独断的映画感想文:ザ・ブリザード
日記:2017年9月某日
映画「ザ・ブリザード」を見る.
2016.監督:クレイグ・ギレスピー.
出演:クリス・パイン(バーニー・ウェバー),エリック・バナ(ダニエル・クラフ司令官),ケイシー・アフレック(レイモンド・シーバート),ベン・フォスター(リチャード・リヴシー),ホリデイ・グレインジャー(ミリアム),ジョン・オーティス(ウォレス).
実話に基ずく物語.
映画の冒頭は1951年11月,沿岸警備隊1等水兵のバーニーは,ミリアムと初デート.翌年2月,二人は将来を誓う仲となり,司令官クラフに結婚の許可を貰うことになる.
その日,バーニーの所属するマサチューセッツ州チャタムの海域は大時化となり海難事故が続出,警備艇が出動した後からタンカー・ペンドルトン号遭難の知らせが入る.
クラフ司令官はバーニーに出動を指示,バーニーは3名の同僚と共に小型警備艇で出動するが,遭難海域に向かう海は砂州の影響で,不規則に高潮の発生する危険海域だった.
一方,ペンドルトン号は船体が真っ二つに切断.船尾側機関室周辺の生存者は,浸水と闘いながらエンジンを保守して,何とか浅瀬に乗り上げ沈没を免れようと,1等機関士シーバートの指揮の下苦闘を続けていた….
映画はバーニーの警備艇が急行する模様と,ペンドルトン号の状況を交互に描きつつ,チャタムの警備局やミリアム達の動向を通じて,登場人物の背景も紹介していく.
この映画の特徴は,第一に海との闘いを描くその迫力ある映像であろう.
夜の時化の海で,バーニー達は襲いかかる高潮をまるでサーファーの様にかいくぐり,波への突撃を繰り返す.一方ペンドルトン号では,舵に取り付けた鉄骨を操作しつつ,目視で浅瀬を目指し嵐の海を進む.
また,この映画は現場の腕利き達が上官の指示なしに,あるいは上官の指示に反して自分の意志を貫いていく物語でもある.
バーニー達はクラフの指示で救難に向かうが,クラフは現場のことは良く判らない司令だった.どのコースを経てどう救難するかは,全てバーニーの判断による.一方ペンドルトン号は船橋を失っているので,無線もなく船長等の上級船員も皆無,こちらも全ての判断をシーバートが下す.アメリカ映画はこういう状況を描くのが好きな様だ.
映画の骨格は,海難救助のため人間が死力を尽くして自然と闘う,というはっきりしたもの.映像的にも見応えがあり,最後の結果は感銘的だ.見て損はなし.
但し邦題は海難救助の要素がなく,ちょっと不満.
★★★★(★5個が満点)
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