独断的映画感想文:キャロル
日記:2017年9月某日
映画「キャロル」を見る.
2015年.監督:トッド・ヘインズ.
出演:ケイト・ブランシェット(キャロル・エアード),ルーニー・マーラ(テレーズ・ベリベット),サラ・ポールソン(アビー),ジェイク・レイシー(リチャード),カイル・チャンドラー(ハージ).
映画の冒頭,たそがれのニューヨーク.雑踏をコートを着てソフト帽をかぶった男が進む,それを追うカメラ.
男はホテルに入りバーに寄る.その前のラウンジで向かい合って座っているキャロルとテレーズ.男はテレーズに声をかけキャロルを紹介される.
ここから映画は二人の出会いのシーンに戻る.
デパートの売り子・テレーズは,玩具の買い物に立ち寄ったキャロルの堂々たる印象と美しさに魅惑される.キャロルは手袋を売り場に忘れ,それを送ったことでテレーズは彼女と親交を持つ様になる.
テレーズは写真家志望,一方キャロルは夫・ハージとの離婚が決まり娘の親権の交渉中だった.ハージはクリスマスに娘を自宅に連れ去ったのを機に,キャロルの旧友・アビーやテレーズとの親密すぎる交際を言い立てて,娘の親権を独占しようと申し立てる.
娘を奪われた傷心のキャロルは,テレーズに長い旅行への同行を誘い,テレーズはそれを受けたが….
1950年代,徹底した男社会の中での,キャロルとテレーズの恋愛を描く.衣装・車を始め,隙がなく表現されたこの年代の映像が美しい.
時代を背景としたキャロルとテレーズの真剣な恋愛がじっくりと描かれ,誠に見応えがある.
ケイト・ブランシェットがさすがに貫禄の演技,一方ルーニー・マーラは,この恋愛の中でひととしても成長していく若い女性を瑞々しく演じる.この人が「ドラゴン・タトゥーの女」のリスベットだったとは,最後まで気がつかなかった.
性的マイノリティの恋愛と言うより,制約ある社会での真摯な恋愛劇として,印象的な映画である.
終盤,映画は冒頭に戻り,ホテルのラウンジで向かい合って座っているキャロルとテレーズ.男がやって来てテレーズに声をかける.キャロルと別れ男とパーティーに行くテレーズ.
その後のラストシーンはなかなかに素敵です.見て損はない映画.
★★★★(★5個が満点)
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