背景も紹介していく.4
この映画の特徴は,第一に海との闘いを描くその迫力ある映像であろう.
夜の時化の海で,バーニー達は襲いかかる高潮をまるでサーファーの様にかいくぐり,波への突撃を繰り返す.一方ペンドルトン号では,舵に取り付けた鉄骨を操作しつつ,目視で浅瀬を目指し嵐の海を進む.
また,この映画は現場の腕利き達が上官の指示なしに,あるいは上官の指示に反して自分の意志を貫いていく物語でもある.5
バーニー達はクラフの指示で救難に向かうが,クラフは現場のことは良く判らない司令だった.どのコースを経てどう救難するかは,全てバーニーの判断による.一方ペンドルトン号は船橋を失っているので,無線もなく船長等の上級船員も皆無,こちらも全ての判断をシーバートが下す.アメリカ映画はこういう状況を描くのが好きな様だ.
映画の骨格は,海難救助のため人間が死力を尽くして自然と闘う,というはっきりしたもの.映像的にも見応えがあり,最後の結果は感銘的だ.見て損はなし.
但し邦題は海難救助の要素がなく,ちょっと不満.
★★★★(★5個が満点)
にほんブログ村 映画ブログへ
にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ
ブログランキング・にほんブログ村へ
人気ブログランキングへ


| コメント (0) | トラックバック (3)

2017/09/12

独断的映画感想文:パッセンジャー

日記:2017年9月某日
映画「パッセンジャー」を見る.1_2
2016年.監督:モルテン・ティルドゥム.
出演:ジェニファー・ローレンス(オーロラ・レーン),クリス・プラット(ジム・プレストン),マイケル・シーン(アーサー),ローレンス・フィッシュバーン(ガス).2
ネタバレあります.
5000人の乗客と290人のクルーが乗った宇宙船・アヴァロンは,120年の冬眠旅行後,新たな移住地に到着する予定.ところが乗客の一人ジムは90年早く覚醒してしまう.
冬眠ポッドの他は無人のまま自動航行する巨大宇宙船,途中での覚醒はあり得ないとしてシステムからは相手にされず,クルーの眠る管理エリアには立ち入ることが出来ない.
地球へ救援を求めるメールは応答があるまでに数十年かかる.
ジムはやむなく,たった一人の話し相手・バーテンダーロボットのアーサーを相手に,エコノミークラスのまずい食事で日々を過ごすが,1年後には孤独に耐えられなくなる.3_2
冬眠から一旦覚めると船内には入眠する設備はない.ジムは誰にも知られずに朽ち果てる運命にあった.
追い詰められたジムは,冬眠中の若く美しい乗客・オーロラを覚醒させてしまう.目覚めたオーロラはジムに覚醒させられたことを知らずに,自らの不運を嘆きながら次第にジムに心を許していく….
という設定の物語,宇宙船の造形や宇宙の景観はそれなりに見せる(「2001年宇宙の旅」の衝撃的な作りに比べれば何とも安易だが).しかし設定はSFだがその後の展開は全くSFではない.
ジムを覚醒させたシステムのエラーは次第に重篤なシステムの不全に発展していく訳だが,その解決策やその後の展開は極めて常識的.あっと驚く展開は全くないまま物語は終了する.4_2
ジムがオーロラを覚醒した行為も,オーロラが最後に下した選択も,あまり共感できない(というよりは設定の無茶苦茶さにそもそも腹が立つ).そういう意味で,主人公二人の熱演にもかかわらず,映画的面白さは得られなかった.
★☆(★5個が満点)
にほんブログ村 映画ブログへ
にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ
ブログランキング・にほんブログ村へ
人気ブログランキングへ

| コメント (0) | トラックバック (3)

独断的映画感想文:マリアンヌ

日記:2017年9月某日
映画「マリアンヌ」を見る.1
2016年.監督:ロバート・ゼメキス.
出演:ブラッド・ピット(マックス),マリオン・コティヤール(マリアンヌ),ジャレッド・ハリス(フランク).
第2次大戦中の情報工作員の物語.
1943年モロッコに潜入したパイロット・マックスは,レジスタンスの生き残り・マリアンヌと夫婦を演じてドイツ大使館のパーティーに出席,大使を射殺する任務に就く.3
死を賭した作戦は見事成功し,ロンドンに脱出した二人は互いに愛し合う様になり結婚,子供にも恵まれる.マックスは内勤に回され,ロンドンが空襲される中にも平穏な日々を過ごす.
ところがある日情報部に呼び出されたマックスは,妻がマリアンヌになりすました,ドイツのスパイである疑いがあると知らされる….4
前半は大使暗殺作戦のサスペンスと二人のロマンス,後半はマリアンヌの疑惑を晴らそうとするマックスの悪戦苦闘を描く.
本作は映像的にはあまり大作感はない.モロッコの砂漠の描写も中途半端だし,戦争映画なのに戦闘シーンはなし.
それよりもこの映画は俳優を見る映画,ブラッド・ピットとマリオン・コティヤールを見る映画だ.
後半,マックスはマリアンヌの正体を知る手掛かりを求めて奔走しながら,それを覆い隠してマリアンヌとの日常を過ごす.一方マリアンヌは夫の普段と異なる行動を気に止めながら,常に変わらぬ愛情を夫に注ぐ.5
果たして彼女はスパイなのか本当のマリアンヌなのか.それぞれを演じる二人の演技が充実.特にマリオン・コティヤールの最後のシーンは心に残る.
ブラッド・ピットは若々しいが,表情に昔の様なシャープさがあればもっと良かった.
★★★☆(★5個が満点)
にほんブログ村 映画ブログへ
にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ
ブログランキング・にほんブログ村へ
人気ブログランキングへ

| コメント (0) | トラックバック (3)

2017/09/08

独断的映画感想文:あやしい彼女

日記:2017年9月某日
映画「あやしい彼女」を見る.1_2
2016年.監督:水田伸生.
出演:多部未華子(大鳥節子),倍賞美津子(瀬山カツ),要潤(小林拓人),北村匠海(瀬山翼),金井克子(相原みどり),志賀廣太郎(中田次郎),温水洋一(写真館の店主),小林聡美(瀬山幸恵).
口うるさくお節介の瀬山カツは,幼馴染みの次郎の風呂屋を手伝う一方,娘の幸恵と孫の翼の世話で忙しい毎日を過ごす73歳.4_2
ところが或る日幸恵と喧嘩,家を飛び出したカツは,通りの写真館に引き寄せられる.オードリー・ヘプバーンの様に撮ってあげますと言われ,その気になって写真を撮ったカツ,ところが店を出てみたら何と20歳になっていた.
吃驚したカツは人生のやり直しを決意,髪型もファッションも変え,名前も大鳥節子と変えて次郎の風呂屋に居候.商店街のベントで披露した昭和歌謡が,通りすがりの音楽プロデューサー小林に受け,節子は翼のバンドのボーカルとしてフェス出場を目指すが….2_2
韓国映画「怪しい彼女」のリメイクだがオリジナルは未見.
瀬山カツの前半生の描き方等,プロットや映像が今ひとつな所等,突っ込みどころはいろいろあるが,話の辻褄は何とか合っている.
それよりとにかく,多部未華子が可愛くてうまい.5_2
特にステージ上では,歌も味があるし舞台女優らしい立ち居振る舞いも魅力的.彼女の「悲しくてやりきれない」やフェスで歌った「帰り道」は印象的だった.
コメディエンヌとしても,テンポと言い表情と言い申し分ない.6
(ネタバレですが,)残念ながら大鳥節子は結局瀬山カツに戻ってしまうのだが,ラストシーンはなかなか面白かった.
見て損はなし,★★★☆(★5個が満点).
にほんブログ村 映画ブログへ
にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ
ブログランキング・にほんブログ村へ
人気ブログランキングへ

| コメント (0) | トラックバック (2)

独断的映画感想文:山河ノスタルジア

日記:2017年9月某日
映画「山河ノスタルジア」を見る.1
2015年.監督:ジャ・ジャンクー.
出演:チャオ・タオ(タオ),チャン・イー(ジンシェン),リャン・ジンドン(リャンズー),ドン・ズージェン(ダオラー),シルヴィア・チャン(ミア).2
1999年,山西省・汾陽で暮らすタオは小学校の教師,地元の祭で歌を歌い踊りを踊る.その幼馴染み,炭鉱労働者のリャンズーと企業家のジンシェンは,共にタオに心を寄せる.
ジンシェンはタオに強く求愛すると共に,リャンズーの勤める鉱山を買収,リャンズーをクビにしてしまう.タオはジンシェンと結婚,リャンズーは汾陽から姿を消した.
2014年,リャンズーは長年の鉱山労働がたたって体を壊し,妻子と共に汾陽に戻って来る.治療には大金がかかり,リャンズーはタオの援助を受ける.3
タオはジンシェンと別れ,息子ダオラーは父と共に上海で暮らしていた.その後タオの父が急死,タオは葬儀のために呼び寄せたダオラーと僅かな時を共に過ごす.
更に2025年,2014年にオーストラリアに移住したジンシェンとダオラーは,ジンシェンは英語が話せずに孤立して暮らし,ダオラーは既に中国語を忘れて大学に通っていた.ダオラーのうちには,自己のアイデンティティに関する悩みや,父との葛藤が渦巻いていた….4
近い過去から始まり近未来へ至る大河物語.日本的大河物語とは肌合いは違うが,我々はどこから来たのか・何処へ行くのか,という視点には,中国人としてはこう考えているのかと共感できるものがある.
時代と共にフィルイムサイズがスタンダードから次第に拡がっていく仕掛けや,冒頭とラストシーンが同じヒット曲Go Westで彩られていることも興味深かった.
俳優ではやはりチャオ・タオが青春時代から壮年までを,全く違和感なく演じて秀逸.未来編のダオラーを演じたドン・ズージェンも良い感じ.5
2025年の世界が,携帯が進化していた以外は,1999年と何も変わらぬ荒涼とした風景だったことも印象深い.悪くない映画.
★★★☆(★5個が満点)
にほんブログ村 映画ブログへ
にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ
ブログランキング・にほんブログ村へ
人気ブログランキングへ

| コメント (0) | トラックバック (0)

2017/09/05

独断的映画感想文:キャロル

日記:2017年9月某日
映画「キャロル」を見る.1_2
2015年.監督:トッド・ヘインズ.
出演:ケイト・ブランシェット(キャロル・エアード),ルーニー・マーラ(テレーズ・ベリベット),サラ・ポールソン(アビー),ジェイク・レイシー(リチャード),カイル・チャンドラー(ハージ).
映画の冒頭,たそがれのニューヨーク.雑踏をコートを着てソフト帽をかぶった男が進む,それを追うカメラ.
男はホテルに入りバーに寄る.その前のラウンジで向かい合って座っているキャロルとテレーズ.男はテレーズに声をかけキャロルを紹介される.4
ここから映画は二人の出会いのシーンに戻る.
デパートの売り子・テレーズは,玩具の買い物に立ち寄ったキャロルの堂々たる印象と美しさに魅惑される.キャロルは手袋を売り場に忘れ,それを送ったことでテレーズは彼女と親交を持つ様になる.
テレーズは写真家志望,一方キャロルは夫・ハージとの離婚が決まり娘の親権の交渉中だった.ハージはクリスマスに娘を自宅に連れ去ったのを機に,キャロルの旧友・アビーやテレーズとの親密すぎる交際を言い立てて,娘の親権を独占しようと申し立てる.
娘を奪われた傷心のキャロルは,テレーズに長い旅行への同行を誘い,テレーズはそれを受けたが….2_2
1950年代,徹底した男社会の中での,キャロルとテレーズの恋愛を描く.衣装・車を始め,隙がなく表現されたこの年代の映像が美しい.
時代を背景としたキャロルとテレーズの真剣な恋愛がじっくりと描かれ,誠に見応えがある.
ケイト・ブランシェットがさすがに貫禄の演技,一方ルーニー・マーラは,この恋愛の中でひととしても成長していく若い女性を瑞々しく演じる.この人が「ドラゴン・タトゥーの女」のリスベットだったとは,最後まで気がつかなかった.3_2
性的マイノリティの恋愛と言うより,制約ある社会での真摯な恋愛劇として,印象的な映画である.
終盤,映画は冒頭に戻り,ホテルのラウンジで向かい合って座っているキャロルとテレーズ.男がやって来てテレーズに声をかける.キャロルと別れ男とパーティーに行くテレーズ.
その後のラストシーンはなかなかに素敵です.見て損はない映画.
★★★★(★5個が満点)
にほんブログ村 映画ブログへ
にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ
ブログランキング・にほんブログ村へ
人気ブログランキングへ

| コメント (0) | トラックバック (2)

独断的映画感想文:ハイヒールを履いた女

日記:2017年9月某日
映画「ハイヒールを履いた女」を見る.1
2012年.監督:バーナビー・サウスコーム.
出演:シャーロット・ランプリング(アンナ・ウェルズ),ガブリエル・バーン(バーニー・リード),エディ・マーサン(ケヴィン・フランクス),ジョディ・メイ(ジャネット・ストーン),ラルフ・ブラウン(ジョージ・ストーン),マックス・ディーコン(スティーヴィー),オナー・ブラックマン(ジョーン),ヘイリー・アトウェル(エミー).
独身パーティーに出席していたジョージの死体が,自宅マンションで発見される.その夜負傷して帰宅したジョージの別居中の息子が捜査線上に浮かぶ.
一方,捜査を指揮するリード警部は,現場マンションで見かけたアンナに心惹かれ,彼女の車のナンバーを調べさせて彼女を尾行,彼女と同じ独身パーティーに出席して彼女とつき合い始める….2
ところで観客はこれより前に,アンナが事件当夜の独身パーティーで,ジョージと歓談しているのを知っている.アンナが犯人の可能性は高いのに,警部がその可能性を無視してアンナとつきあい始めるのは腑に落ちない.
アンナは謎めいた女で,ジョージ殺害犯だとしたら娘や孫と歓談する屈託の無さは理解できない.一方で時折見せる暗鬱な無表情はどういうことか.
実はこの作品には映画的トリックがあって,最後には意外な事実が明らかになる.
しかしそこに至るプロットにはどうも腑に落ちない点が多い.何より,シャーロット・ランプリングが性的な意味も含めて,警部が捜査そっちのけで魅了される存在だというキャスティングが,ムチャである.3
カメラの色調等,印象的な面もあるし,ガブリエル・バーンは好きな俳優(「ミラーズ・クロッシング」「ユージョアル・サスペクツ」が良かった)だけど,映画としては落第点.
★★☆(★5個が満点)
にほんブログ村 映画ブログへ
にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ
ブログランキング・にほんブログ村へ
人気ブログランキングへ

| コメント (0) | トラックバック (0)

2017/09/04

独断的映画感想文:スーサイド・スクワッド

日記:2017年9月某日
映画「スーサイド・スクワッド」を見る.1
2016年.監督:デヴィッド・エアー.
出演:ウィル・スミス(デッドショット(フロイド・ロートン)),ジャレッド・レトー(ジョーカー),マーゴット・ロビー(ハーレイ・クイン(ハーリーン・クインゼル)),ジョエル・キナマン(リック・フラッグ大佐),ヴィオラ・デイヴィス(アマンダ・ウォラー),ジェイ・コートニー(キャプテン・ブーメラン(ディーガー・ハークネス)),ジェイ・ヘルナンデス(エル・ディアブロ(チャト・サンタナ)),アドウェール・アキノエ=アグバエ(キラー・クロック(ウェイロン・ジョーンズ)),アイク・バリンホルツ(グリッグス),スコット・イーストウッド(エドワーズ),カーラ・デルヴィーニュ(エンチャントレス(ジューン・ムーン)),福原かれん(カタナ(タツ・ヤマシロ)).2
スーパーマンの死後(という始まりは唐突だが,映画「バットマン vs スーパーマン」後の世界という設定らしい),政府は担当長官アマンダ・ウォーラスの提案を受け入れ,重罪を犯し収監中の特殊能力者を組織したスーサイド・スクワッド(自殺部隊)を組織することにする.
ところがその一員・考古学者のムーン博士に取り憑いた古代神エンチャントレスは暴走し,弟神のインキュバスを呼び出して都市を破壊し始める.3
アマンダは部隊に要人の救出と,エンチャントレス・インキュバスの制圧を命じるが….
設定は面白いが,筋と言うほどの筋がない映画.
ネタ晴らしを言えば,救出対象の要人とはアマンダ自身のことで,アマンダは自分が呼び出したエンチャントレスの暴走に窮地に陥り,部隊をもってエンチャントレスを制圧したが,その間に都市は破壊され通信衛星は打ち落とされ,軍事施設は爆発しする.5
アマンダの独り相撲の尻ぬぐいを見せられる映画という筋である.
元来がアメコミなので,アマンダの悪辣さにまともに反発しても意味はないが,物語自体は全く共感する余地がない.むしろ各キャラクターの面白さを見るべき映画である.
その点ではやはりウィル・スミス演じるデッドショットは見応えがあるし,ハーレイ・クインは凶暴だが可愛い(ところでこの人は特に特殊能力はないのに何で抜擢されたのかしら?).ジョーカーも(出てくる意味は良く判らないが),強烈な存在感.4
前半はつまらないが,ラストはそれなりに盛り上がって終わる.後に何も残らないが,暴れた後の爽快感は何となく感じる映画.
★★☆(★5個が満点)
にほんブログ村 映画ブログへ
にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ
ブログランキング・にほんブログ村へ
人気ブログランキングへ

| コメント (0) | トラックバック (3)

独断的映画感想文:わたしに会うまでの1600キロ

日記:2017年8月某日
映画「わたしに会うまでの1600キロ」を見る.16001
2014年.監督:ジャン=マルク・ヴァレ.
出演:リース・ウィザースプーン(シェリル・ストレイド),ローラ・ダーン(ボビー),トーマス・サドスキー(ポール),ミキール・ハースマン(ジョナサン),ギャビー・ホフマン(エイミー).16002
1995年に,主人公シェリル・ストレイドが北米太平洋岸のロングトレイル:パシフィック・クレスト・トレイル(PCT)を,カリフォルニア州のモハベ砂漠から,オレゴン州とワシントン州の州境:コロンビア川にかかるブリッジ・オブ・ザ・ゴッズまで,1100マイルに亘り踏破した回顧録に基ずく映画.
映画はトレイルに未経験だった彼女が当初突き当たった様々な失敗,大自然との肉体的苦闘,孤独な旅の中での精神的覚醒と,トレイルに旅立つ以前の彼女の生活を織り交ぜて描く.16003
旅に出る4年前,彼女は最愛の母を45歳の若さで失った.継父は彼等を既に捨てており,弟妹は離れて暮らしていて,シリルはヘロインに溺れ誰とでも寝る様になる.夫とも別れどん底の生活をしていた彼女は,26歳でPCTの旅に出る決意をする….16004
リース・ウィザースプーンは製作にも名を連ね,この映画への思い入れ充分な熱演が見応えあり.
特筆すべきはローラ・ダーン演じる母親で,この母親を失ったシェリルが絶望にうちひしがれることが納得出来る,充実の演技.両名のアカデミー賞ノミネートは当然であろう.
カメラも美しく,孤独に追い詰められたシェリルが,テント脇に来た狐に思わず話しかけるシーン等が印象的だった.見て損はなし.
★★★☆(★5個が満点)
にほんブログ村 映画ブログへ
にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ
ブログランキング・にほんブログ村へ
人気ブログランキングへ

| コメント (0) | トラックバック (3)

2017/09/01

独断的映画感想文:ハロルドが笑うその日まで

日記:2017年8月某日
映画「ハロルドが笑うその日まで」を見る.1_3
2014年.ノルウェー.監督:グンナル・ヴィケネ.
出演:ビヨーン・スンクェスト(ハロルド),ビヨーン・グラナート(イングヴァル・カンプラード),ファンニ・ケッテル(エバ).2_3
ノルウェーの北海に面する都市ベルゲン近郊のオサネで,40年以上にわたり家具店を経営してきたハロルド,品質を重視した家具作りにひたすら打ち込んできたが,或る日隣りにイケアの店舗がオープンした.
半年後ハロルドの店は閉店に追い込まれ,認知症の妻は老人ホームに入所した日に急死.全てを失ったハロルドは自らの店を焼き払い,イケアの創業者カンプラードを誘拐せんとおんぼろサーブに乗ってイケア創業の地・スウェーデンのエルムフルト目指し出発する.3_3
途中乗せた16歳の少女エバは誘拐作戦に賛同,エルムフルトでは幾つかの失敗後,偶然にも車がえんこして救援を求めていたカンプラードの誘拐に成功するが….
ノルウェーとスウェーデンがそれぞれどう違う国かも良く判らないが,それはそれとして面白い北欧のコメディ.
登場人物の組み合わせが絶妙で,ハロルドは仕事人間で妻は認知症,一人息子は記者だが泥酔を繰り返し今はクビに.エバはもと新体操選手の母と二人暮らしだが,母は寂しがりやで泥酔するか男を引き込んでいるかのどちらか.5
カンプラードは(実在存命の人物だが)やはり仕事人間(ただハロルドとは厳しさに大分差がある),息子ともうまくいっていないし,何かと言えば過去にナチ協力者だったことを追及するマスコミにもうんざりしている.
という訳で当初「誘拐」に熱心に取り組んだ彼等(カンプラードさえ「誘拐」には前向きで,ハロルドの方針に「そんなことではすぐ捕まってしまう」と助言する)だが,互いの状況が見えてくるに従って辺りを見回す余裕が出てくるという物語.
何事もうまくいかなかったハロルドが,そのこと自体を呵々大笑するという終盤のシーンには,ちょっとしんみりする.
4_3
しかし実存するカンプラードをこの様に描いたり,カンプラードにサーブの性能の悪さをぼろくそに言わせたり,北欧って不思議な国だという想いが改めて浮かんでくる映画.
ところでグーグルマップでオサネを検索したら,確かに大規模なイケアがありました.
★★★☆(★5個が満点)
にほんブログ村 映画ブログへ
にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ
ブログランキング・にほんブログ村へ
人気ブログランキングへ

| コメント (0) | トラックバック (0)

独断的映画感想文:人生は小説よりも奇なり

日記:2017年8月某日
映画「人生は小説よりも奇なり」を見る.1_2
監督:アイラ・サックス.
出演:ジョン・リスゴー(ベン・ハル),アルフレッド・モリナ(ジョージ・ガレア),マリサ・トメイ(ケイト・ハル),ダーレン・バロウズ(エリオット・ハル),チャーリー・ターハン(ジョーイ・ハル),シャイアン・ジャクソン(テッド),マニー・ペレス(ロベルト),クリスティナ・カーク(ミンディ),エリック・タバック(ヴラッド),クリスチャン・コールソン(イアン).2_2
ニューヨークのマンハッタンで39年間連れ添ってきた画家ベンと音楽教師ジョージのカップル.本日晴れて結婚式を親戚友人の列席を得て行い,部屋に戻ってパーティーをする.
ところが同性婚が司教の怒りを買い,ジョージは勤めていたカトリック系の学校をクビになる.3_2
経済的に窮地に立った二人は,長年暮らしたアパートを売り払い,次の部屋が見つかるまでの間,離ればなれになって居候暮らしをする羽目となる.
甥の一家と同居することになったベンは,甥夫婦やその息子ジョーイとつき合いながらジョーイの2段ベッドの下段を使い,一方ジョージは友人の黒人警官のソファで寝起きする生活となる….4_2
老ゲイカップルの思わぬ艱難辛苦を描く物語だが,アメリカ映画には珍しい上品で落ち着いた描写が好ましい.ショパンのピアノ曲を中心とした音楽も素敵.
何よりこの二人の愛情が揺るぎなく真摯なものであることが,誠に印象的である.切なくてしみじみとする.
物語は題名のごとく思わぬ展開を見せるが,最初はベンに反発していたジョーイが,最後にはベンを受け入れていたことが判るラストシーンが心に残った.
先日「クーパー家の晩餐会」で見たばかりのマリサ・トメイが,ここでも好演.
★★★★(★5個が満点)
にほんブログ村 映画ブログへ
にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ
ブログランキング・にほんブログ村へ
人気ブログランキングへ

| コメント (1) | トラックバック (1)

独断的映画感想文:クーパー家の晩餐会

日記:2017年8月某日
映画「クーパー家の晩餐会」を見る.1
2015年.監督:ジェシー・ネルソン.
出演:ダイアン・キートン(シャーロット),ジョン・グッドマン(サム),アラン・アーキン(バッキー),エド・ヘルムズ(ハンク),ジェイク・レイシー(ジョー),アンソニー・マッキー(ウィリアムズ巡査),アマンダ・セイフライド(ルビー),ジューン・スキッブ(フィッシャー叔母さん),マリサ・トメイ(エマ),オリヴィア・ワイルド(エレノア).2
クーパー家のクリスマスイブの一日を描く群像劇.
シャーロットとサムの夫婦は,今年のクリスマスも一族を招きパーティーを予定しているが,それを最後に離婚するつもり.二人は,認知症で老人ホームにいる伯母・フィッシーを迎えに行く.
息子ハンクは離婚し3人の子供を育てているが,つい最近カメラマンの仕事をクビになり,それを家族に言い出せない.
娘のエレノアは売れない劇作家,空港に着いてからも家に戻りたくなく,パーティーまでの6時間を雪止めを喰らっている軍人ジョーをナンパして過ごしているが,実は不倫中.3
シャーロットの妹エマは姉と不仲,姉へのプレゼントをケチろうと万引きをし,ウィリアムズ巡査に逮捕される.
シャーロットの父バッキーはダイナーで働くルビーが好きで,毎日通い詰めているが,ルビーが人生をやり直す為店を辞めると聞き,愕然とする.
ハンクの長男チャーリーは,ユダヤ人の娘ローレンに片思いしている.
この様にそれぞれ問題や秘密を抱えた一同が,夕方のパーティーに無事集えるか,その後どうなるのか,クーパー家の愛犬で食いしん坊のラグズが語り手(?)となって物語は進む.4
一家にはエレノアの妹リジーを幼少時に失ったというトラウマがあり,また各自のコンプレックスや欠点を克服しないまま大人になってしまった者同士の確執が見て取れる.それがクリスマスの魔法の中でどう大団円を迎えるかという,如何にもアメリカらしいホーム群像コメディ.
演じる俳優達がそれぞれに実力者で見ていて楽しい.子役,犬もお約束の活躍.
映画は最初から最後まで「クリスマス」であることを最大のポイントとして進行しており,その点邦題はちょっとずれを感じる.
★★★☆(★5個が満点)
にほんブログ村 映画ブログへ
にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ
ブログランキング・にほんブログ村へ
人気ブログランキングへ

| コメント (0) | トラックバック (2)

« 2017年8月 | トップページ